原油高による所得の海外流出が景気に悪影響を及ぼし始めた

原油高によって7月、8月は所得の海外流出が月0.5兆円程度拡大
国内景気は、インフレ下で企業業績の好調が続いているものの、経済活動は盛り上がりに欠ける状況になってきた。
その一因は、おそらく「原油高による所得の海外流出」が始まったからだろう。
通関貿易統計によれば、季節調整済みの貿易収支は5月以降、4か月連続での赤字となった。赤字化の主因は、原油高による原油輸入金額の増加だ。貿易収支の赤字化はここへきての円安の一因とされているが、日本の景気を圧迫する要因でもある。
米・イラン戦争当初の日本の原油輸入金額は、ホルムズ海峡が封鎖され、原油の輸入ができなくなったために、大幅に減少した。
原油輸入量は4月日量93.9万バレル、5月同95.9万バレルと2025年の同236.4万バレルに比べると約6割少なかった。輸入が減少した分の国内消費は備蓄の放出で賄われた。一方、原油価格は高騰した。
ドル建てでみた原油輸入価格は4月1バレル当たり101.9ドル、5月114.6ドルと2025年平均の同74.5ドル/バレルから4~5割程度上昇した。
さらに円安の影響も加わって、円建てでみた原油輸入価格は4月1リットル当たり102.1円、5月同114.6円と、2025年平均の同70.1円/リットルから5~6割程度上昇した。
このように5月頃までは、原油輸入価格が高騰したものの、反面、輸入量が大きく減少していたため輸入金額(=輸入量×輸入価格)も減少していた。
ところが、6月以降、状況が変わった。
すなわち、6月以降は、中東産原油から米国産原油などへの代替が進み、輸入量は徐々に増加していった。
1日当たりの輸入量は5月までの日量100万バレル未満の状態から、6月に同184.8万バレルと増加し、7月同245.6万バレル、8月同240.4万バレルと増加した。7月、8月の輸入量は、ほぼ昨年(日量236.4万バレル)になった。
そして、輸入量が元通りになったため、7月、8月の輸入金額は、価格が上昇した分だけ、増加することになった。7~8月、2か月の輸入金額は月平均1.3兆円となり、昨年の月平均0.8兆円を0.5兆円上回っている。
日本は同じ量の原油を購入するために、月0.5兆円分、余計に海外にお金を支払わなければいけなくなったことになる。
結局、5月頃までは、原油高でも原油輸入金額が増加することはなく、海外に所得が流出することはなく、原油高が景気を悪化させる効果はなかった。
しかし、6月からは原油高によって所得が海外に流出し始めた。
7~8月の海外への所得流出額は、昨年に比べ月額0.5兆円程度多い。原油高によって毎月0.5兆円の増税が実施されたのと同様の影響が表れ始めている。
ちなみに、原油WTI価格(月平均価格)は6月81.9ドル/バレル、7月79.4ドル、8月82.7ドル、9月1日~25日の平均が97.6ドルと、7月に下落した後、8月以降再び上昇している。
こうした市場価格動向は、約1か月遅れで輸入価格に反映されるとみられ、9月以降の原油輸入価格は一段と上昇し、その分、所得流出幅も一段と拡大することになる。
原油高が続けば、年間6兆円の増税相当の景気への悪影響が見込まれる。
これは、来年4月からの食料品の消費税率引き下げ効果(年5兆円程度とされる)を上回る。
原油高による所得流出は、すでに日本経済のどこに表れ始めているのか。そして、AI投資は景気を支えられるのか。「イーグルフライ」では、さらに、財政拡張と金利上昇が重なる日本経済の先行きを詳しく見ていきます。
本記事は、2026/9/28の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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