バーナム氏が掲げた『マンチェスター主義』はポンドを救うのか?

英国政治が大きく動き始めるようです。
現時点で次期首相の最有力候補とみられるアンディ・バーナム氏が初めて本格的な政策演説を行い、自らの経済ビジョン「Manchesterism(マンチェスター主義)」を打ち出しました。
市場ではこれまで同氏が労働党左派に近い立場であることから、財政支出の拡大による英国債市場への悪影響を懸念する声がありましたが、今回の演説は、そのイメージとはやや異なるものだった印象を私は受けました。
むしろ印象的だったのは、「財政規律を守りながら地方経済を再生する」という現実的な姿勢です。
そしてもしかしたら北の訛りがある政治家が、首相となることかもしれません。
「マンチェスター主義」とは何か
バーナム氏は、自らの経済政策を「Manchesterism」と名付けました。
この単語は既存の経済用語ではなく、同氏自身が打ち出した政治・経済のブランド名という位置づけのようです。中身を見ると、だいたい5つの柱に分けられると思います。
(1)地方分権
(2)地方主導での産業政策
(3)国家安全保障産業を守る
(4)公共サービスを地方が運営
(5)財政規律遵守
この考えの背景にあるものは、かつての英国は製造業で世界をリードしていましたが、現在では多くの工業都市が衰退し、ロンドンだけが繁栄する構図となっています。
そのため、今後は政治や財政権限をロンドンから地方へ移すこと。そして地方ごとに産業政策を策定し、それぞれが成長戦略を描くこと。さらに、鉄鋼、防衛、エネルギー、農業など戦略産業を国内で守り育てることなどが盛り込まれています。
これらの改革は、今後10年間にわたって実行に移され実現されるそうです。
「地方分権」が最大のテーマ
バーナム氏は英国経済の停滞の原因として、ロンドンへの権限集中を挙げています。
英国はG7諸国の中でも極めて中央集権的な国家となっていると語り、首相官邸機能の一部をマンチェスターへ移し、「No.10 North」を設置すると表明しました。
私も聞いていて驚きましたが、この考えは単なる地方創生ではなく、英国の統治構造そのものを変える構想です。
生活コストの改善を最優先現在、英国に住む人々にとって、
最も頭の痛い問題は、生活コストの上昇です。
今回の演説でバーナム氏は、国民生活への配慮も強調しました。例を挙げると、
・ビジネスレート(事業税)の見直し
・商店街やパブへの支援
・生活必需サービスのコスト引き下げ
などです。
同氏の言葉を借りると、「家族旅行や外食を楽しめる余裕を、国民に取り戻したい」そうです。
公共住宅建設計画
バーナム氏は戦後最大規模となる公営住宅建設計画を掲げました。これが実現されれば雇用市場の活性化にもつながります。
英国では1980年代以降、およそ150万戸の公営住宅が失われ、住宅不足が家賃高騰や住宅手当の膨張を招いているとして、空き公共用地を活用し、公営住宅を供給することで住宅問題を解決するとしています。
市場が安心した理由
このスピーチを受け、興味深いと感じたのは、市場の反応でした。
最も懸念されていた英国債利回りとポンドですが、利回りは低下(国債価格は上昇)し、ポンドは強くなったのです。

チャート:TradingView
下のチャートのピンク色のハイライト部分が、スピーチ時間です。
その理由は明確だったと思います。それはバーナム氏が繰り返し、「現在の財政ルールを維持する」と明言したからでしょう。
つまり、積極投資は行うが、財政規律は崩さないというメッセージが、市場に安心感を与えたのです。
個人的に心配なのは、財源がきちんと設定されていないことです。
たぶん今後、住宅建設やインフラ投資が拡大すれば、財政負担は増える可能性が出てくるかもしれません。
その意味でも、市場は今後、財務相人事や予算編成を注視していくことになります。
ポンド相場への影響
現時点では、ポンド相場への直接的な影響は限定的です。
しかし中長期的には、・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2026/6/30の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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