世界のインフレは再加速の公算
IMFは23年の世界経済再加速を予想
世界経済はロシアによるウクライナ侵攻の影響で昨年春以降急速に悪化した。
さらに、インフレに対応した欧米諸国の利上げにより、今年の経済は一段と減速し、リセッション入りも想定されていた。
しかし、最近の経済指標は、世界経済は減速ではなく、むしろ再加速の様相を強めている。
IMFは1月30日に最新の経済見通しを発表した。それによれば、世界の実質経済成長率は2022年3.4%、23年2.9%となったが、この予想は22年10月の前回見通し(22年3.2%、23年2.7%)に比べ上方修正された。
しかも、この予想数値だけをみると、23年の経済成長のテンポが22年に比べやや鈍化するかのようにみえるが、それは間違いだ。
同数値は暦年ベースの数値で、確かにメディアなどで取り上げられることが多い。
だが、暦年ベースの数値は、それぞれ前年の経済成長による「ゲタ」の影響により、22年、23年の予測数値が必ずしも、22年、23年の経済動向を表わさないという点に留意しなければならない。
IMFはこの暦年ベースの成長率のほかに、各年の第4四半期(10~12月)の前年同期比でみた成長率を発表している。その数値の方が当該年の経済動向をより良く把握できる。
この第4四半期の前年同期比でみた成長率は、2022年1.9%、23年3.2%となっている。
つまり、経済は2022年の大幅に減速したあと、23年は大幅に持ち直すという予想になっている。
暖冬による天然ガス価格下落でユーロ圏景気は22年秋を底に上向く
世界経済の再加速には以下の理由がある。
まず、昨年春以降の世界経済の急速な悪化の背景として挙げられていたロシアのウクライナ侵攻に関して言えば、その直接的な影響は思ったほど大きくなかった。
ウクライナ侵攻直後、西側先進国の経済制裁でロシアの原油輸出が制限され、原油価格の大幅な上昇により、世界経済の深刻な悪化が避けられないとの見方が強かった。
しかし、実際にはロシアは中国などへ原油輸出を増やし、制裁は空振りに近い状態になった。
ロシア原油の大幅減産を想定して一時、急上昇した原油価格は、昨年6月をピークに反落した。
ロシア経済の落ち込みも限定的で、ロシア経済悪化の悪影響を受けやすい欧州経済の落ち込みも最小限にとどまった。
それでもロシアの天然ガス依存度が高いドイツなどでは、冬場の天然ガス不足で、社会経済活動が停滞し、リセッション入りが予想されていた。
だが、思いがけない暖冬により、天然ガス需給は緩和し、天然ガス価格はウクライナ侵攻以前の水準に値下がりした。
その結果、ユーロ圏景況指数やドイツIFO 景況感指数をみると、昨年9~10月頃を底に上向いた(図1)。
昨年末にもリセッション入りが予想されていたユーロ圏景気は大方の予想に反し、上向いた。
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2023/02/06の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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