金融危機はいつ来るかではなく なぜ来るか 人類初の中央銀行バブル
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官製相場が続いてきた
2008年のリーマンショック以前は、年間2回くらい株や為替の比較的大きな下落がありました。
ところが、リーマンショック以降、大きな下落は、ほとんどなくなりました。
例外は2020年のコロナショックの時くらいのものです。
下落しにくくなったのは政府が株式相場や為替相場をコントロールしてきたからです。
政府によってコントロールされた相場を官製相場といいます。
特に世界の株価は米国株に連動して動くので、米国が米国株をコントロールすることで大きな下落を回避してきました。
株価が暴落すると金融危機となり、ドル/円も下落、ゴールドも下落することになります。
官製相場は社会主義の考え方
政府が株式相場をコントロールする官製相場は社会主義の考え方です。
昔からバブル崩壊の直前でも政府は、
「金融危機は起きない」、もしくは
「ソフトランディングになる」
と主張してきましたが、実際には毎回金融危機が発生しています。
政府の「金融危機は起きない」という発言は昔から政府が株式市場をコントロールしているつもりになっていたからです。
2008年9月のリーマンショック以降、政府の相場コントロールは過激になりました。
これはリーマンショック以降、米国政府の社会主義化が進んでいるということであり、相場以外でも散見されるトレンドです。
相場は自然の一部なので、本来、相場を自然に任せることが大事です。
日本株が1990年から20年以上の長期下落トレンドを形成したのも、日本政府が株価を支え続けたからです。
官製相場の弊害です。
現在の相場では政府が株価を上昇継続させようとすればするほど、歪が蓄積して大きな金融危機となります。
今のバブルは中央銀行バブル
現在のバブルは中央銀行バブルです。
2008年9月以降、大量の通貨供給により、株価を支え続けた結果です。
多くの人が今回のバブルを認識できないのは、私たちが体験したことがない規模の初めての中央銀行バブルだからです。
日本でも異次元の金融緩和という言葉が使われました。
中央銀行バブルの結果が世界的なインフレです。
中央銀行バブルは、通貨下落による物価バブルといっても良いでしょう。
通貨供給が限界を超えている
100年に一度と呼ばれるリーマンショック後の金融危機のダメージ回復のために米国は通貨供給量を急増してきました。
現在も通貨供給を増やし続けています。
米国の通貨供給量 1960年~2024年6月
通貨供給を止めると株は大暴落して金融危機になるからです。
この記事を合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/2567/
大規模な通貨供給を続けるには限界があり、その限界をすでに超えてきていると判断しています。
金融引き締めと緩和を同時にやっている
現在、米国では次の全く反対の政策を同時に行っています。
①インフレ対策として金融引き締め
②株価を支えるために金融緩和
これは完全に矛盾している政策のため経済へのダメージが拡大しています。
つまり、不景気のインフレ、スタグフレーションです。
大量の通貨供給をすることでいくら金利を上げてもインフレは収まらず、
大量の通貨供給を止めると、株価大暴落となります。
そして金利上昇は
国債の暴落要因であり、同時に
株価下落要因です。
また、今の金利高により国債を大量に保有している金融機関は破綻寸前です。
2023年のシグネチャー銀行やシリコンバレー銀行の破綻も、先日、日本の農林中金が巨額な損失を発表したのも金利高による国債の暴落が原因です。
現在も、米国は過去にない大規模な通貨供給を継続していますが、その原資は米国債の大量発行です。
国債を大量発行することで国債利払いが巨額になっており無限に国債大量発行を続けることはできません。
以前からずっと指摘してきたことでもありますが、不景気のインフレ、スタグフレーションでは金融政策で経済を安定できないのです。
それゆえ、政府は「現在スタグフレーションではない」と発表することになります。
「インフレは一時的」と米政府が発表して、後でそれが間違いだったと訂正したのと同じです。
政府の「インフレは一時的」を信じてシグネチャー銀行やシリコンバレー銀行は国債を売却しなかったので破綻してしまいました。
金融危機はいつくるか
直近の分かりやすい
金融危機スタートの可能性が高くなったタイミングと
今後高くなるタイミングは次のとおりです。
① 2023年8月~9月暴落回避
② 2024年11月前後 米大統領選挙前後
③ 米国金利低下時
④ 景気悪化の顕在時
⑤ AIバブル崩壊時
⑥ 戦争、想定外の災害、金融ショック
地雷が沢山あるといえます。
①2023年8月~9月暴落回避
相場は周期的に動いており、金融危機になりやすい時間・時期・タイミングがあります。
時間分析的に昨年2023年8月~9月のタイミングで暴落がスタートする可能性が高いと判断しました。
実際に2023年8月~9月には、一般に暴落と呼ぶ人も多いくらいの下落となりましたが、私がイメージしている暴落・金融危機には全く及びませんでした。
ニューヨークダウは2023年8月1日に最高値を付け、8月2日から2か月以上下落が続きました。
米国の通貨供給量は2023年8月から2024年2月まで毎月増大しているので本来暴落する相場を強引に支えた感があります。
②2024年11月前後 米大統領選挙前後
現在、明確な金融危機スタートポイントは不明ですが2024年11月の米国大統領選挙前後は一つの目安です。
米国政府・米民主党が大統領選挙までは無理しても株価暴落させないようにするからです。
通貨供給を止めると大暴落となり、金融危機となります。
③ 米国金利低下時
教科書には金利低下すると株は上昇と書いてあります。
今、米国では景気が良く、インフレ対策として金利上昇してきたことになっています。
しかし、米国で金利低下となると実際には景気が悪いことが明確になるため金融危機になる可能性が高いと判断しています。
合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/1970/
④ 景気悪化の顕在時
米国では株価に影響を与える統計データの改ざんが指摘されています。
景気が悪いと株価が下がるので、政府が統計データを改ざんしているということです。
実際に米国も西側諸国も景気悪化が進んでいます。
一般マスコミでは景気悪化は表面化しにくいですが、一部データ改ざんがリークされてきました。
景気の悪さが周知されると金融危機のトリガーになりえます。
⑤ AIバブル崩壊時
現在のAIバブルが崩壊すると金融危機になる可能性が高いです。
また、金融危機になるとAIバブルが崩壊することになります。
現在の米国のAIバブルは、過去のITバブルと同様に米地銀の破綻や新興国の破綻が上昇の燃料になるので、暴落開始したと思ったら上昇という局面もありそうです。
米地銀の破綻や新興国の破綻では
AIバブルは崩壊せずバブル加速しても
米国の大手銀行が破綻すると
AIバブルの崩壊につながります。
今回のAIバブルは過去のITバブルと似ているので、AIバブルのロジックを理解しておくことが大事です。
この記事を合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/2460/
⑥ 戦争、想定外の災害、金融ショック
中国の不動産バブルの崩壊や、東京など大都市の大地震など想定外の災害も金融危機のトリガーになります。
戦争も金融危機のトリガーになりますが、現在、ウクライナロシア戦争もハマスイスラエル戦争も相場に織り込まれていません。
戦争・地政学的リスクを相場が織り込むと株価下落方向です。
そもそも激動の時代の特徴に戦争と金融危機があります。
金融危機に対処する投資戦略
バブル相場の特徴として、バブル崩壊前に相場が上昇する傾向があるので、次のような戦略が考えられます。
① 株の買いポジションを持たない
利益確定しておき、暴落したら買い。
② 全てのポジションにストップロスを入れる
金融危機がきたら、自動的に素早く逃げる。
上昇する相場に合わせてストップロスを上昇させていくトレールという手法も良いです。
③ 下落が確定したら売りポジションを持つ
下落相場で利益にするにはチャート的に下落トレンドが確定した時に売りポジションを持つのでも間に合います。
④ 株価の目先の天井でストップロスを入れて売りポジションを持つ
日経225やニューヨークダウの目先の天井で売りポジションを持つ戦略があります。
売リポジションを持つには必ずストップロスを入れることと、下げてきたら売値下にストップを移動して利益を確保することが必須です。
https://real-int.jp/articles/1057/
金・ゴールド投資戦略
金・ゴールドはストップロスを入れて買い、上昇してきたら買値上にストップロスを入れると良いです。
また、金融危機の最初にはゴールドも暴落するのでその時は長期の買いです。
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