中東戦争と世界経済 ― ホルムズ海峡が握る市場と為替の行方

米国とイスラエルによるイランへの軍事行動が続く中、金融市場ではその世界経済への影響が大きな関心事となっています。
今回の衝突は単なる地域紛争にとどまらず、エネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡を巻き込む可能性があるため、2022年のエネルギー危機よりもタチが悪いかもしれません。
湾岸諸国でのエネルギー生産の停止
ホルムズ海峡は世界の石油・天然ガス輸送の約2割が通過する重要な航路です。
この海峡の機能が損なわれれば、エネルギー価格は瞬時に世界経済へ波及し、実際に足元で原油価格が急騰しているのも、こうした懸念を反映したものとなっているのは間違いありません。
紛争は長引くのか?
現時点で多くのエコノミストが想定しているのは、紛争が比較的短期間で沈静化するシナリオのようです。
軍事行動が数週間程度で落ち着き、ホルムズ海峡の混乱も徐々に収束するのであれば、エネルギー価格の上昇は一時的なものにとどまる可能性が高いのですが、私は個人的には予想以上に長引くイメージを持っており、私たちの目の前で起きている事は、ほんの序の口の動きとも言えそうです。
忍び寄るインフレ懸念
当然ですが、原油価格の上昇は、主要国の金融政策に大きな影響を与えます。
米国ではインフレ率が再び3%を上回る可能性が指摘されており、FRBの利下げ開始時期はこれまで想定されていたより遅れるとの見方が優勢で、次の利下げは夏ではなく秋になるとの予想が出てきました。
ユーロ圏では、今回のエネルギー価格上昇がどの程度、景気回復を頓挫させるかについては意見が分かれますが、インフレ率の上振れの影響で、ECBの利上げの可能性をマーケットは折り込み始めています。
英国でも事情は同じです。イラン攻撃が始まった当初は、エネルギー価格が高止まりすれば、英中銀の利下げ時期は遅れる可能性があるという見方でしたが、ここに来て、年内の利下の可能性が完全になくなっています。
さらにマズいことに、インフレ懸念を先取りした国債利回りの上昇により、政府の利払い増額を嫌気した財政不安が徐々に話題になってきました。
為替市場ではドルの一人勝ち
こうした状況は、為替市場にも影響を及ぼしています。
地政学的リスクが高まる局面では、安全資産であるドルとスイスフランに資金が流入しやすく、実際にエネルギー価格の上昇とともに両通貨は大きく上昇してきました。
それに対して、エネルギー依存度が高いユーロやアジア通貨には下押し圧力がかかりやすい状況となっています。
改めて繰り返すまでもありませんが、エネルギー輸入国と輸出国の違いも為替市場では重要なポイントとなります。
原油価格の上昇は、一般的にエネルギー輸入国の通貨にはマイナス要因となる一方、資源輸出国の通貨を支える要因と受け止められているので、今回の原油高が長引けば、通貨間のパフォーマンス格差が広がる可能性も出てくるかもしれません。
時間との戦い
今回の情勢で最も重要なのは「時間」ではないでしょうか?
紛争が短期で終息するか、それともエネルギー供給を揺るがす長期的な衝突へと発展するかによって、世界経済のシナリオは大きく変わるからです。
仮にホルムズ海峡の混乱が長期化すれば、原油価格が120〜150ドルを超える可能性も否定できず、その場合にはインフレの再燃と金融政策の転換(利下げから利上げへ)が同時に起き、為替市場も大きく揺れることになります。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2026/3/10の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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