「バーナム・リスク」と市場が試す英国の財政規律

5月7日に実施された地方選挙での惨敗を受け、スターマー首相への不満が急速に強まり、労働党内では「ポスト・スターマー」を巡る動きが表面化してきました。
その中で一気に存在感を高めているのが、マンチェスター市長の バーナムさんです。
市場の注目は「財政運営」
この政局不安の中でマーケットが注目したのは、「もしバーナム政権が誕生した場合、英国の財政運営はどう変わるのか」という点でした。
先週後半から英国債市場では国債価格が急落し、30年債利回りは1998年以来の高水準を記録。
マーケットでは、「左派色の強い政権になれば、財政規律が緩み、国債増発が加速する?」との警戒感が急速に広がったからでした。
実際、ヘッジファンドや資産運用会社はポンド下落に備える動きを強めており、ポンド・プットオプションの取引量は、コールの6倍超に達し、ポンド売りヘッジは2年ぶりの高水準となったそうです。
市場が神経質になった背景には、バーナムさんが過去に、「英国は債券市場の言いなりになるべきではない」といった趣旨の発言をしており、それに加え「防衛費を財政ルールの対象外にする案」にも言及していたからでした。
安全保障においてアメリカに頼れなくなった事を思えば、防衛費「拡大」は理解できます。
しかしマーケットは財政ルールの対象外などという「例外」を認め始めれば、最終的に財政規律そのものが形骸化することを恐れているのでしょう。
英国市場は、2022年のトラス・ショックを忘れていません。
バーナム陣営の転換
そうした中、バーナム陣営は週明けに急転換を見せました。
報道官によると、バーナムさんは現在のリーブス財務相が定める現行の財政ルールについて、「一切変更しない」と明言。さらに、防衛費を財政ルールの例外扱いにする案も正式に撤回したそうです。
これは明らかに、英国債とポンド売りというアクションへの強烈なメッセージであり、「バーナム政権=放漫財政」というイメージを払拭し、英国債市場とポンド市場の動揺を抑え込む狙いが透けて見える動きでした。
実際、この発言を受けて英国債は反発し、ポンドも買い戻されており、ひとまずマーケットは、「少なくとも目先はトラス・ショック型の財政暴走にはならないだろう」と受け止めたようです。
まだまだ安心は出来ない
しかし、投資家の不安が完全に消えたわけではありません。それは、「財政ルールを維持する」ことと、「財政拡張をしない」ことは、全く別だからです。
仮にバーナムさんが公共支出拡大に動くと決めれば、その財源は増税になる可能性が高いでしょう。実際、マーケットでは既に「歳出拡大+増税」という組み合わせが意識され始めています。
しかし冷静に考えれば、現在の英国経済は、すでに低成長と高負担に苦しんでいるのも事実です。
企業はエネルギーコストと人件費上昇に直面し、家計も住宅ローン金利上昇の圧迫を受けています。
その中で追加増税となれば、景気は耐えられるのでしょうか?
IMFからの警告
IMF(国際通貨基金)は今週、英国政府に対し、「財政赤字削減計画を維持すべき」と警告。
それと同時に、「大規模な改革なしでは増税余地が限界に近づいている」とも指摘しました。
つまり英国はいま、「財政規律を守れば景気が弱る」、しかし「景気を優先すれば市場が動揺する」という難しいジレンマの中にあると言えます。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2026/5/19の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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