公開日 2026年4月24日

今、インフレではなく危険なスタグフレーション

今、多くの人はインフレだと思っていますが、実は危険なスタグフレーション(不景気のインフレ)に突入していると判断しています。金融危機や深刻な不況を招くリスクが高いです。
今、インフレではなく危険なスタグフレーション

世の中の認識が間違っている

 現在、YouTubeやSNSでは
「インフレが拡大するから株はずっと上昇し続ける」
「インフレだから株は下がりようがない」
「インフレだから株を買え」
という論調が多いです。

「インフレだから株を買え」は、リーマンショックの前にも言われていました。
リーマンショックで株は大暴落したので、当時「インフレだから株を買え」という言葉で株を買った人は結果的に騙されたわけですが、今も同じだと思います。

インフレには良いインフレと悪いインフレ(スタグフレーション)の二種類あるのですが、この違いが認識されていないからです。

インフレとは
「モノやサービスの値段が継続的に上がり、相対的にお金の価値が下がっていく状態」です。

悪いインフレ(スタグフレーション)とは
「景気が悪いのに、物価が上がり続ける最悪の経済状況」です。

 良いインフレと悪いインフレ

インフレには良いインフレと悪いインフレがあり、この2つは全くの別物です。
景気が良くてインフレになるのは良いインフレ
景気が悪くてインフレになるのは悪いインフレ(=スタグフレーション)です。
不景気で給料が上がらずに物価ばかりが上昇するのが悪いインフレ(=スタグフレーション)です。

良いインフレ

景気が良くなると人々の所得が増えて消費や設備投資が活発になり、モノやサービスの需要が供給を上回るために価格が上昇します。
欲しい人が多くなれば価格は上がり、さらに企業収益が増えて賃金が上昇する好循環が生まれると、さらなる需要増を招き物価上昇が続きます。

悪いインフレ(スタグフレーション)

最も典型的な例は生産に必要なコストが急騰することです。
材料費など原価が上昇すると物価が上昇します。
商品が高くなると買い控えするので商品は売れず不景気になります。
不景気なので、企業は雇用を減らし、給料も増えません。
原油高価格が急騰するコストプッシュ・インフレが一番分かりやすい原因です。

スタグフレーションは株が不安定

 インフレとスタグフレーションの違いがプロも含めて認識できていないことが危険です。
一般的に、健全なインフレは株高になりやすい一方で、スタグフレーション局面では株式市場は不安定で下落しやすいです。

 今まさに日本も直撃している

日本の場合、次の2つの要素があるのでスタグフレーションを認識しやすいと思います。
・日本では円安による輸入物価の上昇
・実質賃金がマイナス

過去のスタグフレーション

 ①1970年代のオイルショック

代表的な例は1970年代のオイルショックです。
原油価格が第一次オイルショックで約4倍、第二次オイルショックで約2.5倍の上昇となり、不景気と高インフレが同時発生した典型的なケースです。
海外要因による原油価格の高騰(供給ショック)が急激な物価上昇と不況を同時にもたらしました。 

②2008年リーマンショック前

リーマンショック(2008年9月)の直前、特に2007年から2008年初頭にかけては、スタグフレーション(景気停滞と物価高の併存)に近い症状が見られていました。
2008年には原油価格が1バレル150ドル近くまで急騰し、エネルギーや食料品価格の暴騰を招きました。
米国を中心とした住宅バブルの崩壊により、金融不安と景気後退の兆候がすでに出ていました。
原材料高による「悪いインフレ・スタグフレーション」が発生し、景気が悪いにもかかわらず、生活コストが上昇する状況でした。 (コストプッシュ型の物価上昇)

③2020年コロナと2022年ウクライナロシア戦争

2020年感染拡大によるサプライチェーンの混乱(供給制約)と、2022年ウクライナロシア戦争による資源高騰が、世界的なスタグフレーション懸念を引き起こしました。
その後、沈静化したものの、今回中東リスクの高まりでスタグフレーション懸念が強くなっています。

 現在のスタグフレーション懸念

現在、中東情勢の緊張で原油価格上昇や供給ショックを引き起こすことでスタグフレーションのリスクが高まっています。

 政府は難しい判断を迫られている

FRB(米連邦準備制度理事会)は
インフレ抑制(利上げ)と
景気維持(利下げ)のどちらを優先すべきか
非常に難しい判断を迫られる状況です。

スタグフレーションは単なる不況よりも対応が難しく、対応を誤れば金融・経済システムに深刻なダメージを与えることになります。

現在、米国は
株価を下げたくない
国債の利払いを下げたい
ことから利下げをしたいのですが
利下げするとインフレが加速します。

一方で利上げしてインフレを抑えたいものの利上げすると
株価下落
国債の利払い増加
景気の悪化
をもたらします。

 利上げも利下げも、それぞれ異なるリスクを伴う非常に難しい局面です。

 利上げも利下げも何もしなくても危険

 現在、米国では利下げしても国債利回りは上昇し、長期金利が上昇しているので、何もしなくても長期金利の上昇により、結果的に利上げ(金融引き締め)に近い状態になっています。 

利上げも危険
利下げも危険
何もしなくても危険
ということです。

 政府が金融をコントロールできなくなってきています。

 政府は認めるのが遅れる

スタグフレーションは危険なので、政府はスタグフレーションになっていることや、スタグフレーション懸念がある判断が遅れる可能性があります。
過去にも米国中央銀行FRBが状況認識を大きく遅れて修正した例があります。

2022年、米国中央銀行FRBは、インフレは一時的と言い続けていましたが、大きく遅れてインフレだと認め、急激に利上げしました。
その結果、米国債が暴落し、大量に米国債を保有していたシリコンバレー銀行などが破綻しました。 

現在、政府は「インフレだがスタグフレーションではない」と言っていますが、今後スタグフレーションと認めることになると思います。
その時は、金融危機が明白になっていると思いますので、もう遅いと判断しています。

スタグフレーションでゴールドはどう動く?

スタグフレーション局面では、
一般的に株は不安定で下落方向ですが
ゴールドは長期的には上昇しやすい傾向があります。 
インフレによる通貨価値の下落を防ぐ「実物資産」としての機能と、
景気後退期における「安全資産」としての需要が重なるためです。

ただし、急激な金融引き締め(利上げ)や金融危機などのパニック的キャッシュ化(金融危機)で一時的にゴールドが下落することがあります。
そこが、ゴールドの買いチャンスです。

スタグフレーションが金融危機を招く理由

「悪いインフレ」による家計と企業の圧迫

 賃金が上がらない一方で物価だけが上昇するため、消費者の購買力が低下し、企業のコストが増加します。 

金融政策のジレンマ

 通常インフレを止めるには利上げ(金利を上げる)が必要ですが、スタグフレーション下で利上げをすると、不況(景気悪化)が加速します。
反対に利下げをするとインフレが止まらなくなります。

投資パフォーマンスの悪化

 企業収益が悪化し、株式などの資産価値が低下しやすいため、投資家にとっては運用が難しい環境となります。

 どう対処するか

リスク管理を強化し、資産配分の見直しを検討する局面に来ていると思います。
①株
ストップロスを入れる

②債券
現金化する
金利上昇すると債券は下落するからです。
2023年の利上げで米国債が暴落して破綻したシリコンバレー銀行と同じです。

③ゴールド
金融危機でゴールドが下落したらゴールドを買う。

ゴールドについては2001年から金融資産の半分をゴールドにするようにお伝えしており、絶好調のパフォーマンスになっています。
次の記事を参照ください。

 関連記事

直近の13本の記事で危機が迫っていることをお伝えしてきました。
合わせてお読みください。

 

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プロフィール

松島修

松島修

エフピーネット株式会社 代表取締役 投資助言・代理業 関東財務局長(金商)第1898号、インベストメントアドバイザー、経済コンサルタント、ベストセラー作家

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