日銀は物価上振れ、下振れのどちらのリスクを重視するのか?

原油高により基調物価の上振れ、下振れ双方のリスクが高まり、政策金利を当面、据え置き
日銀は3月17~18日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に据え置いた。
金利据え置きは、中東情勢の緊迫化による原油高が、経済及び基調物価の上振れ、下振れ双方のリスクを高めたためだ。
原油価格の高騰が続けば、交易条件の悪化を通じて景気を悪化させ、需給ギャップの悪化により基調物価が押し下げられる可能性がある。
一方で、原油価格の上昇は短期的にはエネルギー価格を押し上げ、また、企業や家計の予想物価上昇率の上昇を通じて基調物価が押し上げられる可能性もある。
今回の中東情勢緊迫化が起きる以前は、財政による景気下支え効果も加わり、春闘がしっかりした姿となりつつあるなど、賃金と物価が影響しあいながら上昇していく、という日銀の見通し実現の可能性が高まっていた。
基調物価が2027年度にかけての見通し期間の後半には2%の物価安定の目標が実現するというのが、日銀の中心的な見通しだ。
仮に、中東情勢の緊迫化がなければ、追加利上げの議論がなされていたかもしれない。
だが、実際には、中東情勢の緊迫化によって、上振れ、下振れ双方のリスクシナリオの可能性が高まり、中心的な見通し(メインシナリオ)の可能性が低下した。
これは、政策金利据え置きを強いる要因になったと解釈できる。
植田総裁の記者会見がややタカ派的と判断されたのはなぜか?
このように、原油高のなかで日銀は政策金利を当面、据え置くことを決めた。ただ、金融政策決定会合後の植田総裁の記者会見はややタカ派的と判断されたようだ。
このところの政策決定会合後の植田総裁の記者会見後は、為替相場が円安に振れることが多かったが、今回、為替相場は一時、157円台まで円高が進んだ。
記者会見がタカ派的と判断されたのは、以下の理由からだったと思われる。
第一に、供給ショックによる利上げが示唆されたためだ。
これまで植田総裁は、供給ショックによる物価上昇は一時的で、金融政策では対応せず、“look through”する(見て見ぬふりをする) のが基本と説明してきた。
基調物価は、原油高などによる「第一の力」ではなく、賃金上昇などによる「第二の力」によって動かされる、というのが、植田総裁のこれまでの説明だった。
だが、今回は、資源価格などの輸入物価上昇が企業や家計の予想物価上昇率の加速を通じて基調物価を押し上げる可能性がある、とした。
確かに、従来から植田総裁は、資源価格などの輸入物価上昇が予想物価上昇率の加速を通じて基調物価を押し上げる可能性がある点について言及していたが、そうしたリスクはさほど重要視されていなかった。
ところが、今回の原油高は予想物価上昇率を加速させるものとして意識されており、予想物価上昇率が加速した場合、十分な利上げ要因になるという説明に変わった。
第二に、植田総裁は「利上げ判断では景気の下支えとインフレ抑制のどちらを重視するか?」と質問され、「どちらに重点を置いて金融政策を運営するかを答えるのは難しい。最終的には2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から最も適切な対応を選択していく」と答えた。
2%の物価安定の目標を重視するという考え方は、インフレが重視されているように受け取られた可能性がある。
第三に、「原油価格の高騰で景気が減速しても利上げできるか?」と質問され、「景気に下押し圧力がかかり成長率が下がったとしても、それがどちらかといえば一時的なもので、基調的な物価上昇率にそこまで影響しないということであれば利上げは可能」と答えた。
また、「原油高の基調物価への影響を短期間(1~2か月間)で見極められるのか?見極めに時間がかかるとすると、見極めまで政策は据え置くのか?」との質問に「基調物価は過去からの様々なデータから判断している。新たなショックで、どの程度変動するかは短期間でもわかる可能性がある」と答えた。
これにより、4月会合時での早期利上げの可能性も排除しない姿勢が伝わった。
第四に、原油高の基調物価への影響については、政策委員会のメンバーによって上方リスクを重視する人と、下方リスクを重視する人の間で意見が分かれたものの、人数は上方リスクを重視する人の方が多かった、というのが植田総裁の説明だった。
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2026/3/23の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。















