公開日 2022年7月27日

日本でもCPI上昇率の実勢は4%近い

今の黒田日銀の判断は、昨年秋まで「インフレは一時的」と言い続けたパウエルFRBの判断と似ているように思われる。
日本でもCPI上昇率の実勢は4%近い

携帯料金引き下げの影響を除く消費者物価は前年比2.8%程度

6月の全国消費者物価は全体で前年比2.4%上昇し、4、5月の同2.5%上昇からやや鈍化した。上昇率のわずかな鈍化は、主に消費者全体の約4%を占める「生鮮食品」が前月比で1.7%下落、前年比では5月の12.3%から6月は6.5%と鈍化したためだ。

6月の全体の前年比上昇率(2.4%)に対する生鮮食品の寄与度は、5月のプラス0.5%から6月はプラス0.3%へとプラス幅が縮小した。

日銀がインフレの目標とする「生鮮食品を除くコア消費者物価」は前年比2.2%上昇となった。こちらは4、5月の同2.1%上昇からやや加速し、日銀の目標とする2%を3か月連続で超えた。

消費者物価の前年比上昇率は、4月以降2%台乗せとなったが、これは前年4月の携帯料金引き下げの反動による部分が大きい。

ただし、反動分が4月ですべて出尽くしたわけではない。昨年の携帯電話料金引き下げについては、前年4月の大幅値下げのあと、8月、10月にも小幅な料金引き下げが実施され、8、10月の2回で全体の物価を約0.4%押し下げていた。

このため、今年8、10月には、今回4月同様、昨年の反動によって前年比の物価上昇率が高まることになる。

逆に言えば、昨年の携帯料金引き下げの影響を除く消費者物価上昇率は、今回発表された前年比の数字(2.4%)より約0.4%ポイント高く、2.8%程度だということになる。

6月の消費者物価前年比2.4%の内訳をみると、エネルギーの寄与度が1.2%、生鮮食品の寄与度が0.3%、生鮮食品以外の食料の寄与度が0.7%、携帯電話通信料の寄与度がマイナス0.4%で、それ以外の品目の寄与度は差し引き0.6%にすぎない。

この数値をみると、消費者物価の前年比の数値を大きく押し上げているのはエネルギー(寄与度は1.2%)と食品(寄与度は計1.0%)だという判断になるかもしれない。

前年比のデータだけではインフレ動向がよくつかめない

しかし、前年比のデータだけでみると、誤解を与えるものになりかねない。

図1は、コア消費者物価(生鮮食品を除く総合)の季節調整済み指数水準、およびコア消費者物価を以下の3つに分け、それぞれの季節調整済み指数水準を示したものだ。

(1)「食料及びエネルギーを除く総合」
(2)「生鮮食品を除く食料」
(3)「エネルギー」

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図1をみると、このうち、消費者物価全体の7%の比率を占める(3)の「エネルギー」が、まず、2020年末を底に上向きに転じ、急上昇を続けたことがわかる。

6月のエネルギーの前年比上昇率は16.5%となった。ただ、今年4月以降は、上昇テンポが幾分鈍っており、3か月前比年率上昇率は6.5%となっている。

次に、20年末を底に上向いたエネルギーの動きに少し遅れて、消費者物価全体の22%を占める(2)の「生鮮食品を除く食料」が21年半ばを底に上向きに転じた。

6月の「生鮮食品を除く食料」の前年比上昇率は3.2%だったが、昨年後半以降、上昇テンポは急になっており、3か月前比年率上昇率は5.3%と伸びは加速している。

最後に、全体の約3分の2と大きな比率を占める、(1)の「食料及びエネルギーを除く総合」については、21年4月の携帯料金引き下げによって一時大きく下落し、その後も下落傾向が続いた。

しかし、22年1月を底に、大きな比率を占めるこの部分も上向きに転じている。結局、この「食料及びエネルギーを除く総合」は、22年1月まで下落傾向が続き、その後上昇に転じたため、6月の前年同月比は0.2%上昇とゼロ程度だ。

前年比データだけをみると、「食料及びエネルギーを除く総合」のこの1年間の動きは、ほとんど横ばいだったようにみる向きもあろう。

だが、実際には、昨年中下落したあと、今年に入ってから上昇に転じたため、前年比がゼロ程度になったことが、図1からわかる。

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2022/07/25の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

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エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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