初心者は極端な考え方に注意
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
情報源の取捨選択
どんな分野でも、初心者や未熟な人は極端になりやすい傾向があります。新型コロナへの対応でも両極端な人がいますし、東京オリンピックについても同様だったと思います。
SNSで誰でも発言するので、その分野の基本を知らず、表面的な情報だけしか持たないのに、自分の意見を主張する人が多いのかもしれません。
未熟な人が極端になりやすい例を考えてみましょう。例えば、初心者の運転はアクセルを踏むか、ブレーキを踏むかになりがちで、カクカクした運転になりやすくなります。教習所では2台先のクルマの動きを見る、と言われたように記憶しています。
未熟なドライバーはこうした先を見る目や予測、俯瞰する視点が足りないので、目の前の車についていきやすくなりがちです。前の車がブレーキを踏めば、自分も慌ててブレーキを踏み、前の車が加速すると、自分もアクセルを踏んで加速がち、ということです。
こうしたことは、他にもあり、右と左、上と下、白と黒、というように、その分野に未熟な人ほど物事を極端にハッキリさせたがる傾向があります。おそらく、未熟で自分で考える余裕がない、多様な情報を見る機会がない、などの要因からどちらかに賭けたり、便乗している方が簡単に思えるのではないでしょうか。私も相場を始めた頃はそうだったと思います。
前置きがながくなりました。既にお気づきの方も多いと思いますが、これは相場でもやっている人がたくさんいます。相場が上がれば慌てて買い、少し下げると、慌てて売る、というようなことです。ただ、これで上手く行かないと逆張りしたりするので、上がると売り、下げると買うという人もいます。
ただ、実際には、どんなことにもグレーゾーンや、右から左、上から下に移行する間があります。値動きでいえば、レンジがこれです。
為替に関しては、何年もドル円は200円になるという人もいれば、いやいや60円だ、と言う人もいて、これはどちらも極端な意見です。現実の値動きは、そんなに一方的ではないからです。
ただ、こうした意見に反応する人は、相場を自分で分析しませんし、考えません。肩書や著名な人の意見に乗る方が簡単だからです。でもそれで儲かるとは限りませんし、たぶん儲かりません。
他の物事を見ればわかるように、極端に右や左の主張をしてもその通りにはなりません。アクセルを踏み続ける運転は危険ですし事故を起こします。値動きの上下でも同様です。
相場に迷ったら、自分の車の運転に置き換えてみるのもいいかもしれません。また、よく人の発言を観察すると、専門家ほど、専門外には答えませんし、専門領域でも断定することはありません。そんなに単純ではないことを熟知しているからです。
逆に、断定して素人の目を引きたがる人はコメンテーターの人です。コメンテーターはタレントなので、インパクトのある発言をして注目してもらわないと仕事が来ません。
こうした視点を持つと、情報源をどう選択するかにも役立つかもしれません。
リスクとリターンはセット
投資と言っても、目的によりやり方は大きく違いがあります。キャッシュや資産を持っている人が、それを減らさないように、堅実かつ少しでも増やせれば、というスタンスでするような、いわば資産運用と、小さな資金しかない人が、大きくお金を増やそうとする取引、いわばトレーディングでは、やり方が全く違います。
ただ、投資に関連する情報では、予めこれらを区別してくれません。自分が何の投資をしているかは、当然知ってるよね、という前提で情報提供されています。お金の基本を理解していないと、ここから区別できないのです。
資産運用をする人は、世界中の金持ちがそうであるように、主に債券で堅実に運用しています。インフレヘッジになればいい、ぐらいのスタンスで目減りさせないのがメインテーマです。
そのうえで、全体の10%以下とか、数パーセント程度のわずかな資金でリスクを取った取引をします。ローリスク・ローリターンです。但し、最低資金は1億円とか5億円とかで、一般人とは無縁の世界です。
一方、資金の少ない人、私を含め多くの個人投資はリスクを取らないとお金が増えません。特に資金が数千万円以下の人は、ハイリスク・ハイリターンを狙わないと、お金は増えません。
そこで資金が少なく、しかし何も知らないのでリスクも取りたくない人に向けて、時間をかける、長期投資や積立投資という商品が出てきます。近頃はコレが売れています。
ただ、リスクのない投資はありませんし、リスクとリターンは基本的に比例します。リスクが少ないのに、大きなリターンを期待するということは、どこかに見えないリスクが隠れてる、と考える方が自然だということです。
2008年にリーマンブラザースを破綻に追い込んだ、サブプライムローンがコレでした。金融のプロと思われていた金融機関やファンドが、ローリスクハイリターンのサブプライム商品に資金を投入して、結局は壊れました。
投資において、リスクとリターンはセットで、これは原則です。自ら学ばず金融商品をセールスする人の都合のいい宣伝文句に賭けるより、自分で学びリスクコントロールする方法を身につける方が、個人投資家には最善の方法ではないでしょうか。
メルマガ&掲示板「イーグルフライ」に掲載の記事より抜粋しています。
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