ドル株急落 急激な円高に潜む超低金利の不都合な真実
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大きな巻き戻し相場
7月10日の日本政府の為替介入以降、前米国大統領トランプ氏の銃撃、さらに米国利下げ観測によりドル/円が急落し、連動して日本株・日経225が大きく下落しました。
最近、無かった大きなドル/円下落の原因は、市場にあった巨大なドル/円買いポジションの巻き戻し(=ポジション解消・ポジション整理)です。
市場に溜まったドル/円の買いポジションはかなり大きかったのでポジション整理も大きかったということです。
但し、全体のごく一部だけの巻き戻しなので、まだまだ買いポジションは多いと思います。
タイミングとしては時間分析通りだったのでドル/円の売りポジション推奨直後の急落だったため詳細を次の記事にまとめました。
https://real-int.jp/articles/2600/
円キャリートレードとは
世界に巨大なドル/円の買いポジションが出来た原因は円キャリートレードです。
円キャリートレードとは、一般的には超低金利の円で資金を借りて高金利通貨を買って、その金利差を手に入れるトレードです。
たとえば、現在、米ドルは高金利通貨なので、円を借りてドルを買う人が多く、これがドル/円買いポジションです。
円で借りてドルを買うとは市場では円を売ってドルを買うという意味です。
毎日貰えるスワップ金利
FX・外国為替証拠金取引では、現在、ドル/円1万通貨の買いポジションで毎日約220円も金利を得ることができます。
1ドル150円だとして1万通貨150万円の買いポジションを持つだけで、現在、毎日約220円の金利を得ることができます。スワップ金利ともいいます。
レバレッジを5倍にすると、証拠金150万円あれば、750万円のポジションを持ち、毎日1100円の金利を得ることが可能です。
毎日、フリーランチ状態です。
150万円を元手にレバレッジ5倍でドル/円買いポジションを持つだけで簡単に年間約40万円の金利を受け取ることが可能なのです。
さらにポジションを持った時からドル/円相場が上昇すると、金利収入に加えて為替差益も得ることができるのです。
反対に円高に振れると損失となります。
円が超低金利の一方でドル金利が上昇したことで、この美味しい状態が生まれました。
それゆえ、世界中で多くの人がレバレッジをかけてドル/円買いポジションを持ったのです。
その他の円キャリートレード
一般的な円キャリートレードはこのようなものですが、他にもあります。
円を借りてドルなどの高金利通貨を買うだけではなく、高配当の株や不動産などの資産を購入することも多く、これは世界中で行われています。
さらには金利や配当がつかないような資産でも、このインフレ時に超低金利の日本円で借りられることをチャンスと思って実行した人も多いと思います。
つまり、日本が世界に投資資金を超低金利で提供しているということです。
個人投資家だけではなく機関投資家も同じようにドル/円買いをレバレッジをかけて買うので、その額は膨大です。
この膨大なドル/円買いポジションが本格的に巻き戻しになるとドルは大暴落となります。
日経225も下落です。
日本が超低金利の理由
日本が超低金利で資金を供給しているには訳があります。
不都合な真実が2つもあります。
超低金利の理由 ①
日本が超低金利のままで金利を上げられない一番の事情は米国の事情です。
世界の金融は米国を中心に回っており、米国が市場をコントロールしています。
米国からの要請で日本は超低金利を継続しています。
過去、米国が金利を上昇させてきた時には、ドルの代わりに円かユーロが低金利にすることで世界に投資資金を提供してきました。
米国の金利を上昇させても、低金利の資金提供があることで株価を維持できるからです。
米国が金利を上昇させたい時には、円かユーロが犠牲になっているのです。
現在は円だけが超低金利になっています。
合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/2586/
超低金利の理由 ②
日本は米国の要請だけではなく、金利を上昇させると大量発行してきた国債の利払いが増加するので金利を大幅に上昇させることはできないという不都合な真実もあります。
日本は世界最大の国債発行額なので金利上昇は政府の利払い負担を急増させることになるのです。
しかし、ここにきて円金利も少しですが上昇の気配を見せてきました。
ドル金利が下落で、円金利の上昇が確定すると、ドル/円はさらに下落することになります。
米国は金利を下げたい
米国でも金利上昇は米国債の利払い上昇になっているので、現在は米国政府は金利を下げたい意向があります。
また、利下げは株価を上昇させると思っていることもあります。
米国の経済指標や報道では米国の景気は良いということになっていますが利下げの可能性が強くなっています。
利下げは景気が悪い時に行うものなので、そもそも景気が良いというのが間違いだったということになります。
政府発表や報道を鵜呑みにしないことが大事です。
投資インテリジェンスを高めておかないと、すぐに騙されてしまうことになります。
利下げで株価暴落?
通常利下げは金融緩和なので、株価上昇すると多くの人が思っています。
教科書的にも利下げは株高と書いてあります。
しかし、今後、米国の利下げを実施していくと、株価暴落につながる可能性が高いと判断しています。
過去のリーマンショックの時もそうでした。
リーマンショックの時は米政策金利が利下げに転じてから株価暴落・金融危機になっています。
米国債と日経225の比較を見てみます。
2007年6月12月が10年米国債の金利のピークでそれから下落開始し、連動するように日経225も下落。
最終的に2008年9月15日のリーマンショックで、そこからさらに急激な株暴落となりました。
つまり、今後、米国が利下げを実施していくと、今回のドル/円の急落は株の暴落、金融危機のスタートになる可能性があると判断しています。
(前提はドル利下げ開始です)
これはすぐに金融危機になるという意味ではありません。
リーマンショックの時には、利下げスタートから1年3ヶ月後にリーマンショックとなりました。
ドル/円や株のポジションにはストップロスを入れておくことを強くお勧めします。
合わせて、お読みください。
https://real-int.jp/articles/1970/
本来の投資スタイルをしっかり理解することが大事です。
https://real-int.jp/articles/2615/