日経225急落 金融危機が始まった? プロが見ている7つの危険信号

日経225急落
2026年7月17日(金)日経225が急落しました。
前日比2,694円安の64,141円。
下げ幅は歴代5位の大暴落です。
日経225日足チャート

日経225 日足
しかし、私が本当に危険だと思っているのは株ではありません。
国債です。
実は、世界では株ではなく国債から静かに異変が始まっています。
世界の各相場は連動していますので日本株しか取引きしていない人も、世界の各相場をしっかり見ておくことが大事です。
今回、この暴落が金融危機なのか、7つの視点で何がおきているのか解説していきます。
①キオクシア・ホールディングス
②韓国総合指数
③スペースX
④オープンAI
⑤原油WTI
⑥米国債・日本国債
⑦ゴールド
キオクシア・ホールディングス(最近、一番の注目株)
最近、日本で一番注目されていたキオクシア・ホールディングス株は、ピークの半値以下まで暴落しています。
7月17日(金)はストップ安でした。

キオクシア・ホールディングス 日足
キオクシア・ホールディングスはメモリーのメーカーで、AIのデータセンターにメモリーを大量に使うことから売り上げが急増し、株価も爆上げしました。
最近、一番の注目株で時価総額が一時トヨタを抜き日本一になりました。(44兆円規模)
その後急落。
投資家もマネーゲーム的な投資家、つまりレバレッジが高い投資家が多かったので、下落の途中で強制ロスカットの売りも多かったと思います。
さらに追い打ちで7月17日、米テキサス州の連邦地裁で、米衛星通信ビアサットの特許(フラッシュメモリーの誤り訂正技術)を侵害したとする陪審評決が伝わり、約2億2,900万ドル(約371億円)の賠償額が示されたことでストップ安となりました。
【補足】これは陪審評決であり、最終確定ではありません。キオクシアは「到底容認できない」として控訴を含む法的手段を取る方針を示しています。また賠償額約371億円は同社の2026年3月期の最終利益(5,545億円)の7%程度で、単独で経営を揺るがす規模ではないとの分析も出ています。
将来が読みにくくなれば投資家は一度リスクを減らそうとします。
特許侵害などは、最初の下落インパクトは大きいですが、一般的には、その後の影響は沈静化していくことが多いです。
米国市場でも半導体株全体が大きく売られており
フィラデルフィア半導体株指数が4%超安
マイクロンが5%超安
エヌビディアも2%超安
キオクシア固有の悪材料と、AI・半導体セクター全体の調整の両方が重なった下落と見るのが実態に近いでしょう。
半導体業界全体が非常に高い期待を織り込んでいたことで株価急騰。
期待が大きくなるほど少しでも悪いニュースが出た時の反応は大きくなります。
これは今、世界中で起き始めていることです。
韓国総合株価指数・KOSPI(今の日本株の先行指標)
最近の日本株は米国株より韓国のKOSPI(韓国総合株価指数)の影響を受けていました。
日本株の急落の前からKOSPI(韓国総合株価指数)は下落していました。

KOSPI(韓国総合株価指数) 日足
韓国の株式相場は、サムスン電子とSKハイニックスの2社だけで市場全体の時価総額の約5割を占めるほど、半導体関連産業が圧倒的な主流です。
両社はAIデータセンター向けメモリーで世界的なシェアを誇り、相場全体がこの2社の業績や株価に大きく左右される構造になっています。
1ケ月前くらいから業績は絶好調なのに下落してきました。
KOSPI(韓国総合株価指数)はマネーゲーム的になっており、2026年7月13日にサーキットブレーカー発動しました。
今年に入って7回のサーキットブレーカー発動です。
(2000年以降で累計では13回目)
サーキットブレーカーとは
相場が急激に変動した際に、投資家に冷静な判断を促しパニックを防ぐ目的で、証券取引所が強制的に取引を一時中断する措置です。
サーキットブレーカーは、上昇相場の最終局面で過熱感がピークに達した後に発生する「急落・暴落」の引き金としてよく見られる現象です。
7月17日(金)は韓国の株式相場は休場でした。「制憲節(憲法記念日)」だったからです。
7月17日(金)に韓国株を売りたい海外勢は代わりに日本株を売る可能性が高いという指摘もあり、日本株は下げやすかったと思います。
重要なのは半導体関連への資金の流れが以前ほど強くないことです。
この変化を重要視しています。
スペースX(AIバブルの先行指標)
AIバブルの先行指標だと個人的に判断し注視していたのがスペースXです。
上場後に上昇したものの、上場時より下げています。

スペースX 日足
上場前にスペースX株を買うために、他の株を売ったために株式相場全体が調整したほど、人気と影響力があります。
インフルエンサーたちが「価格を見ずに買え」と推奨していた株です。
皆が同じ方向に向く熱狂は危険なサインです。
株式投資では最終的に大衆が損をして少数派が利益になる世界です。
市場は少しずつ「期待だけでは買わない」という姿勢に変わり始めているようです。
この変化を軽視してはいけないと思っています。
オープンAIとアンソロピック
オープンAIはスペースXに続く大型上場を年内予定していましたが、現在、株式相場が不安定なことから上場を来年(2027年)以降に延期することを検討しています。
アンソロピックについては、2026年10月ごろのIPOに向けて準備を進めているとの観測報道がありますが、同社自身はIPOの時期を公式に確定・発表していません。
今、上場したら暴落のトリガーになる可能性があります。
重要なのは、AIそのものへの期待がピークを越え始めている可能性です。
S&P500(皆が一番資金を流し込んでいる先)

S&P500 日足
今、S&P500は大きな下げにはなっていません。
しかし相場を見る時は指数だけを見てはいけません。
市場の内部では資金の流れが少しずつ変わり始めています。
強い銘柄にだけ資金が集中しその他の銘柄は伸び悩む現象がおきています。
今回、大きな下げにならなかったのは日本の投資家が買い支えているという要因もあるでしょう。
表面だけを見ると堅調に見えても内部では変化が始まっている可能性があります。
見えてないところで変化が始まっているということです。
ゴールド(最重要)
ゴールドは2026年1月にピークを付け下落しています。

ゴールド/ドル 週足
ゴールドを売ってAI関連株を買う動きや、株下落で追証を払うためにゴールドを売るケースも多いと判断しています。
また、ゴールドも昨年2025年後半の急騰時はマネーゲーム化していました。
中央銀行はゴールド買い継続していますが金融危機になるとゴールドも下落します。
原油WTI(インフレの先行指標)
中東の地政学リスクが再燃し、原油価格(WTI)が上昇しています。

原油(WTI)日足
原油が高騰すると全ての価格が上昇し(インフレ)、金利上昇、景気悪化の方向、つまり株価下落方向です。
戦争勃発当初から、この戦争は長期化するとお伝えしてきたとおりです。
株暴落につながるのか
今回、このまま世界的な暴落にはならない可能性の方が高そうですが、全く安心できない相場です。
すでに金融危機は静かに始まっているという認識だからです。
金融危機は始まっている?
個人的には金融危機は静かに始まっている可能性が高いと判断しています。
なぜならば、日本国債や米国債の下落(=金利上昇)が続いているからです。

10年日本国債金利 日足 金利上昇=国債価格下落

10年米国債金利 日足 金利上昇=国債価格下落
金融危機は始まっていると判断している理由は、株は通貨安とマネーゲームで上昇していますが、足元の国債が下落し続けているからです。
2026年1月20日、日本国債が「突然暴落」=「急激に利回り上昇」して世界に激震が走りました。
新発30年債利回りは一時3.875%、40年債利回りは4.215%まで達し、いずれも過去最高を更新しています。
現在、その時の水準からさらに下落が続いています。
次の記事を合わせてお読みください。
トヨタ
マネーゲームになっていたAIや半導体関連株は大きく上昇したものの、普通の株は下落基調のものが多いです。
たとえば、トヨタ株は今年に入ってから低迷しています。

トヨタ 日足
2つのバブル
現在、バブルは2つあります。
中央銀行バブルとAIバブルです。
2つのバブルはどちらも政府が拡大しているバブルだと判断しています。
①中央銀行バブル
中央銀行バブルは大量の通貨発行することにより、株やゴールドだけではなく全ての価格を上昇させてきました。
言葉を変えると通貨安政策(=インフレ政策)です。
②AIバブル
米政府によるAI産業サポートの具体的な政策と動向は以下の通りです。
AI企業の株式取得と国民還元構想
米国では、AI企業の利益を国民に還元する「国富ファンド」構想が浮上しています。
オープンAIのサム・アルトマンCEOが、自社株式の5%をトランプ政権に提案・協議していると報じられています。
国家AIプロジェクトへの巨額拠出
日米両政府は共同で、AI技術開発を加速させる国家プロジェクト「ジェネシス・ミッション」に対し、今後5年間で日米それぞれ5億ドル、合計10億ドルの拠出を行うなど、インフラ整備と研究開発を直接支援しています。
日本はこのプロジェクトの初の国際パートナーです。
インテル等への政府出資
AI半導体・インフラ産業のサプライチェーン強化を目的に、米政府は経営不振に陥った半導体大手インテルの株式約10%を取得し、AI業界全体を下支えしています。
また、AI企業の上場に配慮してナスダックルールなども変えています。
官製バブルの特徴は金融危機になっても、おかしくない局面でも延命することです。
今後8月や9月は株式市場が軟調になりやすい時ですが、米国の中間選挙までは株価を下げないためのサポートが続くというのが市場の見方です。
私たちはどう対処するか
①ストップロスを入れる
株などにストップロスを入れておくことをお勧めします。
自分の判断で逃げようと思っていても、暴落が始まると何もできない人が多いからです。
②ポートフォリオを過信しない
暴落しても大丈夫なポートフォリオに組み替えましょうというアドバイスがあっても鵜呑みにしないでください。
暴落時は全ての株が暴落の影響を受けるのでポートフォリオは、あまり役立たないからです。
プロが詰む原因がこれです。
③暴落しても買いとは限らない
暴落したら株を買おうと思っている人は多いですが暴落しても買いとは限りません。
長期下落の可能性があるので、下落してから、その時の状況を見て判断です。
④ガチホは危険
株を長期に保有すれば元に戻るから買ったまま何もしないという考え方が一番危険です。
1929年に発生したウォール街大暴落(世界恐慌)で下落した株価が元の水準(ピーク時)に戻るまでには、約25年かかりました。
1989年のバブル期につけた日経平均株価が元の水準(終値で3万8915円87銭)を回復するまでに、約34年かかりました。
⑤ゴールドは下落したら買い
私はゴールドは下落したら買い増し予定です。
今、世界の構造が変化しているので、その構造の変化を理解すると同時に、世界の各相場の動きに注目です。
最後に
「株価だけを見ると、まだ大丈夫に見えます。
しかし、私は株より国債を見ています。
歴史上、金融危機は株ではなく債券市場から始まることが少なくありません。
だからこそ今後、数か月は株価だけではなく世界のお金の流れを一緒に見ていきましょう。
関連記事
参考出典
日本経済新聞「日経平均下げ幅歴代5位 キオクシア半値割れ」(2026年7月17日)
ITmedia「キオクシア、約370億円の支払い命令に『到底容認できない』」(2026年7月17日)
ビジネス+IT「キオクシア2億2,900万ドル賠償の衝撃」
日本経済新聞「OpenAI、上場時期『年内から27年に延期検討』」(2026年6月26日)
Reuters(marketscreener)「Anthropic plans an IPO as early as 2026, FT reports」
日本経済新聞「米のAI国家戦略に日本参加、両政府が5年で1600億円投資」(2026年6月1日)
ビジネス+IT「OpenAI、米政府に株式5%の譲渡を提案」(2026年7月)
Bloomberg「米政府、インテルの株式約10%取得で合意」(2025年8月22日)
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