自分の取引方法を確立するための道のり
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
お知らせ 新刊「誰でも学べば一生役立つ投資の基本技術」発売
先日、最近刊「誰でも学べば一生役立つ投資の基本技術」が発売となりました。執筆、執筆協力、編集協力、企画協力などした書籍が今回で15冊になりました。
これから投資を始めたい人、何に投資するのがいいか迷ってる人の参考なれば幸いです。 すべての投資に共通する基本と考えることを書いています。 ここでのポイントは「時間」です。
誰でも学べば一生役立つ投資の基本技術(チャートが導く相場のいいとこ取りがお金を増やす)
田向 宏行 (著)
出版社 :自由国民社
https://www.amazon.co.jp/dp/4426127130/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_M1WBXF6PZPR4Y9PDA0S9
ルール・ブック
FXを始めると「トレードノートをつけよう」と書かれているものを目にすると思います。
私はトレードノートには2種類あると考えています。1つは自分の取引ルールを記したルール・ブック。そしてもうひとつが取引の記録でトレード・ログとも言われるものです。
私の経験からすると、ルール・ブックは当初考えた以上に重要でした。
自分なりの取引ルールを作っても、最初はなかなか覚えられませんでした。当時は年間収益が黒字化していない素人でしたし、テクニカルも表面的に使うだけ。今思えばFXやマーケットのことを、ほとんど理解していなかったのです。
FXを始めると、自分に合った取引方法を探す中で、誰もがいろいろなやり方を試すでしょう。このとき、その取引ルールをキッチリ決めておかないと、判断に迷う場面がでてきます。すると、その場の自分の感情や思い込みで取引することになりがちです。
こうなると最悪で、結局は思いつきの取引をすることになってしまいます。こうしたミスを減らすために、私はルールを定型化、明文化し、取引ルールを箇条書きにしました。
①どの時間軸で
②どのテクニカルが
③どのような状態になったら
④どこに損切をおき
⑤利確目標をどこにして、エントリーするのか
ということを書き出しておきます。
これはエントリーを考える時のチェックリストになります。また自分なりの取引方法を考えても、最初は何かのサインを見落としてエントリーしてしまいがちです。少なくとも私はそうでした。
エントリー前のチェックリストを作ることで、見落としを防止することができます。また取引ルールを記録しておくと、FXの成長過程でいくつものルールを考えた結果、自分がどのようなテクニカルを好んだり、なにを基準に相場を考えているのかが見えてきます。
FXトレーダーとしての自分の特性を知る意味で効果的だと思います。
ただ、こうした複雑なテクニカルの組み合わせより、拙著にあるダウ理論を理解する方がずっとシンプルです。そして、シンプルなものの上に、テクニカルを乗せる方が、効果的だと思っています。
損失を恐れて複雑な組み合わせにするより、まずはシンプルに値動きがどういうものかを理解することが一番だと思います。
トレード・ログ
ルール・ブックを作っても現実の取引は簡単ではありません。
儲けたい欲望と、損を避けたい恐怖心からルールを無視することが起こるからです。またルール自体に不備があり、相場状況が変わると機能しないこともあるでしょう。これらはFXを続ける過程で誰もが経験することだと思います。
損失が生じれば、ルールに不備があったのか、相場が想定外の動きをしたからかを明らかにする必要があります。ルールに不備があれば改善が必要ですし、想定外なら損失も許容しなくてはなりません。
ただ完璧な取引ルールは存在しないので、そのやり方がどれくらいの確率で利益や損失になるかを把握することが最も重要です。
取引毎にログに記録し、データを取って検証できるようにすることが目的なのです。
拙著(臆病な人でも勝てるFX入門)でも、FXを始める人に向けて、データを取ることの重要性を書いていますが、まさにこのことです。
取引ルールを考え、その通りに取引をし、ログに記録していきます。
これがあると、後日集積されたデータを検証することで、そのルールが一生使える道具になるか、ただの思いつきかのフィルターになります。
取引後の感情に左右された偏った記憶や印象ではなく、データという事実が客観的に自分の取引を示してくれます。
トレード・ログには、
①いつ
②どの通貨ペアを
③どのような理由で
④いくらの価格で
⑤損切をどこに置き、エントリーしたか
を記録します。そして
⑥いつ
⑦どこで決済したか
⑧決済した理由は何か
を記録します。
そしてそうしたログが蓄積されると自分の取引傾向やルールの確率がわかってきます。
こうしたルールの作成と検証を繰り返すことで、取引ルールが磨かれ、より自分にとって確率が高い取引方法が見えてきます。
トレード・ログは自分にとって高確率な方法を探すためにあります。
ダウ理論の基本に基づいた取引に辿り着いた理由
ここまで、ルール・ブックとトレード・ログのお話をしてきました。このようなルールや記録は、自分の取引方法を確立するための道でした。当時の私は、システム手帳のリフィルに書いてきました。自分の道を探る過程では、断然、手書きをお勧めします。
ただ、試行錯誤の結果、現在はダウ理論の基本に基づいた取引をしています。このため新たなルールを考える必要もありません。
このコラムのためにFXを始めた頃から試した取引ルールを見返すと、30個以上ありました。もうずいぶん前の日付で止まっていましたが、FXを始めたころは先人の戦略を参考に、いろいろと試行錯誤してきたわけです。
結局、自己流でいろいろなテクニカル指標を組み合わせるよりも、100年も前からある値動きの基本的な法則に従う方が、私にとっては、相場を理解でき、利益を得るにも良かったということです。
相場では突発的な動きや、一時的な動きもあります。しかし、自分の方法が確立していれば、そこで上手く行こうと、損をしようと、ブレることなく淡々と続けることが大事ですし、長期的にはそうしたブレない取引方法が収益に貢献すると思います。