投資は少額で始め失敗を経験することが大切
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
投資において冷静さは不可欠
投資やトレーディングはリスク管理がすべてですが、リスク許容度は人によって違います。
リスクを好んで取る人もいますし、できるだけ取りたくない人もいます。ただ、まったくリスクを取らずに利益を得ることはできません。何かを欲すれば、それに伴うリスクは必ずあります。
車を運転して自由に移動できる代わりに、事故にあう確率も上がる、スポーツを楽しむ代わりにケガをするリスクがある、というようなことです。
投資におけるリスクはお金の損失だけなので、車の事故のようなことはありません。お金が減るだけです。
これを避けるために必要なのは、リスクマネジメントの知識と経験だけで、スポーツのように身体を鍛える必要もありません。頭は鍛えなくてはなりませんけど。
車の運転やスポーツの例の場合、最初から危険な行為はまずできません。身体を動かすことを伴うため、スピードが出れば怖くなりますし、スポーツではそもそも危険な領域に足を踏み込むほどの動きはできない場合が多いでしょう。
ところが投資はこの点が違います。クリックひとつで大きなお金を動かすことができてしまうので、危険な領域に簡単に踏み込んでしまいがちです。
これを避けるためには、投資は少額で始め失敗を経験することが大切です。少額で失敗することで、簡単にお金が無くなることを経験しておくことは、投資を続けていくうえでとても大切なことです。
このステップを経ず、最初から多額の資金を突っ込む取引はダメージが大きくなりがちですし、立ち直りにくくなります。
性格的にリスク許容度の高い人ほど、大きなリスクを取りがちなので、この点は注意が必要です。特にリスクを怖がらない人は、そもそもリスクが見えていない場合もあります。
未来に楽観的で未知のことでもまずチャレンジしようとうとする人は、知らなければ怖くない、ということです。自分がリスクを取るタイプの人は、まず冷静になって学ぶことをお勧めします。
一方、リスク許容度の低い人は、そもそも投資をしない人も多いと思うかもしれません。ただ、こうした人が投資を始める場合は、何かのきっかけで冷静な判断を放棄していないかが重要です。
普段はリスクを好まない人が、自分を変えたいとか、これまでの人生をやり直したい、などのような一念発起をした場合は冷静さを欠いてリスクに無防備になっている場合があるからです。
いずれにせよ、リスク許容度の高い人でも、低い人でも、投資において冷静さは不可欠なのです。
トレード戦略は自分で考える
私はFXトレーディングも技術だと思っています。どんな技術も、知識と経験が必要ですし、一定以上の反復練習と実務経験が必要になってくるはずです。
FXを何も知らない、これから始める人は、例えるなら料理を作ったことのない人です。包丁の持ち方も知りませんし、調味料も知りません。なんとなく料理を見たことはあるかもしれません。でもそれは完成品を見ているだけなので、完成に至る過程を知りません。
実際に料理を作るには、包丁やフライパンを使ったり、火加減を調節したり、技術習得は簡単ではありません。それでも最近はYouTubeで作り方を学ぶことができます。
私もYouTubeを見ながら料理を作ることがありますが、同じものをもう一度作るには、同じ動画を見なくてはなりません。つまり、見ながら、指示通りに作業しているだけなので、自分のモノになっていないのです。
これはFXや投資でも同じかもしれません。誰かの意見や情報を参考に取引するのは、単に指示通りの作業をしているだけで、自分のモノになっていない可能性があります。
そして、指示通りでも、時には美味しい料理ができたり、相場で儲かったりもします。でもそれは自分の力ではないので、指示と違うことをしたり、自分流のアレンジをすると途端に上手く行かなくなったりします。
つまり、それは自分の技術ではなく、言われた通りのことが、たまたま上手くできただけなのです。
相場状況に合わせて、自分でトレード戦略を考え、実行するということは、冷蔵庫の残り物でメニューを考え、臨機応変に料理を作るようなものです。
自分が見た目の前の情報を、自分だけで判断して取引することが出来なければ、投資で利益を重ねることはできません。
自立したトレーダーになるためには、こうした視点も必要なのではないかと思います。