公開日 2023年4月8日

ゾルタンポズサー【12】共同通貨BRICSコイン設立

BRICSコインの設立など地政学リスクによるインフレが始まりました。コモディティの獲得競争がすでに始まっていますが、東側のG7と西側のG7の対立によるインフレはまだ始まったばかりです。
ゾルタンポズサー【12】共同通貨BRICSコイン設立

前回の記事はこちら
【1】ブレトンウッズ体制3は起きるのか?


【2】米ドル時代の終焉と人民元時代の到来

【3】2023年 FXでの勝者と敗者

【4】 2023年 何に投資をすべきか

【5】 世界は新冷戦時代 2023年も60/40には戻らない?

【6】 L字型の大不況とスタグフレーションの必要性

【7】予言どおりに世界情勢は変化

【8】「TRICKs」の脅威

【9】 コモディティのスーパーサイクルが到来!?

【10】 地政学リスクによるインフレが始まった!


【11】ペトロ人民元の現実化

グローバルイーストとグローバルサウスの統合とSCO、BRICSコインとは?

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ゾルタン・ポズサー(ZoltanPozsar)氏
credit-suisse.comより引用

ゾルタン・ポズサー氏BRICS+(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカにトルコとサウジまたはエジプトを加える)または東側のG7も予言していました。

ロイターの昨年6月の記事にあるように、イランとアルゼンチンは昨年7月にBRICSに加盟を申請したようです。また、アラブニュースによると、サウジアラビア、エジプト、トルコがBRICS加盟を検討しているそうです。

日本語の記事ではロシア制裁への国連決議の棄権国を調べようとしても出てきませんので昨年10月のTIMEのニュースを載せますので、地図を御覧ください。

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出典:TIME

黒が棄権国です。アジアでは中国、ベトナムに加え、タイ、インド、パキスタンなど西側に近い国も棄権しています。一方、意外だったのですがブラジル(当時は右派政権)や西アフリカ諸国の大半はロシアを批判しています。

BRICSにイラン、アルゼンチン、サウジ、エジプト、トルコが加わりBRICS+となるわけです。棄権国であるベトナム、タイ、パキスタンやアフリカ諸国も西側ではなく中立ということでしょう。

資源国と工業製品生産国であるグローバルイーストとグローバルサウスが統合し、消費国のグローバルウエストと対抗する可能性があるようです。

そして、軍事面でも、冷戦時のワルシャワ条約機構にあたるNATOに対抗する新組織が形成されているようです。上海協力機構またはSCOです。

現在のメンバーは中国、ロシア、インド、パキスタン、スタンが後ろにつく旧ソ連のイスラム諸国の8カ国でした。2021年になると動きが活発化します。サウジ、エジプト、カタールのサミット参加、イランをメンバーにするか、2022年は他の湾岸諸国やミャンマーのサミット参加も協議されたようです。

BRICS+メンバーによる軍事同盟も、実は進行していたのです。そして、クアッドメンバーのインドは実は上海協力機構のメンバーだったのです。日本のマスコミの報道ではクアッドメンバーで西側諸国の一員だと思っていたのですが、ポズサー氏の記事によると、東側諸国の一員のようですね。そして、湾岸諸国は米国の軍事支援をもう当てにしていないようです。

さらに、Economic timesの概要にあるように、2022年6月のBRICSサミットで、プーチン大統領がBRICS五カ国の通貨バスケットによる世界標準通貨が必要だと述べたそうです。

ブレトンウッズ3ではコモディティが重要なので、それを通貨バスケットの重みづけに使用すべき、また、相互の通貨スワップも必要としているそうです。

今年1月にアルゼンチンとブラジルが共同通貨構想を発表したことは記憶に新しいです。

BRICSはサウジ、トルコ、エジプトなどを加えBRICS+となり、上海協力機構として軍事同盟も結び、BRICSコインという共同通貨も推進しているわけです。

NATOと米軍、米ドルを基軸とする西側G7対上海協力機構とBRICSコインを基軸とするBRICS+の対決の構図ができあがってきているのです。

こうした状況下で、欧州は当てになるのでしょうか?原油や天然ガスを握り、最大の貿易相手国である中国への欧州の元首の訪問が続いているのは当然といえるでしょう。

ESGや人権問題などは衣食住が満足に供給されて初めて考えるようになる問題ではないでしょうか?欧州や英国では日常生活が危機に瀕しているのです。

G7で米国と完全に歩調をともにしているのは、資源国であるカナダやオセアニア諸国と英国、いわゆるファイブアイズと日本のみのようです。

西側諸国は自国精製や資源国有化によりコモディティだけでなく、精製品や石油化学製品も東側G7からの輸入に頼ることになり、構造的なインフレとなる!

中国は

  1. 人民元建てで原油や天然ガスを安く仕入れる
  2. 精製品を西側諸国に高く売る
  3. 安い光熱費でBASFなど欧州の石油化学企業を誘致する
  4. 潤沢な資本を使いイランや湾岸諸国のインフラ整備を助け、
    現地での精製品を増加させる

西欧メジャーからの解放が制裁されているイランだけでなく、されていない湾岸諸国でも起きるわけです。原油だけでなく、精製されたガソリンやディーゼル、プラスチックなどの石油化学製品も東側G7のものになるわけです。

西側諸国は精製製品や石油化学製品も東側から輸入することになり、構造的なインフレとなるのです。

そして、資源国有化の動きが強まっているそうです。FT英語版にあるように、昨年10月にインドネシアがEV用のレアメタルについてOPECのようなカルテルを提言したそうです。実施されてはいませんが、国有化の良い例です。

日本総研のレポートにあるように、自国での精製を狙って、2020年からニッケル鉱の輸出を禁止しており今年はボーキサイト鉱も追加するようです。2022年からは石炭にも適用されています。

東洋経済の記事にあるように、カナダは中国企業3社にリチウム採掘を禁止、EV電池に必要なリチウムやニッケルの自国製品を増やしていくそうです。

コモディティの獲得競争がすでに始まっているのです。

中国が人民元建てで原油と天然ガス市場を支配し、湾岸諸国では今後3年から5年で原油精製や石油化学産業を支配し、BRICSコインも発行されます。資源国有化もすすみます。

こうしたコモディティの負担を5年後の米国債券金利は全く反映していないとポズサー氏は訴えています今回大騒ぎとなったOPEC+の減産などは西側諸国が今後負っていくコモディティの負担の始まりに過ぎないわけです。

長い平和が続き、地政学リスクは2世代にわたり重要ではありませんでした。今後は重要になるのです。ローフレーションは終了したのです!

パンデミック、刺激策、サプライチェーン問題、労働力不足、ウクライナ紛争が起きましたが、現在のインフレ予測は地政学リスクを考慮していません東側のG7と西側のG7の対立によるインフレはまだ始まったばかりであり、5%以上の金利が続いていくそうです。

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プロフィール

松田遼司

松田遼司

東京大学史学科を卒業後、内資メーカーに入社、半導体需要予測を担当。IVYリーグ系M.B.A.をアート・マネジメントとインターナショナル・ビジネス専攻で修了後は外資系半導体メーカーでアナリスト・広報・企画等を担当。その後ウェブ系外資系企業CEOを経て起業、2度のイグジットを達成。さらには内資メーカーでメディカル事業部を立ち上げ、ロンドン市場上場の黒字企業のM&Aを実現させた。

映画・写真・美術・旅行・料理・ワイン・漫画などについて造詣が深い。
自分ではなく、世の中のためになる仕事に就くことを理想としている。

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