悪性インフレ「スタグフレーション」で株は下落? とても大事なこと

今、インフレになると株安
今、将来インフレが来るからとインフレ対策の長期投資として株を買っている人がいます。また、そのように勧めている人たちもいます。
教科書的知識の「インフレになると株高」は正しいのですが、現在インフレになると最初に株は下落する可能性が高いと判断しています。中途半端な知識は致命傷になることがありますので、以下、しっかり理解してください。
日銀は異次元の金融緩和(量的緩和)からスタートし、現在、無制限の金融緩和(量的緩和)によって、バブルを発生させ株価を支え、上昇させてきました。インフレになると金融緩和(量的緩和)は止めることがセオリーなので、今、金融緩和(量的緩和)を止めると株価は下落することになります。
勿論、相場に絶対はありませんし、政策で変わってくるので、
正しい情報と知識を身に付け、本質を理解し、自分で判断することが大事です。
正しい情報と知識を身に付け、本質を理解し、準備した人に富が移動する時代だからです。
そもそも、インフレはインフレでも悪性インフレ「スタグフレーション」だと株価は下落したり上昇しにくいことが理解されていません。そしてこれから来るインフレは悪性インフレ(スタグフレーション)の可能性が高いです。
金融相場から業績相場に移れるのか?
勿論、景気が回復していて実態経済が良いのであれば株は下がりにくいのですが、現在の株価は金融緩和に依存しています。コロナ騒動で景気が悪くなっても株価が上昇しているのがその証拠です。そしてコロナ騒動も続いています。
「金融緩和で株価を上昇させる金融相場」から
「企業業績が好調で株価が上昇する業績相場」に移行していなければ、
金融緩和を止めると株価は下落します。
基本的知識を身に付ける
混乱しないように、景気とインフレと株価と金利と金融緩和(量的緩和)の関係を理解することが大切です。
そのために、まず個々の関係を理解していきましょう。
・景気とは売買や取引などの経済活動全般の動向のこと
・景気が良くなると株価上昇
・景気が良くなると物価上昇(=インフレ)・金利上昇
・インフレとは物価が上昇すること
・物価が上昇しても株価が上昇するとは限らない
・インフレには良いインフレと悪いインフレがある
・良いインフレは景気上昇・株価上昇
・良いインフレは物価上昇
・良いインフレは金利上昇
・悪いインフレは景気下落
・悪いインフレは物価上昇
・悪いインフレは株価下落・もしくは上昇が鈍い
・悪いインフレは金利上昇
・ 金利上昇すると株下落
・金融緩和とは
政策金利を引き下げて市中のお金を増やすこと
・金融緩和(量的緩和)とは
金利を下げる余地がなくなったことから代わりに国債や株ETF(日経225等の上場投資信託)などを買い、市中のお金を増やすこと
通貨を大量発行する(ジャブジャブにする)ので通貨価値下落(=物価上昇=インフレ)
・金融緩和すると物価上昇(=インフレ)
・金融緩和すると株価上昇
すでに10年以上前から
業績相場と呼ばれる「景気が良いから株価上昇」ではなく
金融相場と呼ばれる「金融緩和で株価上昇」させて景気対策としています。
また、景気が良くなると物価が上昇しますが、
物価を上昇させれば景気が良くなるわけではありません。
教科書的には金利が上昇すると株は下落
インフレになると金利が上昇します。また、金融緩和(量的緩和)をすると大量に通貨を発行することから通貨価値は下落し、物価は上昇(インフレ)します。
通常、景気が良くなるとインフレになり金利も上昇してきます。
金利上昇は最初のうちは景気が良い状況だと好感され株価上昇要因ですが、ある水準を超えると、リスクのある株より安定的な債券に資金が移動して株は下落します。
もともとインフレ局面、つまり金利の上昇局面には株価上昇と株価下落の両方の力が働きます。
日銀は目的と手段を間違えている?
日本の中央銀行である日本銀行は年間インフレ目標を2%としています。今まで金融緩和(量的緩和)をしてもインフレにならないので金融緩和(量的緩和)を続けることができました。
日銀の役割はインフレを抑えること(インフレファイター)なので、実際にインフレになると金融緩和を止めることを最優先するため株価は急落する可能性が高いことになります。
インフレ目標2%は、景気が良くなって物価が2%上昇することが大事なのですが、景気ではなく物価だけを見ている感が強いので、日銀は目的と手段を間違えているように見えます。物価が2%上昇しても景気が悪ければ悪性インフレです。
日銀は「マネタリーベースを2年で2倍にすれば物価上昇率は2%になる」
という言葉遊び的な発表をしていました。
これは、お金をジャブジャブにすれば、物価が上昇するという意味で、物価を上昇させることしか考えていない表現です。「物価が上昇している=景気が良くなっていること」と勘違いしているように見えます。物価上昇が景気上昇になるとは限りません。
さらに言葉遊びだということは論理的ではない、裏付ける理論がない、ただの標語だということです。
「異次元の金融緩和」という言葉も言葉遊び的で、この言葉を使ったことが論理的な思考をしていない結果だと感じています。
私の母は日本銀行の行員でした。亡き速水優氏(元日銀総裁)と同期入行でしたが
「日銀は常に正しいことを言っている」
「日銀は常に正しいことをやっている」
と思うことが危険です。
日銀が国債や株ETFを買うと悪性インフレになる
現在、無制限の金融緩和により、日銀が国債や株ETFなど(日経225上場投信など)を買ってきましたが、これは悪性インフレになる原因です。そもそも本来は日銀が国債を買うことは禁止されており、そのことは日銀のホームページにも明記されています。歴史からの教訓です。
日本銀行ホームページから以下抜粋しました。
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/op/f09.htm/
Q.日本銀行が国債の引受けを行わないのはなぜですか?
A. 日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています(これを「国債の市中消化の原則」と言います)。
これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。
中略
(注)財政法第5条:
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
ここに記されているように「特別な事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りではない」となっていますが「無制限の金融緩和」は「金額の範囲がない」ということなので違法性があると判断しています。国が法令違反の金融緩和をしている可能性があるという意味です。
今の無制限の金融緩和(量的緩和)は悪性インフレ(スタグフレーション)になる可能性が高く、それは日銀が最初から警鐘していることなのです。
マネタリーベース
マネタリーベースとは、日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のことです。
市中に出ているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値です。
マナタリーベースの増加を見ると著しい金融緩和(量的緩和)がされていることが分かります。
日本銀行ホームページのデータからグラフ化しました。
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/index.htm/

スタグフレーションとは、悪いインフレ
インフレには良いインフレと悪いインフレ(スタグフレーション)があります。
良いインフレとは
(金融緩和で)景気が良くなって物価上昇
悪いインフレとは(スタグフレーションとは)
(金融緩和で)物価上昇するが景気は良くない
現在、悪いインフレ(スタグフレーション)になる可能性が高いように思います。
景気が良くなってインフレというより、金融緩和で現金の価値が下落して物価上昇になっている感が強いからです。
スタグフレーションの特徴は次のとおりです。
- 景気が悪いのに物価が上昇(現金の価値が低下)
- 給料が上がらないのに物価が上昇
- 景気が悪いのに物価が上昇するため消費が減り景気はさらに悪化
- 株価は下落もしくは上昇しにくい
過去には1970年のオイルショク時にスタグフレーションになりました。
現在の市況を見ると、物価だけ上昇していくスタグフレーションになっていく可能性が高そうに見えます。
スタグフレーション時は金(ゴールド)が上昇
スタグフレーション時は現金は価値が下がり、株価も下げたり、上昇しにくいです。
一方、金(ゴールド)は上昇しやすいです。
15年以上前から金融資産の半分を金(ゴールド)にすることをお勧めしてきましたが、引き続き継続です。
株は大底を付けたら長期の買い
良いインフレでも悪性インフレ(スタグフレーション)でも、最初は株価は下落し、大底を付けてから上昇開始になる可能性が高いと判断しています。
株の長期投資や積み立てを開始するのは大底を付けてからがよいことになります。
国がどう動くか2つ目のシナリオ
インフレになったら日銀の金融緩和が止まる可能性が高いと書きましたが、国が金融緩和を止める決断ができずに金融緩和(量的緩和)をずっと続ける可能性もあります。 日銀の役割のインフレファイターを放棄する可能性もあるということです。すでに日銀は基本ルールを破っています。
そうなると株価は大きく下げることなく、上昇トレンドを継続することになりますが、物価は株価以上に上昇する局面もあるかもしれません。
現在、人類が経験したことがない、中央銀行の金融緩和バブルをどうやって収束させるのかは誰も分かりません。世界は壮大な実験場だといってもよいでしょう。
ハイパーインフレなら株より金(ゴールド)
インフレなのに金融緩和を続けると当然物価は上昇し、ハイパーインフレの可能性がでてきます。
もし、ハイパーインフレとなるのなら株を買うのではなく金(ゴールド)を買う方が良いと認識しています。ハイパーインフレの時には金(ゴールド)の方が株より上昇する可能性が高いと判断しているからです。
大災害は想定内にしておく
「想定外の災害」「観測史上初」という言葉を頻繁に聞きますが、激動の時代は想定外にすることが問題になります。今年は災害がある可能性が高い年だと思っており、大災害は想定内にしておくことが大切です。
国が金融緩和を継続し、株価を支えたとしても、都市部に大地震などの災害があれば株価は急落することになります。
プロを信じないで自分の頭で考える
リーマンショクの前のバブルのピークでさえ、伝説のトレーダーと呼ばれるような金融のプロフェッショナルたちまでもが「思いっきり借金して不動産を買いましょう。」「株を買いましょう。」と言っていたことを知っておくことが大切です。
正しい情報と知識を身に付け、本質を理解し、自分で判断することが大事です。
正しい情報と知識を身に付け準備した人に富が移動する
今後の動きは、為替、株式、商品、債券などの各市場や、政府の動向、世界の動きなどを知恵を使ってしっかり見ていくことが大切です。
激動の時代は、正しい情報と知識を身に付け、本質を理解し、準備した人に富が移動するからです。
つまり知恵がなかったり、知恵があっても準備していない人は富を失い、正しい情報と知識を使って準備する人は富を拡大することになります。