異常な相場の歪 原油先物と現物差 株指数が上昇しても下落株が多い

相場に歪多発
今、各相場で歪が発生しています。
原油では先物と現物の価格差が歴史的に見ても大きく乖離しています。
これはオイルショックが始まっているといえるでしょう。
また、株は今、S&P500や日経225などの株価指数は最高値更新している一方で低迷する株は多いです。
たとえば、日経225は高値更新する一方で値下がり銘柄が過半数を超える日が続いています。
現在、次のような各相場で歪が現れています。
・原油
・米国株
・日本株
・不動産
・為替
それぞれ、見ていきましょう。
原油の歪
現在、中東の地政学的リスクの高まりから北海ブレント原油の現物価格が先物価格(将来の価格)より、歴史的な規模で大きく乖離しています。

「今すぐ欲しい」現物価格が、「将来の価格」である先物よりも大きな幅で高くなるという、極めて異例な状況です。
これは、今後、オイルショックがきてパニックに陥る予兆かもしれません。
特に、イラン紛争だけではなく今年に入って世界の石油施設で火災が発生していて生産能力が落ちているので世界的に原油不足に陥っています。
2026年に入ってからの石油施設火災
ロシア 2026年4月21日
ウクライナによるドローン攻撃を受け、 国内の石油施設で大規模な火災が発生しました。
中東地域 アラブ首長国連邦(UAE) 2026年4月5日
アブダビの防空システムが迎撃した破片の落下により、 石油化学工場で複数の火災が発生し、操業が停止しました。
中東地域 バーレーン 2026年4月5日
国営石油会社の精製施設がドローン攻撃を受けたことが発表されました。
中東地域 アラブ首長国連邦(UAE)東部のフジャイラ 2026年5月4日
イランからのドローン攻撃により大規模な火災が発生しました。
戦争以外の大きな火災は次の通りです。
オーストラリア 2026年4月15日
オーストラリアには石油精製施設が2つしかなく、その一つ ビクトリア州にある(ビバ・エナジー運営施設)で大規模な火災が発生しました。
これにより、ガソリンや航空燃料の供給不足への懸念が高まっています。

アメリカ テキサス州ポートアーサー 2026年3月23日
米国最大級のValero製油所で大規模な爆発・火災が発生しました。
インド ラジャスタン州 2026年4月20日
HPCLの製油所にて開所式のわずか前日に、 蒸留ユニットのバルブやフランジからの漏洩が原因とみられる火災が発生しました。
エクアドル2026年3月1日
SEVIAユニット(減圧残油処理設備)の火災 重油の粘度を下げて燃料油を製造する「SEVIAユニット(Viscorreductora 1)」の装入ポンプ付近で火災が発生。
操業能力は一時的に33%まで低下し、燃料の自給ができず輸入に頼らざるを得ない経済的危機を招いています。
米国株の歪
米国株ではAI、半導体セクターが急騰したことで指数が上昇しているものの半導体以外は軟調な株は多いです。

2026年1月から5月4日までのチャート
上から
青 半導体セクター
赤 S&P500
橙 ヘルスケアセクター
AI、半導体セクターだけの急騰で指数が上昇している背景は次の通りです。
①AI・半導体関連銘柄への集中投資
AI関連の需要は引き続き堅調であり、エヌビディアを筆頭とする半導体セクターに資金が集中しています。
これにより、S&P500指数は高値更新していますが、一部の銘柄だけが上昇する二極化傾向が見られます。
②高金利の長期化懸念
米国債利回りの高止まりにより、利払い負担の大きい中小企業や、ディフェンシブなセクター(公益、不動産など)の株価を下押ししています。
③決算・業績動向の二極化
ハイテク大手の業績が好調でサプライズを起こす一方、消費関連や伝統的な製造業などでは、物価上昇や需要減速の影響で利益成長が鈍化する企業も見られます。
不安定な相場です。
日本株の歪
株価指数の日経225は高値更新する一方で、上昇する株より下落する株の方が多い日も多く不安定です。

2026年1月から5月4日までのチャート
上から
緑 アドバンテスト 半導体関連の代表的銘柄
赤 日経225
橙 NTT 代表的な一般銘柄
特に直近の市場動向として、日経225が史上最高値を更新する一方で、TOPIX(東証株価指数)は軟調なので偏りが見られます。

2026年4月から5月4日までのチャート
上 日経225
下 TOPIX
具体的な背景は次の通りです。
①日経平均とTOPIXの乖離(二極化)
日経平均は半導体などの大型成長株や、日経平均株価に大きな影響を与える一部の「値がさ株」に支えられて上昇しています。
その一方で、市場全体を反映するTOPIXは、AI関連株以外の出遅れ組や景気敏感株が売られることで、日経平均の最高値更新と連動しない(むしろ下落する)動きを見せています。
②上昇銘柄より値下がり銘柄が多い
日経平均が上がっているのに、市場全体(プライム市場)では値下がり銘柄数の方が多い状況は、株価上昇が一部の半導体関連などに集中していることを示しています。
これにより、配当狙いや半導体以外の個別株に投資している投資家の多くは「日経平均は上がっているのに自分の持っている銘柄は下がっている」という状況です。
③年初来安値銘柄の増加
日経225が高値更新にもかかわらず、高配当株やディフェンシブ株、一部のバリュー株が売られ、年初来安値(新安値)を更新する銘柄が多数出ています。
この特徴は株価高値圏で発生する典型的な現象です。
浮動株の減少
日銀が大量の株を買ってきたことで市場には浮動株(ふどうかぶ)が少なくなっています。
2010年12月から2024年3月まで日本銀行がETF(上場投資信託)の購入をしてきたことで日銀が実質的な筆頭株主(大株主)となっている企業が多いです。
一般に浮動株が多いほど株価が安定し、少ないと少額の取引で株価が急変動しやすいです。
つまり、浮動株が少ないと
買いが入れば上昇しやすく
売りが入れば下落しやすくなります。
現在、株が乱高下しやすい一因です。
米国不動産の歪
現在の米国の不動産は
「住宅は供給不足による価格高止まり」
「商業用は需要激減による価格下落」
という、極端な歪みが同時に進行しています。
特に、銀行システムへの影響が懸念される商業用不動産の動向が、市場最大の不透明要因とされています。
①住宅市場は高止まり
過去の超低金利時代に住宅ローンを組んだ世帯が、現在の高い金利(30年固定で6%台など)での借り換えを避けるため、既存住宅を売却せず市場の在庫が記録的な低水準です。
この「ロックイン効果」により、供給が極端に絞られ、需要が勝るため、金利上昇局面にもかかわらず住宅価格が過去最高値圏(2022年のピーク近辺)で高止まりしています。
②商業用不動産の低迷
テレワークの定着によりオフィス出社率が低下し、都市部のオフィス需要が半減したまま回復していません。
商業用不動産ローン債権の約7割を保有する中堅・中小銀行が、価格下落による貸倒損失のリスクを抱えており、金融システムへのリスク要因となっています。
一部の優良資産は価格を維持する一方、老朽化・郊外オフィスは価格が急落しており、市場内での二極化が激しいです。
③地域による価格の二極化
人口流入が続く地域や、手頃な価格帯の地方都市では価格が上昇している一方、過度に価格が高騰した都市圏や、不人気なエリアでは、物件によっては前年比で最大25%の急落を見せる地域もあります。
為替の歪
極端な円安・ドル高の継続があります。

ドル/円 月足
日米の金利差を背景とした長期的な円安基調が続いており、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から乖離した水準にあります。
OECDの購買力平価では1ドル=約100円台が適正とされているのに、現在は150円台で推移しており、約50円以上の乖離があります。
つまり、本来の経済的な実力や物価のバランスから見た場合、円が売られすぎている(安すぎる)状態です。
本来、日米金利差が縮まれば円高に進むのがセオリーですが、現在はその連動が鈍くなっています。
これは円キャリートレードが一つの原因です。
円キャリートレードとは低金利の円で投資資金を借りてドルで投資することです。
そして世界のバブルの原因の一つが円キャリートレードで世界の株価を支えてきました。
現在の円キャリートレードについては、過去のものと異なる部分があったり、大事なところなので別途記事で詳しく解説します。
まとめ
これらの歪にの根底には、中央銀行バブル(中央銀行の超金融緩和が作り出した人工的なバブル)があります。
各相場の歪が同時に解消される時、それは連鎖的なパニックとなる可能性があります。
特に、オイルショックから危機が始まりそうな気配です。
危機、激震に備えておくことをお勧めします。
具体的にはゴールドで対処するのが良いので、こちらの記事を参考にしてください。
次回以降も、社会構造の大きな流れを読み解いていきます。
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