公開日 2026年5月29日

世界が危機なのにAI株だけ上がる本当の理由 危機がAIバブルを巨大化させる

今、皆が知らないけど一番大事なことは「世界に危機が起きるとAIバブルが加速する」です。バブル崩壊のショックも大きくなります。
世界が危機なのにAI株だけ上がる本当の理由 危機がAIバブルを巨大化させる

危機なのに株高

今、世界は危機に向かっています。
中東リスク
中国経済の低迷
新興国からの資金流出
米国債への不安
しかし、不思議なことが起きています。

危機が大きくなるほど、AI関連株はさらに上昇しているのです。

なぜでしょうか。
実は今、世界中の巨大資金がある場所へ逃げ込んでいます。
その行き先がAI関連株です。
そしてこれは2000年のITバブルと非常によく似ています。

なぜ危機がAIバブルを加速させるのか。
そして最後に何が起きるのか。
わかりやすく解説します。

世界が危機だとバブル加速

今、世界の危機によって過去最大のAIバブルを加速させている可能性があります。
20年以上前から投資常識が崩れていますが、
今でも「危機がバブルを加速させる」大事なロジックが認識されていません。

比較的知られているところでは次のようなことがあります。
「不景気の株高」という現象で、経済指標が悪いと政府が金融緩和してくれる期待などで株価が上昇するというロジックです。
これは小さいことで現在は
世界が危機的状況に陥ると巨大な投資資金が逃げてAI関連株に集中するためにバブルが加速するのです。

以前書いた記事の続きです。

世界も米国も危険

中東リスクが高いのに株価は最高値更新したり、AIバブルに違和感を覚える人は多いです。
今、中東の地政学的リスクを筆頭に、世界が危険な方向に進んでいます。
中国経済の悪化
欧州の低迷
新興国のリスクオフ
米国の財政問題
日本の財政問題

原油価格上昇のために新興国の景気が急激に悪化しています。
たとえば、現在、有望と言われているインドすらエネルギー危機に直面し株価も下落し資金流出圧力が見られます。 

SENSEX 日足 インド株式市場の代表的な株価指数

海外投資家によるインド株式市場からの資金流出が1993年以来最悪ペースで発生しています。
イランの紛争に伴うエネルギー価格の高騰により、インド株は約3ヶ月余りで約180億ドル(約2.8兆円)が売り越されました。*1 (実際の累計はさらに大きい)
今後、新興国の財政や通貨への懸念が高まる可能性があります。
しかし、そのような危機がAIバブルを加速させる燃料になる可能性が高いです。
危機が起きると大きな投資資金が逃げてAI関連株に集中するからです。

米国ですら米国債が下落を続けて危険な状態なので、逃げた一部の巨大資金がAI関連銘柄へ集中する傾向が見られます。

なぜ、こんなことが言えるかといえば2000年のITバブルの時の「バブルの構造が危機が燃料」だったからです。

ITバブルは危機が燃料

2000年のITバブルは「危機が燃料」で今のAIバブルと類似性があります。
1990年代後半、アジア通貨危機が深刻化しました。
1998年8月ロシアも国家破綻しました。(ロシア危機)
アジアで大パニックが発生したのです。
LTCM・ロング ターム キャピタル マネジメントが破綻したのも、この時1998年9月です。

新興国から逃げた資金が向かった先が米国のIT関連株でした。
1998年から2000年にかけてナスダック100は3.8倍に上昇し、歴史的なドットコムバブルが完成しました。
世界の危機が、米国のバブルの燃料になったのです。

現在のAIバブルも、同じ構造で動いていると判断しています。

当時、3.8倍になったナスダック100は、その後2年7ヶ月で約5分の1まで崩壊しました。 

米ナスダック100 月足 2000年当時

暴落したナスダック100は
2003年に1,000ポイント付近で推移していましたが、
現在、2026年5月には30,000ポイントを超えています。
つまりITバブル崩壊後の底値から約30倍に上昇したのです。

米ナスダック100 月足 現在

現在のPER(株価収益率)はナスダック100で30倍前後、AI関連株ではもっと高く(エヌビディアは55倍前後)と、全体としては比較的落ち着いた水準です。
(ドットコムバブル時のナスダックのPERは約65倍)

しかし、ビッグテックが巨額のAI投資を行い、その資金がAI企業へ還流するだけで、実需による最終的な利益成長を伴っていない(利益の付け回し)という懸念が指摘されています。*2
この「利益の付け回し」をどう捉えるかで専門家の間でも意見が分かれています。

また、
スペースX SpaceX
オープンAI OpenAI
アンソロピック Anthropic
など、現在赤字の巨大AI関連企業が相次いでナスダックに上場する動きがあり、
上場すればEPS(1株当たり純利益)を押し下げながら株価は上昇するという構造が生まれかねません。
これはITバブル末期と酷似しています。

一瞬で崩れる・フジクラショック

エヌビディアは、ずっと見通しより良い数字を出し続けてきたことにより上昇を続けてきました。
これは株価を継続的に上昇させるための工夫なのでしょう。
予想を下回るだけで暴落の引き金を引く可能性があります。 

たとえば、先日、フジクラショックがありました。
日本のフジクラ(5803)はAI・データセンター特需で市場の期待が高まっていたところで過去最高益(売上高1兆円突破など)を記録したものの、同時に発表された2027年3月期の純利益が減益であったことや、中期経営計画での投資姿勢が市場の期待に届かなかったことが嫌気され、利益確定売りと見切り売りが殺到し暴落しました。

フジクラ(5803) 日足

市場の期待値が高すぎたために少しでもネガティブな要素があると売られやすい高値警戒感が表面化し、ストップ安水準まで急落したのです。
個別企業で、期待からはずれたことで、これほどの株価暴落が起きたわけですが、このチャートパターンはAIバブル全体の崩壊のパターンと同じと思っていると良いでしょう。
AIバブルの終焉時も、突然の急落から始まりそうです。 

今のバブルが「史上最悪」になりうる理由

ITバブルと同じ構造と書きましたが、現在のバブルは過去最大級のバブルになる可能性があります。
過去にはなかった特徴が二つ重なっているからです。

① AIバブルであること

IT革命も全く新しい期待の分野でしたが
AIバブルはそれ以上にAIの凄さを皆が体験し、
「今後も成長が続く」という期待が合理的に見えるため、過熱感が麻痺しやすい状況です。

実際、エヌビディアの売上高はわずか3年で約8倍に跳ね上がりましたが、AI革命という視点で見れば「バブル」と断じにくい側面もあります。

これが危険です。
数字に根拠があるように見えるバブルほど、崩壊が遅れ、その分だけ積み上がる高さが大きくなります。

② 中央銀行バブル(官製バブル)であること

リーマンショック以降、各国の中央銀行と政府は「バブルが弾けそうになるたびに延命措置」を打ち続けてきました。
ゼロ金利
量的緩和
財政出動
これらが積み重なることで、本来崩壊していたはずのバブルが何度も延命されてきたのです。
金融緩和によって支えられてきた相場のことを中央銀行バブルと呼んでおり、中央銀行バブルも過去に類のない規模のバブルです。

今回のような二つの巨大バブルが同時に存在するバブルは、人類史上初めての事態です。
AIバブルの崩壊が中央銀行バブルも崩壊させるというシナリオもあります。 

皆が安心している時、危機は近づいてくる

今、VIX指数(恐怖指数)は7年ぶりの低水準で推移しており、市場参加者は安心しています。
VIX指数では地政学的リスクも米国債リスクも全て無視している状態は
「市場に危険な楽観論が蔓延している」兆候です。

VIX指数・恐怖指数 日足

皆が危険だと思っているとバブルにはなりません。
皆が安心している時、危機は近づいてきます。

つまり、
皆がバブルの熱狂の中にいる時、危機は近づいてくるのです。

熱狂のピークはスペースXなどの大型上場IPOのタイミングかもしれません。
次の記事を参照ください。

延命するほど崩壊は深くなる

バブルには「物理的な法則」があります。
高く積み上げるほど、崩れた時のショックは大きくなります。
ITバブルでは、崩壊まで約2年かかり、ナスダックは約80%下落しました。
リーマンショックでは、複雑化した金融商品が連鎖崩壊を起こし、世界経済を直撃しました。
現在のバブルは、その両方を超える規模と複雑さを持ちながら、さらに中央銀行が繰り返し「延命」してきた結果、過去より遥かに高い位置に積み上がっています。

政府が次の崩壊を救えるかどうかが、今、問われています。
財政赤字が膨張し、金利が高止まりし、中央銀行のバランスシートがすでに限界近くまで膨張している状況では、次のバブル崩壊を「延命」する余力が残っていないと判断しています。

最後に

バブルで喜んでいる人は多いですが
バブルは過熱するほどバブルの崩壊のショックは大きくなります。
ストップロスを入れておくことが大事です。
突然の急落から始まると思いますのでストップロスの価格が下にずれる可能性もあります。

関連記事 

参考記事
*1 インド、「適温経済」の見方崩壊 エネルギー危機に脆弱、景気指数減速 日経新聞
*2 AIへの投資が利益を生まない理由と、いま取るべき3つの対策 フォーブズ

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プロフィール

松島修

松島修

エフピーネット株式会社 代表取締役 投資助言・代理業 関東財務局長(金商)第1898号、インベストメントアドバイザー、経済コンサルタント、ベストセラー作家

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