ゴールドが法定通貨になった?金本位制が部分的に復活している

ゴールドが法定通貨になった
2026年7月1日、フロリダ州で、ゴールドとシルバーが法定通貨になりました。
2025年5月に知事が法案に署名し、州議会は全会一致で可決しました。
(下院113対0、上院38対0)
これにより、フロリダ州ではゴールドやシルバーでの支払いや一部の税の納付ができるようになります。
フロリダでは、カードやトークンでの決済インフラを作ろうとしています。
実際に運用開始するのか現時点では不明です。
ゴールドやシルバー購入時の売上税は免除されます。
フロリダ州は、人口2300万人を超える全米第3位の州です。
ただし、正確に押さえておくべき点があります。
ドルが消えるわけではない
ドルが消えるわけではありません。
ゴールドとシルバーは、ドルと並んで使えるようになっただけです。
ゴールドやシルバーを使うのも、受け取るのも、完全に任意です。
ドルをゴールドに置き換えようとしている訳ではなく、
ドル価値の下落から、州民の資産と購買力を守る(ヘッジする)ための動きです。
象徴としては大きいものの、近い将来にドルの覇権が崩れるという話ではありません。
なぜ、こんなことが可能なのか
この背景には、合衆国憲法の条文があります。
第1条第10節は、「州は、金銀以外を債務弁済の法定通貨にしてはならない」と定めています。
もともと憲法は、健全な通貨として金銀を想定していました。
今、州は、その原点に戻ろうとしているのです。
フロリダだけではない
フロリダだけではありません。
すでに次の各州はゴールドを法定通貨として公式に認めています。
ゴールドを法定通貨として公式に認めている州
2011年 ユタ
2013年 ルイジアナ
2014年 オクラホマ
2015年 テキサス
2017年 アリゾナ
2018年 ワイオミング
2023年 アーカンソー
2026年 フロリダ
今後認めようとしている州(法案が提出・審議されている)
サウスカロライナ
ミズーリ
テネシー
ウェストバージニア
米国内の各州で、ドル依存を減らそうとする動きが広がっています。
今、起きていること
今、ゴールドには4つのことが起きています。
①ドル依存を減らす
ゴールドの法定通貨化
②準備金の変化
世界の中央銀行が、この4年、歴史的なペースで現物のゴールドを買い続けています。
(直近は減速・一部売り越しの動きも見られる)
通貨を発行する当事者が、ゴールドを積み増しているのです。
そして、今、ついに節目を越えました。
世界の中央銀行の準備に占めるゴールドの割合が、1996年以来はじめて、米国債を上回ったのです。
(準備資産比率ベース)
③世界の脱ドル
2022年、ロシアは海外にあった外貨準備が凍結されました。
ドルの兵器化です。
主にG7諸国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本など)のほか、EU圏内の中央銀行や国際的な金融機関に預託されていた資産です。
ドルで持つ資産は、いざとなれば凍結されることを各国は学びました。
ドルの兵器化が脱ドル化を推進しました。
そこに、膨らみ続ける財政赤字と、ドルの下落(=インフレ=ドルの希薄化)が重なります。
脱ドルは世界的に「リスク管理」・「リスク回避」が継続して進んでいます。
④フォートノックス問題の再燃
フォートノックスに保管されているゴールドを物理的に監査すべきだ、という議論が再燃しています。
驚くことに、この金庫の完全な独立監査は、1953年を最後に70年以上行われていません。
「本当に、そこにあるのか」という素朴な問いが、公の場で語られ始めています。
以上の4つは、別々の出来事に見えて根は一つです。
州も、世界の各中央銀行も、市場も、同じ方向を向き始めています。
ドルから距離を置こうとしているのです。
本当に見るべきは何か
ここからが、本筋です。
本当に見るべきものを、三つ挙げます。
①準備資産の「地位の逆転」
中央銀行が、米国債よりゴールドを多く持つようになりました。
これは「安全資産といえば米国債」という、半世紀の常識が、静かに崩れたということです。
米国債価格も下落基調を続けています(=金利上昇)
表面の値動きより、この土台の移動こそが、本丸です。
②フォートノックスの簿価
米国の金は、1973年以来、1オンス42.22ドルという法定簿価で記帳され続けています。
帳簿上は、わずか約62億ドル。
しかし時価では、6,000億ドル前後。およそ100倍の乖離です。
この差を時価で評価し直す(mark-to-market=金の「再評価」)ことで、
巨大な含み益を財政に使う案が、静かに議論されています。

図1 フォートノックスのゴールド 簿価と時価 100倍の乖離
簿価を時価に変更することでゴールドについての意味や役割も変わってくるかもしれません。
この変更でゴールドが上がるか下がるかは
・どのような形で実行されるか
・マクロ経済環境(金利やドル高)がどう変化するか
・その時のゴールドなどの相場市況
によってシナリオが大きく分かれます。
③ゴールドのデジタル化(トークン化)
「金庫の中身を信用しろ」という不透明さへの答えがあります。
実は現在、現物の裏付けのあるデジタルゴールドが急成長中です。
2026年の第一四半期の取引量は907億ドルに達し、2025年通年を超えました。
第三者によるリアルタイム準備証明が信頼の新基盤を形成しています。
リアルタイム準備証明とは
暗号資産取引所やステーブルコイン発行体が、顧客から預かった資金と同等以上の資産をオンチェーン上に保有していることを、公開暗号学的証明を用いて継続的・自動的に証明する仕組み
フロリダが構想するカード・トークン決済インフラと、ここでつながります。
フォートノックスの金庫にゴールドがある証明も、ここに繋がってくるかもしれません。
ゴールドは「しまっておく資産」から「日々動かせる通貨」へと姿を変え始めています。
金本位制の部分的な復活
今回、指摘してきた事象を並べると以下のとおりです。
・米国でゴールドが法定通貨になりつつある
・フロリダの積極的なカード・トークン決済インフラ構想
・脱ドル化
・世界各国の中央銀行の準備金としてゴールドが主役になった
・フォートノックスのゴールド保有の証明や時価への見直し
・現物裏付けのある「本物のデジタルゴールド」の急成長
まとめると見えてくるものがあります。
「金本位制」が一部復活してきているということです。
あり得ないと言われていた「金本位制」ですが
気づいたらブロックチェーン技術によって一部実現していたということです。
お金とは何か
こうして考察していくと
「私たちが当たり前に使っているお金とは、本当は何なのか?」
その問いに、自分の頭で向き合うことが、これからの時代の資産防衛の出発点になります。
お金の常識自体が大きく変わろうとしています。
ゴールドは来るべきパラダイムシフトのパスポートといえそうです。
ゴールド相場 上昇か下落か
ゴールドの構造(脱ドル、財政赤字、通貨の希薄化)は崩れていないのでゴールド相場は
長期的には上昇と私は判断しています。
但し、短期的には逆風があります。
①ゴールドは2026年1月の急騰後、日柄調整が続いています。
②それに業を煮やしてゴールドを売ってAI関連株を買う動きが続いています。
③米国の政策金利が下落の予測から上昇予測に切り替わってきているので、なおさら売られやすくなっています。
④この下落を見てゴールドETFの空売りポジションが増えています。
⑤また、金融危機で株が下落した時は円キャリートレードの巻き戻しでゴールドも下落します。
ゴールドの動きは激しいので買い方は次の記事を参考にしてください
相場は変化していくのでリアルタイムの助言はイーグルフライを参照ください。
質問も可能です。
注意点
①保管は自分の手で
州の保管庫に預ければ安心とは限りません。
1933年に、米国政府が国民の金を強制的に没収した歴史があるからです。
自分で保管する意味は大きいと考えています。
投資ではゴールドETF1540がお勧めです。
②円建ての視点を持つ
日本人にとってゴールドは、ドル建ての値動き以上に、円安に対する通貨防衛の意味を持ちます。
ドル建てのゴールドが調整しても、円建てでは調整が少ない傾向があります。
③シルバーは手を出さない
今回フロリダではシルバーも法定通貨になりました。
これを受けてシルバーを強く煽る人が出てくると思いますが、シルバーは短期的にゴールド以上に上昇したとしても仕手的な動きが強いので手を出さないように。
④踊らされない
短絡的に「だから今すぐ買え」とは言いません。
短期の振れは大きく、リスクもあります。
大切なのはゴールドを取りまく構造を理解することです。
ゴールドについてはずっと解説してきました。
最後に
ゴールドが法定通貨に戻り始め
中央銀行が買い集め
政府金庫の中身が問われ
簿価の再評価が囁かれ
金本位制が一部復活している
これらはすべて、一つの問いに行き着きます。
「私たちが当たり前に使っているお金とは、本当は何なのか」
その問いに、自分の頭で向き合うことが、これからの時代の資産防衛の出発点になります。
今後も皆の気付かない構造を解説していきます。
そして、ゴールドの特徴と構造と展望を考えた結果
2001年春以降、「金融資産の半分をゴールドに」するようにお勧めしてきました。今も同じです。
各講師のオンラインサロンや有料サービスもございます。詳しくは商品一覧ページをご確認ください。



























