静かに迫る金融危機 過去にない危機の真相

過去に経験したことがない種類の金融危機
今、過去に経験したことがないような危機が静かに始まっていると判断しています。
しかし、「金融危機*1=株の大暴落」と認識している人が多く、
その場合、「静かに金融危機が始まっている」の意味が分からないと思います。
これが分からないと、
「ある日突然、株の暴落に見舞われる」ことになり、
「あっという間に損失が拡大」となるでしょう。
今の構造を正確に把握することが大切です。
今、静かに進行する金融危機は過去に体験したことがない種類のものです。
過去に体験したことがない、ということは教科書に書いてないということなので、
過去の危機の経験則だけで判断すると、現在の構造を見誤る可能性があります。
さらに、今回は過去のどの危機より大きいショックになる可能性が高いと判断しています。
本記事は以下の記事の続き(補足)です。
2つのバブル
現在、バブルは2つあります。
中央銀行バブルとAIバブルです。
中央銀行バブルは政府が作ってきたバブルで
AIバブルは今後、政府がテコ入れしようとしているバブルだと判断しています。
①中央銀行バブル
中央銀行バブルはリーマン・ショックやコロナ禍に対し、政府の大規模な財政支出と中央銀行の金融緩和が同時に行われ、資産価格を支える大きな要因になりました。
言葉を変えると通貨安政策(=インフレ政策)です。
リーマンショックの金融危機を新しい中央銀行バブルをぶつけて解消したのですが、その中央銀行バブルをずっと継続してきたのです。
②AIバブル
AI関連投資は、データセンター、電力、半導体などを巻き込み、
ITバブル期とは異なる規模と広がりを見せています。
さらに米国政府もAI企業を支援していく方向です。
米政府によるAI産業サポートの具体的な政策と動向は以下の通りです。
AI企業の株式取得と国民還元構想
米国では、AI企業の利益を国民に還元する「国富ファンド」構想が浮上しています。
オープンAIのサム・アルトマンCEOが、自社株式の5%をトランプ政権に提案・協議していると報じられています。
国家AIプロジェクトへの巨額拠出
日米両政府は共同で、AIに加え量子コンピューティング・核融合・バイオも含む先端科学を加速させる国家プロジェクト「ジェネシス・ミッション」に対し、今後5年間で日米それぞれ5億ドル、合計10億ドルの拠出を行うなど、インフラ整備と研究開発を直接支援しています。
日本はこのプロジェクトの初の国際パートナーです。
インテル等への政府出資
半導体のサプライチェーン強化を目的に、米政府は経営不振に陥った半導体大手インテルの株式約10%を取得し、AI業界全体を下支えしています。
ジェネシス・ミッションへの追加投資
米政府がジェネシス・ミッションに50億ドルを投資すると発表し、連邦研究資金の配分を大学向けの従来型支援から個別研究者・AI活用システムへの直接支援へ重点を移す方針を示しています。
日米の10億ドル枠に加えて米側単独でさらに資金を積み増しています。
官製バブルと戦時経済
現在のバブルには2つの特徴があります。
①中央銀行バブルと②AIバブルに対応する特徴です。
①官製バブル
中央銀行バブルは政府と中央銀行による支援への依存度が、過去に例を見ないほど高まった官製バブルです。
過去に例がないほどの巨大バブルです。
今の官製バブルは、行けるところまで行く姿勢なので、予想以上に延長する可能性もあります。
よってバブル崩壊のタイミングはとても分かりにくいです。
また、バブルを拡大するために国の財政問題が極大化していることを理解する必要があります。
危機は国の財政問題からスタートしているのです。
今、始まりつつある金融危機の最大の特徴です。
つまり、官製バブルは国の支出バブルなのです。
最後の貸し手の中央銀行がインフレと財政問題によって、中央銀行が使える政策の余地が狭くなっている中、バブルを延長し続けています。
バブル崩壊のショックは政府に大きなダメージを与えることになります。
②戦時経済
今、世界は戦争モードです。
ウクライナロシア戦争や中東紛争だけではなく中国と米国も覇権争いで戦争モードです。
そして AIが戦争に使われていると同時に AIの開発戦争にもなっています。
米国は中国にAI開発で負けたくないからです。
米国政府は強力にAIに資金提供していく方向です。
米国政府はAIバブルの延命という目的だけではなく AI開発戦争に負けないための強力な支援を進めています。
米国の姿勢を見るとAI分野は戦時経済に突入していくように思います。
戦時経済となると「何でもアリ」になっていくので、想像以上にAIバブルは拡大するのかもしれません。
戦時経済(せんじけいざい)とは、
国家が戦争や紛争の遂行を最優先の目標とし、それにあわせて社会のあらゆる資源や経済活動を統制・動員する経済体制のことです。
株暴落は金融危機の結果
金融危機と聞くと株の大暴落をイメージします。
これはある意味正しいですが
株が大暴落しないと金融危機だと思っていない人が多いです。
これだと「株が大暴落しない限り金融危機を認識できない」ということになります。
過去の金融危機でも多くの場合、静かに金融危機は進行し、最後に株暴落で顕在化します。
つまり、株暴落の前から金融危機は進行しているのです。
現在AIバブルでAI関連株や半導体関連株ばかりが急騰して株価指数を押し上げているので、なおさら金融危機が静かに進行中だと認識できません。
2008年9月のリーマンショックの時はリーマンブラザーズが破綻したことで株暴落したから顕在化しました。
金融危機が起きてリーマンブラザーズが破綻したので、株が暴落し、金融危機が加速しました。
株の暴落は最後に現れる現象です。
株暴落の先行指標
株が暴落する前に金利、国債・債券が先行して動き出すことが多いです。
つまり、国債や債券が株の先行指標です。
株は熱狂・感情・期待で動きますが、
金利や債券はロジック・思考・守りで動くからです。
リーマンショックの時のロジック
一番分かりやすかったのはリーマンショックの時でした。
2007年の6月8日に激動の時代がスタートしたと判断しました。
この激動開始日はユダヤの歴史から算出した日です。
実際に10年米国債は2007年6月12日に金利が上昇から反転下落開始しました。
私は、2007年6月12日の米国債市場の反転を、信用収縮が表面化し始めた重要な転換点と捉えています。
そして2008年9月15日のリーマンショックに向けて下落していったのです。
その後、少し時間をおいて株価も下落していきました。
6月12日が信用収縮*2のスタート日だったという認識です。

10年米国債
リーマンショックの時は金利が反転(信用収縮が始まって)から、1年3ヶ月後に株が暴落しました。
一般的には次のように言われています。
株が暴落する前に金利や国債が先行して動き出すのは、
「機関投資家が景気後退や金融政策の転換を予測し、株式よりも流動性が高く安全な債券へ資金を先回りして移動させるから」です。
リーマンショックの時は、まさしくこのパターンでした。
今のロジック
今も株が暴落する前に金利や国債が先行して動き出すのは同じです。
リーマンショックの時は国債価格は上昇(=金利下落) しましたが
現在は、反対に国債価格は下落 (=金利上昇)しています。
リーマンショックの時とは異なるロジックからです。
国債価格が下がる(金利上昇する)理由にはいくつかありますが、
今回は「③国の財政問題を懸念」の要因が大きいと思います。
国債価格が下げる(金利上昇する)理由
①インフレの定着
②中央銀行の利上げや量的引き締め(中央銀行が市場で国債などを売却)
③国の財政問題を懸念
借金の増大による財政破綻リスク
深刻なインフレの加速
金利上昇による経済の圧迫
通貨(ドルや円など)の信認低下を引き起こす懸念
④債券市場の需給悪化
リーマンショック時の金融危機を救いコロナショックを救うために中央銀行は大量の通貨発行をしました。
私は、国債価格下落の原因はインフレや国債需給に加え、財政への警戒が国債下落の重要な一因になっていると見ています。
これが現在の金融危機の火元であり、過去に無いパターンです。
矢印のポイントは2026年1月20日、日本国債が「突然暴落」=「急激に利回り上昇」し、ダボス会議でも議題になるほど世界に影響を与えた時です。
現在、その時以上に国債は下落しています。

10年日本国債金利 日足 (金利上昇=債券価格下落)

10年米国債金利 日足(金利上昇=債券価格下落)
リーマンショックの時は信用収縮で国債が買われましたが、
今は国の信任低下のために国債が売られ、
国債価格が下落しているという判断です。
通常、政策金利を利下げすると国債金利も下落しますが
米国は利下げしても国債金利が上昇したのは国の信任の低下が原因でしょう。
AI関連企業の株と債券
最近、AI関連企業の社債が先行して下落し、遅れて株が下落することが起きています。
オラクルやスペースXです。
他のAI関連銘柄はまだ本格化していませんが、
社債市場の悪化は、株式市場に先行して企業の信用リスクを示すことがあります。
次の記事を参照してください。
金融危機は来ないじゃないか?
「何年も前から金融危機と言っているけど来ないじゃないか。ずっと言っていればいつかは当たる。」
と思う人もいらっしゃると思います。
そもそも、株暴落の日を当てることは目的ではないし、誰にもできないような事です。
今のバブルは官製バブルなので、政府による延命が続いています。
官製バブルなので、本来、暴落するような時も回避してきました。
2008年9月のリーマンショックの時から始まり
コロナショックの時も、
それ以外のショックの時も
米国の中央銀行FRBは大量の通貨供給で乗り切りました。
その結果、今の中央銀行バブルは行きつくところまできたのです。
通貨供給バブル(=中央銀行バブル)の最終局面だということです。
視点を変えるとリーマンショックは終わっていないという認識です。
それゆえ、バブル崩壊した時のショックは大きくなり、
過去にない、大きなショックになるのでしょう。
なぜ米国は利下げしたいのか
現在、AIバブルなのにトランプ政権は利下げを期待しています。
通常、株の過熱感がある時には相場を冷ますために金利を上昇させるので、何かがおかしいです。
米政府が利下げしたいのは
株価を下落させないためと
国債の利払い負担が急増し、政府の財政運営を圧迫しているからです。
AI株が下落しないようにサポートしたいと同時に利払いを押さえたいのです。
利払いができなくなることをデフォルトといいます。
それでも、お金を刷り続ければデフォルトしないと言う人もいらっしゃいますが、超インフレとなり、実質的にデフォルトと同じです。
現在、国は利上げも利下げもできないところまで追い込まれています。
利下げするとインフレ
利上げすると株下落、借り換えが進むにつれて国債の利払い負担が重くなる
という構造だからです。
原油価格の上昇は危機を加速させる
現在の原油価格の上昇は、危機を加速させます。
原油価格上昇は全ての物価を上昇させるからです。
原油高が長期化すれば、物価上昇と景気減速が重なる悪いインフレ・スタグフレーションのリスクを高めます。

原油WTI 日足
原油価格が上昇すると
①悪いインフレ=スタグフレーション
②利下げができなくなる
③不景気・リセッション*3
④株価下落要因
まとめ
現状をコンパクトに箇条書きで、まとめました。
シンプルなことですが、
今迄にない概念、聞いたことが無いことが多いので(教科書に出てこないので)
理解できない人は多いと思います。
しかし、理解できた人は大きなアドバンテージになります。
・過去、経験していない金融危機が静かに進行中
・過去の金融危機とは違う
・中央銀行バブルは官製バブルなので、今迄、崩壊しそうな時でも延命してきた
・そのツケが溜まって、現在、財政問題による危機が静かに進行中
・つまり危機は国の財政問題からスタートしている
・リーマンショックは終わっていない
・AIバブルは今後、戦時経済に入ることで官製バブル的になってきている
・官製バブルは行くところまで行くというスタンスなので、バブル崩壊のタイミングを掴むのは難しい
・リーマンショックの時は金利反転(信用収縮が始まって)から、1年3ヶ月後に株が暴落した
・今のバブルが崩壊すると世界経済や国に過去に無い大きなショックになる可能性が高い
・最後の貸し手・中央銀行が弱っているのでバブル崩壊を救えない可能性が高い
・2026年11月には米国大統領の中間選挙があるので、それまでは米政府は株価を支えるともいわれている
・2007年6月8日から激動の時代だと認識する・過去の延長線上に未来がない時代に生きている
①戦争
②金融危機
③想定外の災害
が多発する時だと理解して準備することが大事
最後に
今年、2026年11月には中間選挙を控え、政権が景気や金融環境を強く意識する可能性はありますが、株価を維持できるとは限りません
「官製バブルだからこそ簡単には崩れない」
「AI投資は実需に基づいており過去のITバブルとは違う」
といった意見もあります。
バブル崩壊の日を予測することは困難ですが、
特に、今後、数か月は株価だけではなく世界のお金の流れや構造の変化をしっかり一緒に見ていきましょう。
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言葉の解説
金融危機とは *1
金融危機とは、金融機関の経営破綻や市場の信用不安によって、お金の貸し借りなどの金融システムが正常に機能しなくなる状態のことです。
これにより世の中の資金の流れが滞り、株価の暴落や企業の連鎖倒産、失業者の増加など実体経済にも深刻な悪影響を及ぼします。
信用収縮とは *2
信用収縮とは、金融機関による貸し渋りや貸し剥がしが起き、市場の資金繰りが悪化する現象です。
銀行の融資条件が急激に厳しくなることで経済全体の資金供給量が細り、企業や個人の資金調達が困難になって景気後退やデフレ圧力をもたらすリスクがあります。
リセッションとは *3
リセッション(Recession)とは、景気後退局面のことを指し、経済活動が全体的に停滞して悪化する状態のことです。
参照記事
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