日銀はタカ派に転換したのか?
植田総裁はより明瞭な表現で市場関係者の思い込みを修正する必要があった。修正しなければ、円安が止まらなくなり、それが物価を押し上げるリスクが高まったからだ。次回利上げは早ければ10月になるだろう。
イスラエルによるヒズボラ、ハマスの要人殺害 ~中東地域紛争への拡大はあるか~
7月30日、31日の24時間のうちに、中東地域で2件の要人殺害が起きた。殺害されたのは、ファド・シュクル氏とハニヤ氏だ。この2人は、ガザ紛争の停戦後も、イスラエルの安全保障上の脅威となる人物だったといえる。2件の要人殺害に関する詳細は未だ明らかになっていないが、以下では、これらの出来事に関する現時点で分かっていることを検討し、地域紛争へとエスカレートする蓋然性について考察する。
AIで経済成長が加速するのか?
人々はAIを利用したネット検索サービスに対価を払うのか?よほどの高付加価値、高機能なものにならない限り、あるいは、特別な目的がない限り、利用者が、最新AIを利用した、有料の検索サービスにお金を払うとは思えない。「AIが経済成長を加速させる」という、株式市場の期待する楽観的なシナリオを裏付ける証拠は少ない。
中国経済の低迷はさらに長期化
7月15~18日に中国共産党が中長期の経済方針を討議する重要会議、第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が開催された。決定内容をまとめたコミュニケでは、不動産と地方政府の債務、中小金融機関などの「重要分野のリスク」の対処に「それぞれ措置をとる」としたが、 具体策が示されているわけではない。中国経済の低迷はなお続きそうだ。
ミクロとマクロの乖離が拡大
低迷するマクロ景気にさや寄せする形で、ミクロ景気が悪化していく可能性がある。高水準だった消費関連業種のDIはすでに低下し始めている。インフレと円安で一時的に高揚した企業の収益環境は今後、悪化していく可能性が高い。企業の利益の継続的な増加を前提に上昇した株価も変調をきたすことになるだろう。
イランの新大統領ペゼシュキアン氏への期待~社会の分断の修復と国際協調への転換~
現在も続くロシア・ウクライナ紛争とガザ紛争という2つの紛争のカギを握る国の1つであるイランに焦点を当てる。イランでは、今年3月1日に国会議員選挙で保守強硬派が勝利する一方、6月28日の大統領選挙を経て7月5日の決選投票では改革派のペゼシュキアン氏(元保健相)が当選した。そのイランにおける政治的変化の分析を通し、国際政治の変化の波について考察する。
米国経済は崖っぷち状態か?
企業の景況感が悪化し、需要も伸び悩むが続く一方で、雇用は比較的しっかりしている。雇用統計が堅調さを維持していることは、経済全体としてみれば、好ましいことではない。米国経済は「ゴルディロックス」というより、崖っぷちにあるとみた方が良いのではないか。
豪ドルとユーロ通貨の見通しは
フランス・マクロン大統領が突如、国民議会解散と総選挙実施を発表したのは6月9日。フランスで極右政権の誕生が阻止される可能性が高いと考える。これでユーロ通貨の先行きは再びECBの今後の年内2回の利下げへの見通しに戻り、緩やかな対ドルでのユーロ安の展開に戻るとした見方は通用しないのではないか。
「物価と賃金の好循環」がなくても利上げは可能か?
今なおデフレ脱却を最重要課題とする政府の姿勢は、金融政策の自由度を制限するものにほかならない。為替介入の効果は、それをバックアップする政策がなければ、短期的なものにとどまる。ましてや、円買い為替介入の効果に逆行するような、通貨の価値を低下させようという、デフレ脱却重視≒インフレ志向の政策がとられていれば、円買い為替介入はお金の無駄遣いでしかないだろう。
ポンドとユーロの見通しは難解
仏国債の需給悪化に対してECBが何らかの措置を取る可能性は現時点では低く、仮に取ったとしても利下げペースなどの政策金利操作の方針を変更することはあるまい。具体的には次回会合は据え置いて9月会合に、追加利下げを頭に描いていると現時点では推測される。
自国優先主義が強まればユーロは分裂のおそれ
現在の状況と2009~12年時との大きな違いは、EU懐疑論、ユーロ懐疑論が金融市場だけにとどまらず、 右派政党を支持するという形で、ユーロ圏各国の国民全体に広がっていることである。格差が広がるなか、既存の政治エリート層に対する国民の不満が高まり、極右とされるポピュリスト政治家への支持が高まっているのは、欧州も米国と同様だ。そして自国優先主義はフランスだけにとどまらず、程度の差はあれ、ユーロ圏全域に広がっている。こうした自国優先主義の流れが止まらなければ、ユーロはいずれ分裂・崩壊に向かうことになるだろう。
円独歩安は7月までかも
FRBは9月と12月に各0.25%の利下げを実施すると予測する。そして日銀は早ければ7月にも政策金利を0~0.1%から0.25%へ引き上げると思われる。となると現在の米日3ヵ月物利回り差(5.3%前後)が、10月あたりに5%割れに突入してくる計算になる。仮に市場筋の相当な方々が、この予測を前倒しして織り込み始めるとしたら、8月入りあたりから円独歩安の流れが転向し始めるかもしれない。
国債買い入れ減額決定の真意は?
深読みすれば、今回の国債購入減額は、財政再建に舵を切ろうとしている政府の動きに歩調を合わせ、財政ファイナンスを否定しようという試みなのかもしれない。政府の財政再建の動きが成功するかどうかは不透明だが、もし、うまくいけば、中長期的な円高要因になるだろう。
突如のユーロ下落リスクへ
ユーロドルの下値目度を予測しておく必要があるわけで、7月中までに1.06ドル付近への下落は頭に入れておく必要があろう。ただ、1.05ドルのレジスタンス・ラインまで想定するには早すぎるのではないか。
ECBが0.25%の利下げ
今回発表されたECBの経済見通しは前回3月見通しに比べ、成長率、物価の24年見通しが上方修正されている。これが、利下げの根拠をより薄弱なものとしている。根拠薄弱で、単に、引っ込みがつかなくなって行われた今回の利下げは禍根を残すおそれがある。つまり、インフレ再燃によって、当面、追加的な利下げは望めないだろう。
NZドル堅調の賞味期限はいつか
NZドル強気は7月までか。目先は低ボラティリティー環境下でのキャリー取引需要(NZドルは高金利通貨)もあって、堅調推移する公算が大きいものの、8月以降は要注意のシグナルが灯るのではないか。
円安を招く日本の国際競争力低下
筆者は日本の利上げが一般的に予想されているより速いペースで実施されるとみており、この先、円高が進むとみるが、日本経済の先行きに対する懸念が強いままであれば、円の反発力は弱いものになるかもしれない。
6~7月はユーロポンドのディールに注目
時系列的に捉えるとBOEは7月中までは利下げなし、ECBは6月6日に利下げし場合によっては7月18日にも追加利下げの可能性という構図になる。となるとユーロ売りポンド買いのディールに軍配が上がる。1ユーロ=0.84ポンド割れに向かうのではあるまいか。ただし、7月中までの狙いとしたい。
米国経済の一人勝ち状態に変化
米国経済の一人勝ち状態が変化し、一方で、ユーロ圏や中国の景気が底入れしかけていることは、世界の資金の流れを変え、ドル高の潮流が変化する可能性がある。
依然としてドル高が続く背景
インフレに関する懸念は払拭が難しい。賃金を反映する度合いが大きいスーパーコアCPIの上昇が強いことである。直近4月データでも3月比で上昇した。
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