トルコリラはマイナス金利通貨?

皆が間違えているトルコリラ
元チーフディーラーの竹内のりひろさんと、こちらのYouTube動画で話した内容からトルコリラについて抜粋・加筆してまとめ直しました。
相次ぐテーパリングや利上げ 通貨高に直結するのか?
竹内のりひろ×松島修
10年以上前からトルコリラを買ってはいけないとお伝えしてきました。しかし、多くの人がトルコリラを買って大きく損失を出し続けています。
世界でトルコリラを買っている人のほとんどは日本人で、その理由はトルコリラが高金利通貨だと思っているからです。
トルコリラ/円を買って持っているだけで毎日スワップ金利が入ってくるので、ありがたいと思って買ってしまうのです。
ところが、トルコリラは過去20年間だけを見ても円に対してずっと下落を続けています。

今までもレバレッジをかけてトルコリラ/円を保有していたことで、多くの人が強制ロスカットで資金を失ってきました。
また、レバレッジをかけていないトルコリラ債なども受け取る金利以上に下落しています。
トルコリラはマイナス金利通貨だった
ここで大切なことは、トルコリラは高金利通貨に見えるものの、実質的には、高金利通貨ではなく、マイナス金利通貨だったのです。
金利には名目金利と実質金利があります。
名目金利は、一般によく見聞きする金利です。
実質金利は、名目金利にインフレを加味したものです。
つまり、名目金利ではなく実質金利で判断しないといけないということです。
計算式では次のようになります。
実質金利=名目金利-予想物価上昇率
次のグラフは竹内のりひろさんが計算してくれたトルコリラの実質金利です。

トルコはインフレ率が高いためにトルコリラの実質金利は、マイナスであったことが多いのです。
ということは、トルコリラは実質金利で判断すると高金利通貨ではなくマイナス金利通貨だということになります。
トルコに行ってもインフレを感じない?
日本から旅行に行った人が、現地の物価は安くてインフレになっているように見えないので投資対象として良いと判断することがあります。
インフレとは物価の上昇であり通貨の下落です。
20年間で1/10程度に通貨が下落していますので輸入品は単純に10倍になります。
トルコで暮らしている人にとって物価が10倍になっていたら凄いインフレですが、日本から旅行に行って円に換算して物価を見た時には、インフレは通貨下落で相殺されているので、インフレと感じないわけです。
正しい情報を得る
投資を教えるプロという立場の人であっても、この日本からの旅行者のように判断してトルコリラの買いを推奨することがある理由の一つはインフレを考慮していないからです。
金融の世界は間違いが多いので正しい情報を得て、リテラシーを高めておくことが大切です。