未来予想に必要なもの
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
先月24日のロシアによるウクライナ侵攻からマーケットは先の見えない状態が続いています。
マーケットのトレーダーやストラテジストは無論のこと、テレビやマスメディアに登場する学者やロシア専門家、戦争の専門家という人たちも、先行きは全くわからないようです。これは当然のことで、私が何度も言うように、未来が見える人はいないからです。
またマーケットのファンダメンタルは、何がファンダメンタル(基礎)なのかがわかりません。結局は市場が注目していることが、結果的に正解ですし、それはチャートに表れています。
私のツイートをご覧いただければと思いますが、ユーロドルは昨年9月からずっと下げてきています。このため、私が昨年10月末に取材を受けた、YenSPAの最終号でもお話している通り、ユーロに注目していました。
ファンダメンタルを考えると、あらゆる可能性が考えられますが、ここにチャートが示す値動きという事実を加えると、無数にある可能性から何を取捨選択すればいいかが見えてきます。
昨年9月か10月の段階で、理由はわからないけれど、ユーロは売られやすい状況に向かっており、その要因の中にウクライナ情勢もあったということです。
ファンダメンタルで未来予想をしたい人こそ、ここにチャートというフィルターを加えると、より精度の高い予想ができるのではないでしょうか。
チャートチェックの習慣化がお薦め
みなさんは、どれくらいの頻度でチャートをご覧になりますか?日足で取引するなら、最低でも1日に1回はチャートを見る必要がありますし、1時間足なら1時間ごとにチャートを見ていないと、変化がわかりません。
もし、しばらく取引を休むとしてもチャートチェックは続ける方がお薦めです。どんな技術も練習を続けることが大事で、休んだら調子を取り返すのが大変だからです。
例えば、野球でもサッカーでもテニスでも、プロ選手はほぼ毎日練習しています。週に1日ぐらいは身体を休める必要もあるでしょうが、基本的に毎日バットを振るし、ボールに触ることを続けます。これがなぜかと言えば、こうしたことを続けないと自分の技術が錆びつくからです。
私はテニスをしますが、週に数回ペースでしているときは調子を維持できますが、天候やコロナや、様々な理由で2週間ぐらい間が開くと、明らかに調子が悪く、最初は調子を取り戻すための時間が必要になります。
アマチュアの私でさえ、休むと錆びつくわけですから、もっとレベルの高い次元でプレーしているプロはもっと大きな差が出るのかもしれません。
20世紀のころは銀行で為替取引をするディーラーが大勢いました。外資系ディーラーは2週間ぐらいの休暇を取るようになっていました。そうです、プロのディーラーでも2週間も相場から離れると、錆びつきます。
だから最初の1週間とかは、様子見しながら無理にポジションを持たないようにしていた、という話を聞いたことがあります。これもスポーツと同じことです。
ということは、アマチュアトレーダーの私たちは、仕事で相場を見ているわけではないので、圧倒的に相場に関わる時間が短いです。となれば、よりブランクを開けないように、毎日ちょっとでもチャートを見ることが大事になってきます。
数年相場を休んでいた人が相場に復帰したりしますが、数年休んでいたら、ほぼ初心者と同じでしょう。まずはチャートをしっかり定期的にチェックすることから始めるべきです。
取引するときも、しばらく相場を休む時も、毎日ちょっとでもチャートを見る習慣が大事なのではないでしょうか。