イランと米国間の戦闘終結に向けた協議の行方

100日を超えるイランと米国の間の戦闘は、6月17日に了解覚書(14項目)が署名され、21日にはスイスのビュルケンシュトックで仲介国のパキスタン、カタールを交えた最初の協議が行われ、終結への動きをみせている。
しかし、協議項目のうち、以下の問題などで、イランと米国の認識の違いの大きさから今後の協議の進展は不確実性が高い。
(1)ホルムズ海峡の航行管理問題
(2)イランの核開発問題
(3)レバノンでのイスラエル軍の軍事行動停止問題
(4)イランの海外資産の凍結解除問題
その不確実性を象徴するような出来事がホルムズ海峡のオマーン沿岸で起きた。
6月25日、イランのペルシャ湾海峡庁(PGSA)が、同庁が承認した航路外を無許可で通過する船舶に向け警告射撃を行い、その直後にシンガポール船籍の貨物船がイギリス海上貿易運営局(UKMTO)に船体に物体が衝突し、損傷したと報告した。
翌26日に米中央軍(CENTCOM)は、この出来事をイランによる貨物船への攻撃と認定し、同国のミサイルやドローンの保管施設、沿岸のレーダー拠点に攻撃を行った。
これに対し、イラン革命防衛隊(IRGC)は、27日にバーレーンの米軍基地を無人機攻撃し、ホルムズ海峡付近での承認航路外を通行するタンカーに警告射撃を実施した。
さらに28日、米軍がイラン南部の10カ所の軍事関連施設を攻撃したことを受け、イランはバーレーンとクウェートの米軍基地を攻撃した。
この湾岸地域の状況の悪化を踏まえ、国際海事機関(IMO)のホルムズ海峡付近からの船舶の避難作戦は一時中止となっている(約500隻が避難できていない)。
以下では、こうした不確実性が高いイランと米国の了解覚書および終戦に向けた協議に関し、イランの体制内の動きに焦点を当て検討し、戦闘終結に向けた今後の動向について考察する。
イランにとっての了解覚書の意義
米軍とイラン革命防衛隊が、了解覚書に違反する行為を湾岸地域で繰り広げるなか、6月27日、トランプ大統領が「われわれが理性的でいられなくなり、任務を軍事的に完遂せざるを得なくなるかもしれない。その時、イランは存在しなくなる」とSNSに投稿し、イランを牽制した。
しかし、今回の米・イスラエルによるイランへの武力行使で、イランの核開発、ミサイル開発、親イラン武装組織への支援などの問題を解決することは難しく、事態がエスカレーションすることで世界経済が脅かされることが明らかになった。
さらに、米・イスラエルの対イラン攻撃への報復としてイランが湾岸アラブ諸国を攻撃したことで、米軍はこれら諸国の防衛を十分に果たさないことも見えてきた。
一方、イランは、この戦争でイスラム体制の存亡をかけて戦っており、人的、経済的には大きな被害を受けたものの体制は維持され、国家機関も機能している。
さらに、この了解覚書の項目1には「すべての戦線」での軍事作戦の「即時かつ恒久的な」終結が盛り込まれており、親イラン武装組織(レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派など)との連帯がさらに強化できる。
また、項目6のイラン復興資金(3000億ドル)、項目7のイランに対するすべての経済制裁の終了、項目11のイランの凍結資産の解放により、イラン経済に明るい見通しを持つことができる。
したがって、イランにとって了解覚書の枠組みで戦闘終結への協議の進展は望ましいといえる。
了解覚書違反の要因
では、なぜ了解覚書に違反する武力行使の応酬が起きたのだろうか。
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メルマガ&掲示板「イーグルフライ」より一部抜粋しています。
(この記事は2026年6月29日に書かれたものです)
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