FXで利確のタイミングを逃さないためには?利確のポイント・注文方法などを解説
今回のポイント!
- FXには利確に適したタイミングがある
- リスクリワードレシオを意識して利確ポイントを決めよう
- FX会社の自動注文機能を使いこなせば利確を逃さなくなる
- 上手に利確するためにはメンタルコントロールも大事
FXで利益を得るには「利確」が重要
「利食い千人力」という相場格言があります。これは「含み益は絵にかいた餅にすぎず、結局、損失で終わってしまうことがある。だから利食いは大事だ」というような意味です。投資初心者のうちは損切の重要性ばかり教えられ、「利確(利益確定)」の重要性をあまりよく考えてこなかった人もいるのではないでしょうか。しかし、FXで利益を得るには、利確はとても重要な要素です。
とはいえ、毎回ベストなタイミングで利確することはほぼ不可能です。だからこそ、どのレート、タイミングで利確するのか、自分のルールであらかじめ決めておくことが大切です。「もっと、もっと」と強欲にならずに、適時利確していきましょう。「足るを知る」のスタンスこそが、資金を安定して増やすために重要です。
どのようなタイミングで利確すればいいのか?
ここでは、利確タイミングの目安として使える「サポートライン・レジスタンスライン」「ゴールデンクロス・デッドクロス」「フィボナッチ・リトレースメント」の3つを解説します。
サポートライン・レジスタンスラインを基準に利確する
最も一般的な利確の目安が、サポートライン・レジスタンスラインです。それぞれの意味は以下のとおりです。
- サポートライン(下値支持線)
レートが下がってきたときに下げ止まる可能性がある価格帯 - レジスタンスライン(上値抵抗線)
レートが上がってきたときに上げ止まる可能性がある価格帯
ほとんどの人は、チャート画面に目立つ高値・安値を結んで水平線を何本か引いて、トレードの戦略を立てていることでしょう。各ラインを利確に使う基本は以下のとおりです。
- サポートライン付近で買って、レジスタンスライン付近で利食い
- レジスタンスライン付近で売って、サポートライン付近で利食い
理想的には、図のように、サポートライン/レジスタンスライン付近でポジションを持ち、レジスタンスライン/サポートライン付近で利食いします。
サポート・レジスタンスラインには、もうひとつ重要な性質があります。それは、ブレイクするとロールリバーサル(役割転換)が起きやすいことです。つまり、サポートラインはレジスタンスラインとなり、レジスタンスラインはサポートラインとなります。
もしブレイク後にロールリバーサルを確認すれば、次のラインまで利確を伸ばすことが可能です。仮に図のレジスタンスラインをブレイクしてサポートラインに変わったなら、もう一段上のレジスタンスラインに利確ポイントを移動できます。
いずれにしても、値動きの転換点となるサポート・レジスタンスラインを意識して利確することが大切です。
ゴールデンクロス・デッドクロスを基準に利確する
ゴールデンクロス(GD)・デッドクロス(DC)を基準に利確する方法もあります。
GD・DCとは、短期移動平均線と中期移動平均線のクロスでトレンド反転を確認する方法です。
- 短期線が中期線を上抜いたらGD(=買いのサイン)
- 短期線が中期線 を下抜いたらDC(=売りのサイン)
となります。
利確のタイミングを見極める際には、これをトレンド発生=エントリーサインではなく、トレンド終了=イグジットサインとして使います。つまり、自分のポジションと逆方向のサインが出た時点で利確します。
GD・DCを利確に使うメリットは、1本の移動平均によるトレンド反転のサインより信頼性が高いことです。ノイズによってサインが出にくいため、利益を伸ばしやすいメリットがあります。一方、デメリットはサインが出るのが遅いことです。そのため、含み益が少なくなったタイミングで利確になる可能性が高くなります。
なお、単純移動平均線ではなく、図のようにMACDとMACDシグナルによるGD・DCのサインで利確するのもよくある方法です。MACDはノイズによる「だまし」サインを回避する平滑化処理が加わっているため、信頼性をさらに高められます。
フィボナッチ・リトレースメントで利確ポイントを決める
フィボナッチ・リトレースメントという、押し・戻しの目安となる比率を利用して利食いする方法があります。
まず、チャートソフトでフィボナッチ・リトレースメントを選び、直近の高値と安値を結ぶラインを引いて、フィボナッチ比率に基づいた水平線を表示します。23.6%、38.2%、50.0%、61.8%などの数値が表示されますが、利確ポイントとして一般的なのは、38.2%と61.8%です
強いトレンドが出ている場合には、押し・戻りは38.2%までで終了することが多いので、この付近で利確ポイントを検討します。逆にトレンドが弱い場合は、61.8%まで押し・戻しが発生する可能性が高いため、この付近が利確ポイントです。
フィボナッチを使う場合は、サポートライン・レジスタンスラインを使うと精度が上がります。ラインと比率が重なる部分に注目してみましょう。利確ポイントをラインの内側に微調整することで、反転前に利食える可能性が高まります。
なお、この方法は逆張り(反トレンド)の調整(押し・戻し)狙いのトレードを前提にしています。トレンドフォローの場合にフィボナッチを利用する手法は別にあるので、研究してみましょう。
FXで利確ポイントを決める際のコツ
相場では「損を小さく、利益を伸ばす」(損小利大)が大切だということを知っている人は多いことでしょう。損小利大を数学的に捉えられるのがリスクリワードレシオです。ここではリスクリワードレシオとは何か、どのように利確に活用するのか解説します。
リスクリワードレシオを意識する
リスクリワードレシオの定義とは、勝ちトレードで出た利益額と負けトレードで出た損失額の比率のことです。計算式で表すと、
リスクリワードレシオ = 勝ちトレードの平均利益額 ÷ 負けトレードの平均損失額
です。
リスクリワードレシオが大きいほど、1回ごとのトレードで損小利大を実現できていることになります。仮にリスクリワードレシオが2なら、平均利益額は平均損失額の2倍、リスクリワードレシオが3なら3倍へと増えるからです。
FXで利益を増やせるかどうかは、勝率だけでなくリスクリワードレシオも関係しています。そのため、自分の勝率で最適なリスクリワードレシオを確認し、利確ポイントを決めることが大切です。
理想的なリスクリワードレシオを求める
理想的なリスクリワードレシオは、一般的には2.5~3と言われています。勝率50%でも十分な利益が残るからです。
仮にリスクリワードレシオが「1」であるなら、勝率50%ないと利益がでません。しかし、リスクリワードレシオ「1.5」なら勝率40%が損益分岐点になります。以下にトレード例を挙げたので、損益分岐点を確認してください。
勝率50%でリスクリワードレシオを「1」にした場合
勝率40%でリスクリワードレシオを「1.5」にした場合
このように、リスクリワードレシオを高く設定するほど、勝率は低くてよいことになります。
しかし、現在、勝率が50%だからといって、利確ルールを変更してリスクリワードレシオの目標を1から2.5にしても、成績が向上する保証はありません。勝率が落ちる確率が高いからです。勝率とリスクリワードレシオはセットで考えて、適切なバランスを考えることが重要です。
投資初心者や安定して勝てないトレーダーにおすすめのアプローチは、リスクリワードを1.5~2に設定して、勝率50%以上を目指すことです。ドローダウンが大きくなく適度に勝率もあるため、資金管理面でもメンタル面でもトレードを続けやすいでしょう。スキルが向上すれば、高いリスクリワードレシオを見込めるエントリーポイントを見極められるようになります。
FXで利確のタイミングを逃さない注文方法
利確のタイミングを逃さないためには、FX会社の自動注文機能を使いこなすことが重要です。ここではOCO注文、IFO注文、トレール注文を使って利確する方法を解説します。
OCO注文
OCO注文は利益確定と損切りの2つの決済注文をセットで出せる注文です。一方が約定したら他方が自動的に取り消しになります。
たとえば、レートが110円になったときに買いポジションを持った場合、OCO注文を使って115円で利確注文、105円で損切り注文を出します。
すると、順調にレートが上がった際は115円で利益確定になりますし、115円に達しないで下落してしまった場合は105円で損切になります。つまり、たとえ相場を監視できなくても、損失を限定しながら、適時利確することが可能です。
IFO注文
IFO注文とはIFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。
利益確定で使う際には、指値または逆指値の新規注文と、それが執行された後の利確注文と損切注文の3つをセットで注文します。
たとえば、レートが現在111円で、110円まで下がったら指値買いしてポジションを持ち、115円で利益確定、105円で損切りをしたいとしましょう。この場合は、IFO注文の新規注文の指値に110円、利益確定の指値に115円、損切りの逆指値に105円を注文します。
ポジションを持った後は、損失を限定しながら予定していたレートで利確が可能です。もちろん、新規注文が執行されなければ、そのまま何も起こりません。入口から出口まで事前にトレードプランを決められることが、IFO注文のメリットです。
トレール注文
トレール注文とは、現在値からいくらレートが逆行したら利確・損切りを執行するかという「トレール幅」を設定できる決済注文です。
たとえば、100円で買いポジションを持っており、現在値が110円だったとします。このとき、トレール幅を5円に設定すると、105円まで価格が下落した際に逆指値が執行されて利確になるため、最低でも5円の利益が確定です。
もし価格が順行して111円になった場合には「111円-トレール幅5円=106円」に逆指値が引き上げられます。すると、以降は最低でも6円の利益が確保できます。
このように、トレール注文は含み益がある程度出た際に活用するのが一般的です。そうすることで「利を伸ばす」ことが自動的に行えるからです。
もちろん、新規ポジションを持った際にトレード幅で損切り価格を決める方法もあります。そうすることで、損失を抑えつつ利益を伸ばせます。ただし、逆指値が移動することによって、無意味な価格で損切りになる恐れがないか、よく検討しておくことが必要です。
利確で失敗しないためにはメンタルコントロールも重要
ポジションを持つと不安や欲が起こってしまいがちです。利確で失敗しないためにはメンタルを上手にコントロールすることも重要です。
含み益が出ていても慌てて利確しない
「チキン利食い」という言葉があります、トレードに不安を感じたり、小遣い銭を稼ぎたかったりするために、わずかな含み益で利確してしまうことです。このようなトレードを繰り返していると「損小利大」ならぬ「損大利小」につながり、コツコツドカンで資金が増えないトレーダーになってしまいかねません。
焦って利確しないためには、OCO注文やトレール注文などを出しておき、簡単に利確ポイントを動かさないことが大事です。自分でコントロールできるのは損切りだけで、利確できるかどうかは相場次第という気持ちが大切です。心が揺れてしまう人は、注文を出した後にチャートソフトを閉じてしまうのもよいでしょう。
あらかじめ決めておいたルールで利確する
自分で決めたポイントに達したにも関わらず、欲が出てしまい利確ができないことがあります。含み益が少なくなった時点であきらめればよいですが、意地になってしまい大きな損失につながってしまう人もいます。人間にはメンタルアカウントという心理があり、「利確していればいろいろな物が買えた」などと考えると、理性的な判断ができなくなってしまいがちです。
含み益を失わないためには、ルールにしたがって利確することが大切です。まだルールを持っていない人は、この記事で紹介した利確タイミングを元に、自分なりにルールを作ってみてはいかがでしょうか。ルールを守ることが習慣になると、利確後にさらにレートが伸びていっても、あまり悔しくなくなるものです。
FXで利益を増やすには利確のタイミングが重要
FXで利益を増やすには、利確のタイミングを見極めることが大切です。また、リスクリワードレシオと勝率の関係を検証して、自分のトレードスタイルに合った利確ルールを決めることも重要です。
ポジションを持った後は不安や欲などメンタルの影響で、利確がブレてしまうこともあります。メンタルコントロールのしやすさも含めて利確ルールを検討することも大切です。FX会社の自動注文機能も使いこなしながら、上手に利確して着実に口座資金を増やしていきましょう。