金融の闇 エンロン型詐欺は続く
FTXの破綻はエンロン型詐欺
2022年11月11日に世界で2番目に大きい暗号資産(仮想通貨)取引所のFTXトレーディングが破綻しました。
業界で2位の信頼度が高いと言われた企業の突然の大型破綻はエンロン型の破綻です。
エンロンから始まった不正と詐欺が、金融業界に闇に存在します。
https://real-int.jp/articles/1882/
人間が地球の表面を歩き出して以来もっとも賢い男
エンロンのCEOのジェフリー・スキリング氏はハーバードビジネススクールで最優秀、その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入った人です。
人間が地球の表面を歩き出して以来もっとも賢い男と呼ばれました。
彼のモットーは「限界に挑戦する」でした。
スキリング氏が、当時史上最大の破綻の張本人です。
頭の良い人が正しい判断をするわけではない好例です。
エンロンとは
エンロン(Enron Corporation)は、米国テキサス州ヒューストンに存在した総合エネルギー取引とITビジネスを行っていた企業です。
2000年の売上高1,110億ドル(全米第7位)
2001年の社員数21,000名
という、世界で最も最先端で革新的な一番人気の巨大企業で、
エンロンに入社できることがステイタスのような人気でした。
ガス・電力・水・天候・排出デリバティブ取引・CDSを扱っていました。
もともとガス会社が最先端金融工学で金融機関になったのです。
史上最大の負債を負って破綻したエンロン
巨額の不正経理・不正取引による粉飾決算が明るみに出て、
2001年12月に破綻しました。
破綻時の負債総額は、簿外債務を含めると400億ドル超(4兆円超)
2001年時点では米国史上最大の破綻です。
エンロンショックと言われました。
その後、ワールドコム破綻事件で負債額の大きさは更新されました。
エンロンで問題となったのは次のようなことです。
・過度なリスクテイキング
・不正会計(株主や取引先などを騙す詐欺)
・同じ電力に同量の売りと買い取引
・巨額の簿外債務の隠ぺい
・スキリングは株売り抜け(インサイダー取引)
・カリフォルニア州の電力送電を意図的に停止させ電力価格つり上げ
・その他いろいろ
詐欺と不正の塊、拝金主義のやり方です。
アナリストは強く買い推奨
ここで、興味深いことがありました。
エンロンの株が暴落しても破綻直前迄、多くのアナリストが強く買い推奨していたことです。
エンロン事件でアナリストの信任は大きく失墜したといえます。
一方で、投資家ジェームズ・チェイノス氏はいち早くエンロンの詐欺を見抜いてエンロン株を空売りして大きな利益を得ることになりました。
多くの人が資産を失う一方で、資産を増やす人がいます。
専門家や報道を鵜呑みにすることがいかに怖いかが分かる事件でした。
エンロン事件の問題はデリバティブと金融工学
エンロンの特徴は最新の金融工学を使い、デリバティブを使った取引で外部からはその実態が分からない状態でした。
最新の金融工学と聞くと、やはり大型破綻したロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)があります。
https://real-int.jp/articles/569/
ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)破綻事件は、詐欺ではないものの、大きな信頼を得ていた企業があっという間に破綻してしまいました。
相場の本質を理解しないで、高度な金融工学というだけで、確信を持って間違えたのです。
エンロンの残党は散らばる
エンロンはデリバティブ取引で莫大な損失を隠ぺいしたことが表面化して突然破綻したわけですが、その残党が散らばりました。
サブプライムローンもその1つです。
「信用が低い人のローンを集めると信用が上がる」という商品が破綻し、優良企業だったリーマンブラザーズが破綻するなど100年に一度の金融危機の元凶となりました。
金融の世界は遺伝子の中に不正会計や詐欺
今後もデリバティブなど金融工学を駆使した企業の破綻や形式的に上場させたSPAC企業の破綻など優良なはずの企業が突然破綻するのでしょう。
https://real-int.jp/articles/596/
楽観相場は、突然変化して下落が下落を呼ぶ暴落相場になるのでご注意ください。
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トップ画像は bbc.comより