公開日 2024年11月19日

米国のインフレが再加速し始めた

FRBは、少なくとも、物価・賃金上昇率が鈍化に向かうまで、現在のFF金利を据え置く必要があるだろう。
米国のインフレが再加速し始めた

インフレ再加速は一時的なものではない

10月のコア消費者物価は前月比0.3%上昇と、3か月連続で、前月比0.3%の上昇となった。

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3か月前比年率のコア消費者物価上昇率(図1参照)は今年7月には1.8%に低下し、確かに夏場の物価上昇率は2%目標を下回る水準にあった。

7月と言えば、米国の失業率が上昇し、サームルールに基づく、米国経済のリセッション入りのシグナルが点灯した時だ。しかし、その後の同上昇率は急加速し、10月は3.6%になった。今年夏場と現在の状況が大きく変わったことは明らかだ。

このところの物価上昇率再加速の動きは、ハリケーンなどの理由による一時的なものであり、インフレ鈍化のトレンドは続いているとみる向きも多い。

パウエル議長は11月14日の講演で「インフレ率は時に起伏のある道をたどりながらも、2%の目標に向かって引き続き低下していくと予想している」と述べた。

ただ、一方で、「インフレ率は、われわれの長期目標である2%にかなり近づいているが、まだそこには至っていない」とも述べた。

インフレ再加速の原因は、端的に言えば、経済成長のスピード速すぎることだ。

米国経済はソフトランディングというより、減速感のない「ノーランディング」の形で推移している。

成長率は24年1~3月に年率1.6%と鈍化したものの、4~6月3.0%、7~9月2.8%と潜在成長率(2%程度)を上回っている。

9月FOMCでのFOMCメンバーの経済見通しによれば、実質GDP成長率(前年同期比)は、2023年10~12月の3.0%から、24年10~12月に同2.0%に鈍化すると予想されていた。

しかし、7~9月までの途中ラップをみると、昨年10~12月から今年7~9月までに実質GDPはすでに1.9%成長し、年率換算では2.5%とFOMCの想定を上回っている。

FOMCの予想通りに24年の成長率が2.0%になるためには、10~12月はほとんどゼロ成長にする必要が減速ある。

失業率については、FOMCは23年末の3.7%から24年末に4.4%に上昇すると予想していたが、直近24年10月の実績は4.1%で、FOMCの予想ほど上昇しておらず、労働需給が逼迫したままであることを示す。

経済が好調なのは良いかもしれないが、強すぎて過熱気味になれば、米国経済はFRBが想定するようなソフトランディングができない。

労働需給やモノの需給が逼迫して、賃金や物価が上昇する。実際、労働需給逼迫によって賃金上昇率は加速しており、それがインフレにつながっている。

賃金上昇率は物価上昇率に連動して、上向いている(図1参照)。

平均時給の3か月前比上昇率は、4月の2.8%を底に、10月には4.5%と加速している。企業は賃金コスト増加に対して、生産性上昇率でカバーできない分を、販売価格に転嫁する。

賃金上昇率が年率4.5%で、仮に、米国の労働生産性上昇率が同1%程度だとすれば、インフレ率は同3.5%程度になるはずだ。実際のコア消費者物価上昇率は年率3.6%だった。

労働生産性上昇率が約1%で、賃金上昇率が4%台半ばに高まったために、インフレ率も3%台半ばに高まったというのが、現在の米国経済の状況と考えられる。

本来、こうしたなかでは、成長テンポを鈍化させていくために、引き締めが必要だ。だが、FEDは逆に、9月に0.5%、10月に0.25%の利下げを行った。

パウエルFRB議長が述べたように「(インフレが)2%の目標に向かって引き続き低下していくと予想」するのは無理がある。

トランプ氏は、来年1月20日の大統領就任早々、大統領権限で、移民流入抑制、輸入関税引き上げに取り組むことになるだろう。そうなれば、インフレは一段と加速すると見込まれる。

利下げ余地はほとんどなくなっている

さすがに、金融政策も変わらざるをえなくなっている。

・・・

続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/11/18の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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