公開日 2024年3月14日

この程度の円高では終わるまい

11日、日銀はTOPIXの午前中の下落率が2%を上回ったにもかかわらず、ETFの買い入れを見送った。TOPIXの2%超安でETFを買い入れるという慣行が破られたことは、日銀がいよいよ3月18・19日の会合で「金融政策の正常化」(ETF、REIT買い停止含む)に動くことを示唆。
この程度の円高では終わるまい

FRBの意向は見えている

先週号でお伝えした「当面のドル円行くえ」に関しての日銀・FRBの動向は、基本的にその通りの展開となりつつある。


まず、FRBの動向から記しておこう。

7日、FRB議長は上院で半年次の議会証言を行った。金融政策の進め方について、「要点ノート」(記者団に配布済)では、1月31日の前回のFOMC後の記者会見で言っていた

「利上げはピーク到達/年内に利下げに進む/状況次第では再引締めもあり得る/2%目標に進める確信がより大きく持てるまで、利下げはしない」を再記していた。

ところが、質疑応答でパウエル議長は、利下げに進むのに必要な確信を得るのは、「遠くない(Not Far)」と発言した。

1月のインフレ指標はCPI、PPI、PCEデフレーターといずれもコア指数の前月比上昇率が高く、はたして年内利下げ開始の方針を保持できるかも定かでなかったはずなのに、議長が利下げ開始に前向きになったのはナゼか。

1月分のインフレ指標は震撼の数字が並んだ。CPIはコアで前月比+0.4%、住宅関連を除いたサービスのスーパーコアの前月比は+0.85%であった。

PPIも食料、エネルギー、貿易サービスを除いた系列で前月比+0.6%、PCEデフレーターもコアは前月比+0.4%の上昇であった。PCEコアの前月比上昇率+0.4%が一過性で、それ以前のペースに戻れば6月か7月に、FRBは利下げ開始に進める。

しかし、その戻りが小さい場合は、本来、PCEコアの前年同月比+2%到達が遠ざかってしまう。利下げ開始次期の予想を前倒しすることへの説明は難しくなる。雇用の面からも利下げ開始時期を前倒しすることの説明は難しい。

一応、着実な雇用者の増加が続いているし、失業率も3.9%(2月)と悪化したものの、4%を切っている状況では賃金は下げ足が鈍化する可能性。

ただ、1月のインフレ上昇の動きが一過性であることを見切っているかも知れず、利下げ開始時期を前倒しする発言はこの点に基づいていることは考えられる。

FRBが3月1日に議会に提出した金融政策報告のインフレについての記述で、短期間の変化率では一過性の要因による動きが誇張されることがあると記している。

それでも、本来、一過性かどうかの判断には数ヵ月のデータが必要であり、この段階で利下げに前向きを伝えるには時期尚早だろう。

どうやらFRB議長の利下げ前倒し発言には3つの背景があるようだ。

1.インフレ率分析

コアPCEデフレーター前年同月比は、22年2月の5.75%をピークに下げが続いている。パエウル議長は21年のジャクソンホール講演で、当時の高インフレ率は一過性と断じていた。

結果として、利上げが遅れ、その後のインフレ率上昇を引き起こしたという批判を招いた。今は利下げ開始で判断を間違えられないところだ。

このため、利下げに動けるように布石を打ったというのが背景の一つだ。

2.リセッション到来の兆し

2つ目に、これまで市場筋もエコノミストも外れ続けてきたリセッション到来の兆しを、FRBが把握し始めた可能性である。

ノースウェスタン・ミューチュアルの年次調査によると米国人の経済的な不安が、ここ10年で最も高い水準にあるとし、その不安をあおっている主要因は生活費の高騰という。

世帯収入の伸びがインフレ率以下になっているとの回答が圧倒的。

その結果が1月の小売売上高に表れているし、ここに来てクレジットカードの延滞率が、12年ぶりの高水準になっているとの指摘もある。前倒し(利下げ)でスタグフレーションの芽を摘み取っておく必要性を強めたのではないか。

そして3つ目が・・・

続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/3/14の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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プロフィール

金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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