FX価格差が取れる技術
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
新参者の取引実情
最近の円安相場で為替市場に参入した人も多くいることでしょう。
そうした人は、円売り相場で参入するので、ドル円やクロス円を買う、というトレードになりがちです。だから、日銀介入で下がれば買いたい、と考える人が出てきます。
こうした円安相場は過去にもあり、私がFXを始めた2007年ぐらいも円売り相場でした。そして、その後の円買い相場でせっかく積み上げた利益を失くしてしまった人も多くいました。買う取引しかできないと、売るべき相場でも買い向かってしまい、結果として損になりやすいのです。
デリバティブ取引を理解していない人は、「持っていないものを売る」という売りポジションは感覚的にやりにくいでしょう。円を売ってドルを買う、ユーロを買う、という買いポジションは納得しやすく、こうしたことも円売り相場でFX参入者が増える理由のひとつだと思います。
このような取引の考え方は株式現物のように、取引時に全額支払っているものには適しているかもしれませんが、証拠金取引のFXではよりリスクを考える必要があるわけです。
円がらみの通貨ペアを選択する際には、心のどこかで自分が日本人であったり、普段の生活で使っている円を意識しているのかもしれません。
が、FXは価格差で利益を狙う取引なので、売りでも買いでも利益を狙うためには、こうした心理的バイアスはない方がいいわけです。
ただ、FXは外国為替の取引です。そして拙著でも書いているように、日本経済に関係なく利益を狙うという意味では、「円」から離れた方がいいと思っています。
では、どうするかですが、積極的に円ペアを避けてみるのもトレーダーとして成する手段だと思います。円から離れることで、自分とは全く関係のない国の通貨同士を比較することになりますし、拙著で説明しているテクニカルを使うと、通貨でなくても、商品でも何でも差額を狙えればいいことになります。
金融市場のトレーディングは、いずれも価格差を狙う取引ですから、純粋にどんな商品でも価格差が取れることを狙う技術を身に着ける方が、後々の投資にも役立つのではないでしょうか。
円取引は不利!?
最近の円安で、誰もが為替に興味を持っているようです。先日も普段なら相場の話をしないような人が私に会うと日銀介入を待っている、というような話をしてきました。ドル円が下がったところを買いたい、というわけです。
私は、それには答えず、円の取引は不利である、という話をしました。
円安ということは、円が減価されているわけです。ということは、ドル円やクロス円を取引してた利益は、ユーロドルやポンドドルのようにドル建ての通貨ペアと大きく違います。
具体的に考えてみましょう。100万通貨の取引をした場合、同じ100pips動いた場合、ドル円クロス円は、100万円の利益ですが、ユーロドル、ポンドドルなら140万円以上の利益です。これはドル円が140円以上だからです。
これが円が減価している意味です。円では同じ利幅でも利益が少ないのです。つまりドルやポンド、カナダなどの方が効率的に利益を増やせられるわけです。もちろん、相場が外れれば大きな損になります。
また、先ほどの人は下がったところを買いたいと言っていましたが、普段FXをやっていない素人です。たまにしか取引しないので、買うことしか考えられないのかもしれません。
一方、FXに慣れている人の中には、既に介入期待で円買いをしている人たちもいます。海外勢からすれは、こうしたドル円ショートポジションのストップを狙って買い上がれば、さらに大きく上昇させることが期待できます。
介入がいつ入るかは誰にもわかりません。こうした運に頼った取引をするより、チャートで値動きを見て、より効率的な通貨ペアを選択するのも、利益を増やすにはいい方法かもしれません。これをトレーディングといいます。
いずれにせよ、相場は自己責任なので、自分とは違う意見がいろいろあることを考えてみるのがいいのではないでしょうか。
メルマガ&掲示板「イーグルフライ」に掲載の記事より抜粋しています。
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