公開日 2026年7月28日

日銀とSNBの金融政策から見える為替市場の新たな潮流

円とスイスフランは、ともに「安全資産」と「ファンディング通貨」という共通点を持ちます。しかし今、その関係性に変化の兆しが見え始めています。
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どこの銀行が書いたのかわかりませんが、そのレポートに注目が集まり始めています。私は読んでいませんが、そこでは日本銀行(以下、日銀)とスイス国立銀行(以下、SNB)の金融政策スタンスの違いに注目しているようです。

金融政策スタンスの違い

円もスイスフランも【安全資産】ですが、その政策スタンスには少しずつ違いが見え始めてきました。

日銀

まず日銀は、インフレ上振れリスクを意識し、追加利上げを従来より早める可能性を検討していることが示唆されています。実際、インフレ期待は上昇しており、市場では年内の追加利上げ観測も徐々に高まりつつあるようです。

もっとも政府は慎重な姿勢を崩しておらず、ドル円相場の上昇局面でも市場への影響は限定的と言えるのかもしれませんが、円安や長期金利の水準は、政府にとって無視できないレベルに近づいていると思われ、今後の日銀会合や議事要旨では、政府と日銀の温度差が縮まるのかが注目されるでしょう。

スイス中銀

それに対しSNBは6月18日の金融政策決定会合で政策金利を0%に据え置きました。

7月16日に発表された『6月金融政策評価』では、インフレリスクは以前より高まっているとの認識が示されたものの、「現時点では物価安定は損なわれておらず、直ちに政策を変更する必要はない」と結論づけました。

https://www.snb.ch/en/publications/communication/summaries/zus_20260716

それに加え、将来的に二次的インフレ圧力が強まる可能性を警戒しつつも、足元のインフレ率は0.5%と目標レンジ内に収まっているだけに、当面は慎重に状況を見極める構えであり、中東情勢など地政学リスクを背景とした急激なフラン高には引き続き警戒し、必要に応じて為替介入を行う姿勢を維持しました。

スイス中銀に関する観測ヘッドライン

気になるSNBの最初の利上げ時期については見方が分かれており、多くのエコノミストは2028年以降を予想する一方、為替市場では2027年にも利上げが始まる可能性も指摘されています。

ところが、今週月曜日、驚きのヘッドラインが出たのです。

「SNB is set to keep its key interest rate at zero until the end of 2027
スイス中銀は2027年末まで、政策金利を0%のまま、据え置く方針」

そしてその直後に、「SNB declines to comment on media report that it expects to keep interest rate at zero until end of 2027.スイス中銀はメディア報道について、コメントせず」というヘッドラインが続きましたが、この観測ヘッドラインを受け、スイスフランは大きく売られました。

これがスイス中銀の本音かどうかは不明ですが、現時点ではSNBは「待つことができる中央銀行」という印象を強くしたと、私は判断したのです。

フォワードガイダンスを使ったスイス中銀

繰り返しになりますが、スイス中銀からはこのヘッドラインについて、肯定も出ていませんが、否定もされていません。(この原稿執筆時までに限定)

アメリカのウォーシュFRB議長がフォワードガイダンスに否定的な姿勢を示して以来、7月のECBシントラ年次フォーラムでも、FRB・ECB・英中銀全てのトップがフォワードガイダンスに対して否定的な見解を示し、ガイダンスを弱める方向へ舵を切りました。

そんな今、スイス中銀は敢えて「2027年末までゼロ金利」というガチのフォワードガイダンスの観測ヘッドラインを出したのは、非常にSNBらしいですね!

もちろん、これは正式な政策約束ではなく、内部関係者の見立てを報じたものでしょうが、主要国中央銀行の金融政策の方向性に神経質になっている市場では、「SNBは当面動かない」というメッセージを受け取ったと解釈してもおかしくありません。

独特な中銀

SNBは昔から、「市場との対話」のスタイルが少し独特です。極端な言い方をすれば、市場に誤解を招いてもかまわないくらい我が道を行く大胆さがある反面、普段は極めて静かに構える姿勢です。

言い換えれば、普段は我慢強く市場に余計な雑音やシグナルを出さないという徹底した姿勢ですが、必要と判断したら、驚くほど瞬時に迷わず動きます。

私は為替ディーラー・アシスタントとして、最初に働いたのがスイスの銀行ですが、その当時からこれがSNBの一貫した特徴と言えるでしょう。

・・・

続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

この続きでは、スイスフランと円がともに「ファンディング通貨」とされる中で、日銀とSNBの金融政策の違いが今後の為替市場にどのような変化をもたらすのかを詳しく解説しています。

2026/7/28の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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松崎美子

ロンドン在住の元為替ディーラー

1986年にスイス銀行東京支店入行、ディーラーアシスタントとしてスタート。1988年結婚のために渡英。 翌年より英バークレイズ銀行本店ディーリングルーム勤務、初の日本人FXオプション・セールスとなる。

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