公開日 2021年8月16日

テーパリング報道が間違っている

今、世界の金融で一番注目されている「テーパリング」について、報道や専門家たちの発言の間違いがとても多いです。金融緩和・量的緩和・テーパリングとは何かを分かりやすく解説します。
テーパリング報道が間違っている

テーパリングとは何かの前に金融緩和を理解する

テーパリングとは、中央銀行が毎月の国債や株などの購入量を減らしていくことです。

テーパリングとは何かを正しく理解するには
金融緩和とは何か
金融緩和がどうなっているか
量的緩和とは何か
テーパリングが注目されている理由
を順番に理解していくことが必要です。

金融緩和とは

金融緩和とは中央銀行が市場にお金を供給することで、その目的は景気を刺激することです。

一般的には
中央銀行が政策金利を下げることが金融緩和
中央銀行が政策金利を上げることが金融引き締めです。

中央銀行が金利を下げると
お金を借りる人が増え、
市場にお金が出回り(緩和)
景気を刺激し
景気が良くなりすぎるとバブルになり、
インフレになります。

バブルを冷ますために
中央銀行が金利を上げると、
お金を借りる人が減り、
市場のお金が減り、(引き締め)
景気は減速し
インフレを抑制します。

2008年9月のリーマンショック以降の金融危機によって、100年に一度と言われる株価の大暴落と大不況に陥りました。世界の各中央銀行は景気対策として大きく金融緩和をすることになり、現在も続いています。

ところが、金利の引き下げでは追いつかなくなったのです。

金利を下げてもお金を借りる人がいないことや、
金利はゼロが下限なので、一部マイナス金利となったものの
ゼロ金利以下への金利引き下げができなくなりました。

このようなゼロ金利状態は、過去になかった異常事態です。

そこで、金融緩和は「金利の引き下げ」から「量的緩和」となったのです。

量的緩和とは

量的緩和とは、中央銀行が国債や株などを買うことで市場に直接資金を提供することです。

通貨を発行して国債や株を買うことで、通貨価値は下落します。輪転機を回してお札を刷ってばらまくという表現をしますが、それと同じです。(実際にはお札は刷りません)

本来、中央銀行が国債や株を買うと通貨価値が下落するため、インフレが止まらなくなる可能性が高いのですが、金融危機を再燃させないために奥の手を使ったわけです。

米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会・Federal Reserve Board)は、毎月、
米国債800億ドル、
MBS(住宅ローン担保証券)400億ドル
もの大量の債券を購入しています。

920.jpg

日本の中央銀行、日銀は日経225ETFを大量に購入していましたが、日経225銘柄の大株主に相当するほどになってしまったため、現在は日経225以外の株を購入しています。

その結果、株価は上昇して米国株(ニューヨークダウ・S&P500、米国ナスダック)は過去最高値を更新しました。

このように量的緩和すると市場にお金が大量に供給されるためにインフレになります。(インフレになると金利は上昇してきます)

デフレの時は量的緩和することで株価が上昇し景気刺激になりましたが、インフレになると量的緩和ができなくなります。中央銀行はインフレを抑えることが使命だからです。(インフレファイター)

そこで、インフレを抑えるために量的緩和を縮小していくことがテーパリングです。

テーパリングとは

テーパリング(Tapering)を直訳すると「先細り」や「次第に先が細くなっていくこと」です。
現在の金融の世界でいうテーパリングとは、金融緩和(量的緩和)を縮小していくことです。

shutterstock_1721576092.jpg

つまり、テーパリングとは、中央銀行が毎月の国債や株などの購入量を減らしていくことです。

水道の蛇口から勢いよく出ている水の勢いを少しずつ減らしていくことがテーパリングです。
ところが、報道や専門家は「テーパリングとは市場金利を引き上げること」だと誤解している表現が実に多いです。

テーパリングが終わると、つまり資金供給が終わると次は市場に供給した資金の回収、つまり国債や株の売却となります。

国債はずっと持っておくことで償還されるので、時間をかけることで資金回収できるものの、株は売却しないと資金回収できません。現在、テーパリングをするだけで、市場はその先の株などの売りを連想するため株価が大きく下落することになります。

テーパリングとなると株価が急落する可能性が高いので、皆が注目しているのです。

量的緩和の終焉は株価下落、金融危機となる可能性が高いのです。

インフレになると量的緩和ができない

量的緩和を続けていくと通貨価値が下落していくのでインフレになります。

したがって、現在、
量的緩和を継続するとインフレ
量的緩和を縮小すると金融危機に陥るので、
どちらもできないという、かなり困った状態なのです。

スタグフレーション(悪いインフレ)

現在、世界は大量の国債・株などの購入(量的緩和)で株価を支えるという史上初めての対策をしており、壮大な実験をしているといっても良いでしょう。
2008年9月のリーマンショック以降の金融危機はまだ終わっていないのです。

量的緩和をやろうと思ってもできない今後は悪いインフレであるスタグフレーション(不景気のインフレ)になる可能性が高いと判断しています。

スタグフレーションとは、物価が上昇しても賃金等があまり上がらない状態で、お金の価値が減少することです。

先が分かっていれば金(ゴールド)を保有しておくなどして対処することが出来ます。

正しい情報・知識を得る

世の中には間違った情報が多いです。
テーパリングのように重要なことを間違って理解していると、今後の動きの判断を間違うことになります。

金融の世界では特に正しい情報・知識を得ることが大切です。

関連動画:テーパリングとは何か、と今後を解説しています。

最新の記事をお届けします

Real Intelligence無料メルマガ

無料メルマガ登録

各講師のオンラインサロンや有料サービスもございます。詳しくは商品一覧ページをご確認ください。

プロフィール

松島修

松島修

エフピーネット株式会社 代表取締役 投資助言・代理業 関東財務局長(金商)第1898号、インベストメントアドバイザー、経済コンサルタント、ベストセラー作家

会員サービスに登録して
より有益な情報を手に入れよう

富を拡大するため一流で正統派の金融リテラシー・実践的情報を
元チーフディーラー集団からお届けします

会員サービス紹介
運営会社情報
エフピーネット株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1898号
金融商品取引業の種別:投資助言・代理業
加入協会:一般社団法人資産運用業協会
よくあるご質問お問い合わせ
Copyright © FPnet Co., Ltd. All rights reserved.