公開日 2025年5月5日

米雇用統計の予想外の堅調さをどうみるか?

関税が経済に及ぼす悪影響は徐々に表面化していくだろう。そして米国経済は徐々に悪化していくだろう。
米雇用統計の予想外の堅調さをどうみるか?

7月上旬以降も、関税が世界経済に及ぼす悪影響は相当程度残る

世界経済は昨年まで米国を牽引役に緩やかに成長した。しかし、トランプ政権の誕生により、昨年までのような「米国を牽引役として拡大傾向を続ける世界経済」の姿は望めなくなった。逆に、米国は世界経済の足を引っ張る形になりつつある。

2025年の世界経済を展望するに当たって、まず、前提条件として、トランプ関税がどうなるか、より具体的に言えば、相互関税のうち90日間、発動が延期されることになった対米貿易黒字に応じた上乗せ関税がどうなるか、自動車や鉄鋼・アルミなど個別品目についてかけられた関税はどうなるか、などについて考えておく必要がある。

米国が各国に対して、どの程度の関税をかけるかについては、今後の交渉次第だ。だが、各国が、トランプ大統領に喜んでもらえるような、素晴らしい「お土産」を持参しない限り、すべての国・地域を対象とした10%の基本税率はもとより、上乗せ部分や自動車、鉄鋼・アルミなど個別品目への関税を撤廃させることは難しいだろう。

最終的には、多くの国・地域に対する関税率は、基本税率である10%を上回る税率になるとみられる。

また、今回の関税が米中覇権争いの一環だとすれば、日欧など同盟国向け関税率が引き下げられたとしても、中国向けの関税率はかなり高いままに維持されるだろう。

以上を考慮すれば、90日経過後の7月上旬以降も、関税が世界経済に及ぼす悪影響は相当程度残るとの前提で、経済見通しを考えなければなるまい。

関税は米・中・アジア諸国の景気を大きく悪化させるが、欧州では財政拡張策への転換で景気悪化は限定的に

そうした前提に立った場合、まず、世界全体としていえば、米トランプ大統領の関税政策による不確実性の高まりが、世界の企業の設備投資を抑制させるだろう。

また、関税導入による物流コスト上昇が世界的なサプライチェーンを混乱させるおそれがあり、コスト増は企業の収益環境を悪化させる。国、地域別にみると、米国は輸入関税のダメージを最も色濃く受ける国の一つになる。

前述した通り、輸入品を購入せざるをえない米国企業の場合、特に、輸入関税による大幅なコスト増が収益環境を悪化させる。加えて、輸入物価上昇によって国内でも物価が上昇すれば、消費者のマインドは停滞する。

米国向け輸出の大きい中国、カナダ、メキシコ、日本、東南アジアなどの国のダメージも大きい。

輸入関税による米国内での価格競争力低下で米国向け輸出が減少するという直接的な影響のほか、米国景気が悪化すれば、それに伴って米国向け輸出がさらに減少するおそれがあり、そうした直接、間接の悪影響が経済を悪化させる。

日本の場合、基幹産業である自動車の輸出減少によって日本経済が大きく悪化すると懸念されているが、25%程度の関税であれば、ここまでの円安のバッファーがあるため、関税がかけられても米国内の現地価格を維持することができるはずだ。

そのため、前述した直接的な影響、つまり、輸出数量の減少によって国内経済が悪化する懸念はさほど大きくないだろう。もちろん、自動車メーカーの利益が大幅に減少することは覚悟しなければいけない。

中国は対米輸出減少による影響を補うため、財政・金融両面での景気刺激策を拡充すると予想されるが、構造的な不動産不況が続くなかで、成長の下支えになっていた輸出が落ち込めば、成長は一段と鈍化せざるをえないだろう。

欧州では、ここまで、中国向け輸出とロシアからの安価なエネルギーに依存した成長が難しくなったドイツが、域内全体の成長の足を引っ張る形になっていた。

だが、ロシアの脅威にさらされる欧州は、もはや安全保障を米国に頼ることはできず、自ら防衛力を強化せざるをえなくなっており、欧州各国の国防費増額が不可避となっている。

さらに、伝統的に緊縮財政政策をとってきたドイツは、財政拡張へと舵を切ろうとしている。

物価上昇がある程度抑制されていることで、ECBが積極的な金融緩和に乗り出していることもあって、欧州ではトランプ関税の悪影響をある程度緩和させることができるかもしれない。

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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2025/5/5の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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