ゴールドはインフレヘッジではなく権力ヘッジ

ゴールド急騰
9月末に、日本ではゴールド価格が1グラム2万円を達成したことからゴールド現物買いに長蛇の列ができ、品切れ続出しています。
10月1日から米国では政府機関が閉鎖となり、ゴールドはジリジリ上昇しています。
本記事は次の記事の続きなので合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/2930/
インフレヘッジは低い視点
多くの人がゴールドを保有することがインフレ対策だと思っていますが、それは低い視点で本質的ではありません。
時代の変化とともに常識が変化しています。
今の黙示録の時代は、
世界各国の通貨
金融システム
国際秩序
が不安定になるので、ゴールドの役割は
「不確実性や不信感から資産を守るもの」という考え方にシフトしています。
政府の政策に対するヘッジが権力ヘッジです。
つまり、政策の不安定性などで発生するリスクをゴールドが回避するということです。
地政学的リスクのヘッジ
地政学的リスクを回避するために、個人も各国の中央銀行もゴールドを買っているという表現もできます。
2022年2月ウクライナ・ロシア戦争では、ロシア政府高官や富豪(オリガルヒ)が保有する米国内にある資産を米国が凍結しました。
これを見た、世界の富豪たちは「権力ヘッジ」の必要性を意識するようになったと思います。
そして、2023年10月パレスチナ・イスラエル戦争からゴールド価格の上昇が加速しています。

ゴールド/ドル
ゴールドは権力の象徴
ゴールドは古代から権力の象徴であり安心と信用の根源でした。
①古代から権力の象徴
古代エジプトなど人類の歴史の初期からゴールドはその希少性、耐久性、輝きから富や権力の象徴として扱われてきました。
旧約聖書の中でもゴールドは価値あるものとして記されています。

②実物資産としての安心感
株式や債券が暴落しても、ゴールドそのものが持つ価値は失われないという安心感は、権力者や富裕層が資産を守るための重要要素です。
ヘッジには安心感が必要です。
③信用力の基盤
権力の背景には信用力があります。
1970年代のニクソン・ショック以降、国際的な金本位制は完全に終焉しましたが、それ以前は金本位制によって世界の通貨制度の基盤を形成し、ゴールドが国家の信用力の裏付けでした。
今は国が通貨をゴールドに交換・兌換することはありませんが、中央銀行は次の理由で外貨準備としてゴールドを保有しています。
リスク分散
信頼の確保
価値の保存
通貨の安定化
国が信用力を得るためにゴールドを保有するのです。
権力ヘッジの背景
権力ヘッジの背景は次の通りです。
①政治的に中立な資産
ゴールドは特定の国が発行する通貨と異なり、無国籍通貨です。
政府や中央銀行による金融政策の影響を受けないため、通貨価値が政治的な都合で操作されず減価するリスクに対するヘッジとなります。
今、各中央銀行は大量の通貨発行をしているのでそのヘッジが必要です。

米国通貨供給量
②普遍的な価値の保存
歴史的に見て、ゴールドは長い年月をかけて価値を保存する安全資産として認識されてきました。
戦争、政府閉鎖、金融システムの混乱といった不確実な時代において、投資家は「有事に備えるためのゴールド」として安全な避難先を求め、ゴールドへの投資を増やすことになります。
今、世界は戦争モードです。
③財政悪化への備え
国家の財政状況が悪化し、国債が信用を失うような事態に陥った場合、ゴールドは強力なヘッジ手段と見なされることになります。
今、米国財務省が短期米国債を発行して長期米国債を購入している状況です。
まとめ
「ゴールドは権力ヘッジ」とは
ゴールドが太古から現代に至るまで、富と権力の象徴であり、そして
世界の経済、金融の不確実性、不安定性から資産を守るための手段だということです。
地政学的リスクに対する保険と言えるでしょう。
インフレヘッジなら株を買えばよいですが
権力ヘッジではゴールドを買う必要があります。
それゆえ、最近では株からゴールドにシフトする動きがあります。
関連記事
https://real-int.jp/articles/2072/