公開日 2022年8月26日

中国経済の元凶=ゼロコロナと不動産市況

ゼロコロナ政策について、米中共同チームの医学的結論は何か。まことに興味深い。
中国経済の元凶=ゼロコロナと不動産市況

米中共同チームの医学的結論とは

今年5月10日、米国の医学系学術誌ネイチャーメディシン(電子版)に公開された米中共同チームによる研究論文「中国におけるオミクロン株の伝播モデル」は、中国政府がゼロコロナ政策を解除した場合の影響を分析し、エコノミストたちの中で重要視されている。

まず、結果について以下の様に記している(ゼロコロナ政策解除した場合の結果)

(1)6ヵ月で有症状者1億1220万人、入院者数(中等症)510万人、ICU入院者数(重症)270万人、死亡者数160万人となる。

(2)人口当たり死亡者数は、人口1千人当たり1.10人となり、米オミクロン株感染拡大期(2021年11月~22年4月。人口1千人当たり0.74人)を超える。

(3)感染ピーク時には中国全体のICU病床数の15.6倍を必要とし、病床数の不足は44日間続く。

(4)以上の事から「ゼロコロナ」政策を解除した場合、感染爆発は必至であり医療体制及び社会自体の大きな混乱を引き起こす可能性が高い。

日本では、最初に新型コロナ感染が報告された2020年1月~21年6月までの人口1千人当たりの累計感染者数と死亡者数がそれぞれ76.5人と0.25人であることから、人口当たりで見れば日本の約2年半分と同程度(中国は解除後6ヵ月間で79.6人)の感染者数と約4倍の死者が僅か6ヵ月で生じることになる。

これだけの感染爆発を許容することは日本でもあり得ないだろうし、感染爆発が続く間は中国経済に大きく依存している世界経済にも深刻な影響を及ぼしかねない。

それがゆえ、同論文でも「現時点で感染爆発を防ぐ最も望ましい戦略はゼロコロナ政策である」と結論付けている。

中国の現状とは、こうなっている

「ウィズコロナ政策を実施していれば、こんなに世界経済の足を引っ張ることもなかったはずだ。習独裁国家の一大失策だ」との声は時を重ねるとともに世界中から聞こえてくるようになった。

だが中国の実情は、そうした非難の声をはるかに越えてしまっている。中国のワクチン接種率は全人口ペースでは、少なくとも2回接種まででは日本を上回る高い接種率となっている。

ところが、中国では高齢者の接種が進んでいない。60歳以上で見るといずれの接種回数(1~3回)でも日本をはるかに下回っている。とくに80歳以上での接種率が格段と低い。

したがって先の医学論文でも「想定される死亡者の75%が60歳以上の未接種者」としている。

高齢者の多くが地方に分散して居住しているため、接種会場までの移動に困難が伴うとともに、近年中国では製造や検査の数値を改ざんし国の基準を満たさない複数の不正ワクチンが販売・接種されていたことが社会問題化していたこともあり、高齢者のワクチン忌避意識は高いと言われており、その克服を含めて課題は多い。

しかも、中国では国産以外のワクチンは使用が禁止されていて、国産ワクチンの有効性が低いというデータが明白になっている。場合によってはファイザーやモデルナワクチンの有効性の半分程度のものもある。

もちろん、高い効果の新ワクチン開発は行ってはいるが、ウィルスの型が次々に変異しているゆえ開発は事実上、目処がついていない。

また、人口当たりの看護師数が日本の3割程度であり、ICU満床数も日本の3割程度しかない。これでは重症患者への対応はパニッキーの一言でしかあるまい。

つまり、中国はゼロコロナ政策を続行させる以外に手立てはないのである。

「ウィズコロナ政策」に変えると、たちまちのうちに先の医学論文の如き悲惨な結果に結びつくだけで、それこそ「習近平体制」は一気に崩壊するしかない。

ゆえに、たとえ今年のGDPが2%台、3%台となっても止むを得ないというわけである。

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(この記事は 2022年8月24日に書かれたものです)

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プロフィール

金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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