スタグフレーション・悪性インフレとインフレの違いの理解が大切
インフレには、良いインフレと悪いインフレがある
インフレ・インフレーションとは、物価が継続的に上昇する状態のことを指します。
インフレは、お金の価値が下がることです。
インフレには良いインフレと悪いインフレ・スタグフレーションがあり全く違うものです。
この違いを明確に理解しておくことが大切です。
良いインフレ
景気が過熱して上昇
物価上昇
給料上昇
景気も良いので株価上昇
悪いインフレ・スタグフレーション
不景気のインフレ
物価だけが上昇
給料が上昇しない
企業業績が悪い
景気が悪いので株価上昇しにくい
過去には1970年のオイルショック時にスタグフレーションになりました。
良いインフレと悪いインフレの違いを理解し、現在、どちらなのかを認識しないと確信を持って判断を間違えることになります。
スタグフレーションの認識がない
多くの人は今はインフレと思っていますが、通常のインフレではなくスタグフレーションになっていることを認識していません。
現状認識を間違えています。
投資においては現状認識を間違えることは致命的です。
政府は景気が悪いことを隠す
日本も米国も政府は景気が悪いことを隠す傾向があります。
特に選挙があると、景気が悪化していることは現政権の汚点となるので、隠します。
日銀も、スタグフレーションではないと言っています。
それゆえ、政府は大企業にお願いして給料を上げるように要請するほどです。
景気が良いから給料や物価が上昇するのであって
給料や物価が上昇すれば景気が良くなるわけではありません。
日銀は目的と手段を間違えている?
日本銀行は年間インフレ目標を2%としています。
過去、金融緩和(量的緩和)をしてもインフレにならない期間が長かったので金融緩和(量的緩和)を続けることができました。
日銀の役割はインフレを抑えること(インフレファイター)なので、実際にインフレになると金融緩和を止めることを最優先する必要があります。
しかし、米国の要請により金融緩和を継続してきました。
インフレ目標2%は、景気が良くなって物価が2%上昇することが大事なのですが、景気ではなく物価だけを見ている感が強いので、日銀は目的と手段を間違えているように見えます。
物価が2%上昇しても景気が悪ければ悪性インフレです。
言葉遊び
日銀は「マネタリーベースを2年で2倍にすれば物価上昇率は2%になる」
という言葉遊び的な発表をしていました。
これは、お金をジャブジャブにすれば、物価が上昇するという意味で、物価を上昇させることしか考えていない表現です。
「物価が上昇している=景気が良くなっていること」と勘違いしているように見えます。
物価上昇が景気上昇になるとは限りません。
さらに言葉遊びだということは論理的ではない、裏付ける理論がない、ただの標語だということです。
「異次元の金融緩和」という言葉も言葉遊び的で、この言葉を使ったことが論理的な思考をしていない結果だと感じています。
私の母は日本銀行の行員でしたので日銀については強く言っても良いと思っているのですが、
「日銀は常に正しいことを言っている」
「日銀は常に正しいことをやっている」
と思うことが危険です。
スタグフレーションは株安
インフレ対策として株を買っている人がいます。
また、そのように勧めている人たちもいます。
教科書的知識の「インフレになると株高」は正しいのですが、スタグフレーションでは不景気なので株価下落方向だったり、株価が上昇しにくい方向です。
中途半端な知識は致命傷になることがありますので、以下、しっかり理解してください。
日銀は異次元の金融緩和(量的緩和)からスタートし、無制限の金融緩和(量的緩和)によって、バブルを発生させ株価を支え、上昇させてきました。
金融緩和を止めると株価下落方向です。
金融相場から業績相場に移れるのか?
景気が回復していて実態経済が良いのであれば株は下がりにくいのですが、日本の株価は金融緩和に依存していました。
コロナ騒動で景気が悪くなっても株価が上昇していたのがその証拠です。
「金融緩和で株価を上昇させる金融相場」から
「企業業績が好調で株価が上昇する業績相場」に移行していなければ、
金融緩和を止めると株価は下落します。
日銀が国債などを買うと悪性インフレ
異次元の金融緩和により、日銀が国債や株ETFなど(日経225上場投信など)を買っていたわけですが、これは悪性インフレになる原因です。
そもそも本来は日銀が国債を買うことは禁止されており、そのことは日銀のホームページにも明記されています。歴史からの教訓です。
日本銀行ホームページから以下抜粋しました。
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/op/f09.htm/
Q.日本銀行が国債の引受けを行わないのはなぜですか?
A. 日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています(これを「国債の市中消化の原則」と言います)。
これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。
中略
(注)財政法第5条:
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
ここに記されているように「特別な事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りではない」となっていますが「無制限の金融緩和」は「金額の範囲がない」ということなので違法性があると判断しています。国が法令違反の金融緩和をしている可能性があるという意味です。
今の無制限の金融緩和(量的緩和)は悪性インフレ(スタグフレーション)になる可能性が高く、それは日銀が最初から警鐘していることなのです。
マネタリーベース
マネタリーベースとは、日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のことです。
市中に出ているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値です。
マネタリーベースの増加を見ると金融緩和がされていることが分かります。
thefinance.jp
スタグフレーション時はゴールド上昇
スタグフレーション時は現金は価値が下がり、株価も下げたり、上昇しにくいです。
一方、金(ゴールド)は上昇しやすいです。
2001年から金融資産の半分を金(ゴールド)にすることをお勧めしてきましたが、引き続き継続です。
https://real-int.jp/articles/2072/
ハイパーインフレなら株よりゴールド
インフレなのに金融緩和を続けると当然物価は上昇し、ハイパーインフレの可能性がでてきます。
もし、ハイパーインフレとなるのなら株よりゴールドを買う方が良いと思います。
ゴールドは不景気に無関係だからです。
プロを信じないで自分の頭で考える
伝説のトレーダーと呼ばれるような金融のプロフェッショナルたちがリーマンショクの前のバブルのピークで
「思いっきり借金して不動産を買いましょう。」
「株を買いましょう。」
と言っていたことを知っておくことが大切です。
正しい情報と知識を身に付け、本質を理解し、自分で判断することが大事です。
正しい情報と知識を身に付け準備した人に富が移動する
今後の動きは、為替、株式、商品、債券などの各市場や、政府の動向、世界の動きなどを知恵を使ってしっかり見ていくことが大切です。
激動の時代は、正しい情報と知識を身に付け、本質を理解し、準備した人に富が移動するからです。