ロビンフッダー登場はバブル末期症状
ロビンフッダーとは
現在のバブルの象徴ともいえるのが「ロビンフッダー」と呼ばれる短期売買を繰り返す若い個人投資家たちです。「ロビンフッド・マーケッツ」という米国の新興証券会社の顧客が多いことから、ロビンフッダーという言葉が生まれました。
特徴はスマートフォンアプリ専用で、売買手数無料で取引できることです。
若い人たちが手軽にゲーム感覚で短期売買をしているのです。特にコロナ騒動で仕事が無くなり、受け取った給付金を投資にまわして売買しているケースも多いです。
現在、ロビンフッダーは米国株に影響を与えるほどの勢力になっています。
日本では、給付金を受け取って仕事をせずにパチンコをしていることが問題視されますが、米国では、コロナによる外出禁止と給付金がバクチ的取引を助長しています。
米国の「ゲームストップ」というボロ株を急騰させたことで特に有名になりました。
ゲームストップ事件
ロビンフッダーの情報源はインターネット上のSNSや掲示板が多いです。SNSの「Reddit(ラディット)」にある投資の掲示板「WallStreetBets」などを見ながら投資対象を選択します。
今年1月、販売不振に陥りヘッジファンドに空売りをされていたゲームソフト販売店を展開している「ゲームストップ」社の購入を掲示板で呼びかけたことから、ロビンフッダーたちが大量に買い、相場は暴騰しました。ヘッジファンドは余儀なく空売りを買い戻しするはめになり大きな損失となりました。
悪者に見立てた弱い者いじめのヘッジファンドを正義の味方ロビンフッドが退治した、という構図です。
今まで個人投資家はヘッジファンドにやられることばかりだったのですが、このゲームストップ事件では個人がヘッジファンドに勝ったことでロビンフッダーが、さらに注目されることになりました。
このような取引を「仕手(して)」といいます。仕手(して)とは、情報操作を含め、人為的に作った相場で短期間に大きな利益を得ることを目的に、公開市場(株式、商品先物、外国為替等)で大量に投機的売買を行う相場操縦の一種です。
仕手が活躍するのはバブル末期の特徴です。
アイアンマンのモチーフ、イーロンマスクも賛同
ロビンフッダーの動きに、米国の電気自動車メーカーのテスラ社のCEO、イーロンマスク氏が賛同し協力しました。イーロンマスクはテスラ社がヘッジファンドに空売りされる苦い経験があるので、ヘッジファンドを敵視していたのだと思います。
もともとイーロンマスクは、2008年公開の大ヒット映画「アイアンマン」のモチーフとされ、監督ジョン・ファヴローもイーロンマスクからインスピレーションを得たことを認めています。
このアイアンマンのモチーフ、イーロンマスクは、特に若い人たちから絶大な人気を集めておりロビンフッダーたちはイーロンマスクの言動に追従して取引をすることになります。
イーロンマスクが、ツイッター等で
「テスラ社の車をビットコインで買えるようにする」と発言すると
暗号資産のビットコインは上昇し、
「テスラ社の車をビットコインで買えるのを中止する」と発言すると
ビットコインは下落したのも、ロビンフッダーの動きも大きかったといわれています。
また、ロビンフッダーによるテスラ株の取引も多いです。
違法性がある取引
このような仕手的な取引は違法性があり、日本でも昔からネット掲示板などを使って出来高が少ない株を買い推奨して、上昇したら本人は売り抜けるという利益相反的な売買があります。このような仕手には、SEC(証券取引委員会)が目をつけており、逮捕されたケースもあります。
基本的に仕手株は手を出してはいけません。一部の人が儲ける一方で大損する人が多いです。ゲームストップ社株も急騰後、急落し、損失を出したロビンフッダーも多かったと思います。
仕手が入って急騰し急落した株はしばらく上昇しないとされていますが、今回のゲームストップ株については急落後、急騰時のレベルには届かないものの上昇基調にあり、なぜ上昇しているかは不明です。
Google FinanceよりGameStop株価(ドル)
売買手数料無料はどうやって実現する?
ロビンフッド・マーケッツが売買手数料無料となると、どうやって会社の利益を上がるかといえば、2つあります。
① 顧客の取引情報をヘッジファンドなどに売る
データを買ったファンドは、 ロビンフッダー たちの動きを知り、彼らの動きに乗って利益を出します。
② 信用取引に伴う金利収入
レバレッジを効かせたり、空売りをするには金利を払うことになりますので、その金利収益です。
米国でも日本でも手数料無料の流れの中のあり、証券会社は今後厳しい時代になります。
ロビンフッダーは、良くも悪くも、新しいムーブメントだということです。