FXデイトレの極意はこれだ!
香港上海銀行(HSBC)でチーフディーラーを務めた経験からの、相場をみるうえで重要なファンダメンタルズの知識を解説!
相場の世界でプロと一緒の土俵で取引をするには、やはり相場の知識が必要です。香港上海銀行( HSBC)で10年以上に渡りチーフディーラーを務め、プロも教育をしてきた筆者が、相場の知識をひとつひとつ解説していきます。
FXデイトレの極意はこれだ!
今回は、デイトレについて掘り下げてみたいと思います。よく書店に行くとスキャルピングやデイトレの本がありますが、これらは確かに教科書的で示唆的ではあります。しかし、ちょっと首をかしげたくなるようなものも多くなっています。
私は、HSBCでチーフディーラーをやっていましたので、あまり本には書かれていないような視点から少し掘り下げてみたいと思います。
・実際ディーリングルームにいるとどんなことが起こっているのか?
・今何を求められていて、チームの人間が何を考え、どのようなアクションをとっているのか
・何が重要になってくるのか?
ということについて掘り下げていくことで、着地点が見えてくると考えています。
デイトレに手法は関係ない
デイトレで何の手法を使うかは、あまり関係がないように思います。何十人、何百人というトレーダーを見てきましたが、彼らの視点は様々です。
ある人が買っている時に、他の人が売っている。つまり、買いに対して売りがあるということは約定が進んで売買が成立しているということになります。
そこには2つの考え方が対立しており、結果的に手法ではない十人十色の独自のやり方が存在をしているということになります。
例えば移動平均を重視する、MACDを重視する、ファンダメンタルズを重視する、市場に立っているポジションを重視するなど、なんでもいいと思います。その先に見えてくるひとつの統一したやり方・手法については、変える必要は全くないと思います。
その中で重要なことは、トレードをしている時に得た成功体験(あの時ああいうアクションをとって大きな成果が出たという記憶)を大切にすることです。
その時、自分で形を考えてどのようにアクションをとったかという成功体験や、失敗体験もノートに書いておくと、後々振り返ったときに様々な記憶が蘇ってきます。
初心者の方など、手法について独自のものを用意できていない場合は、ペーパーワーク・ペーパートレード・デモトレードなどを通じて、成功・失敗の線引きをしてから始めると、成功に近づいてくると思います。複数を用意して、まずは検証をしてみましょう。
次に、デイトレにおいて改めて重要な4つのポイントについて解説していきます。
デイトレで重要な4つのポイント
1.動く時間にトレードする
まず動く時間にトレードをするということが大切です。
今、アジア時間(東京・香港・シンガポール)の主要3市場で1日の外国為替の出来高比率は20%となっています。ロンドンでは40%、ニューヨークではだいたい20数%となっています。
アジア時間が取引は少なく、アジア時間は動かないということです。その理由は、アジアにはあまりヘッジファンドのような利に聡いお金が存在しないという点です。
ある程度あるとすれば、一部の投機的な売買をする中央銀行がありますが、常に出てくるわけではありません。
そうすると、動く時間にトレードするということにおいて、アジア時間は敬遠してもよいと考えます。昔のアベノミクスのような時には、アジア時間にたくさん動きました。2011年までの日銀がよくやっていた為替介入の時には、アジア時間の朝がたくさん動きました。今は、時代背景が全く違うため少し頭を切り替えて、動く時間にトレードするのが良いと思います。
動く時間にトレードすることによって、目の前で見ている時間を軽減できます。結果的に、フラストレーションの軽減をすることができます。
具体的には、ロンドンとニューヨークの重なる時間(5時間)が一番動く時間になるかと思います。ロンドンとニューヨークの為替市場の出来高を足すと、1日の出来高で60数%になるという背景があります。
その理由としては、世界で約3兆ドル(1ドル110円換算で330兆円)ということになり、これはヘッジファンドの運用総額になります。
この運用総額のある拠点は、だいたい欧州時間・米国時間に限られているリージョン地域にあるため、この時間に投機的な資金が集まりやすく動きやすい、そして参加者が多く流動性があるという、いいとこ取りの時間となるのです。
そこには、アジア時間と比較にならないほどの投機資金が投入されてくるため、結果的に投機が集中してそれが去っていきます。そうすることによって、値動きが急拡大してまた元に戻ってくるということになります。このように拡大と収縮の繰り返しになるのです。
結果的にポジションが残ってしまうと、その後シドニー市場ウェリントンにて大波乱(クラッシュ)が起こります。 その理由は、オセアニア市場の1日の出来高が世界全体と比較して2.1%であるためです。
ニューヨーク時間が終わり、オセアニア時間になると、市場参加者がほとんどいないため急にスプレッドが拡大します。このようなことから、動く時間にトレードするということはとても重要な要素なのです。
2.ドローダウンを回避する
次に、ドローダウンを回避ということが大切です。
口座の中のお金を減らさないということに尽きるわけですが、その中で重要になってくるのは、心にダメージを受けるほどの損失を出してはいけないということです。
一貫すれば自己管理ということになり、損切りを厳格にするということが重要です。できない人であれば、エントリーをしたらすぐストップロスを置くというアクションをとることによって、ドローダウンというのは明確に回避できます。
これには、高いモチベーションを持ちながらやっていかないといけません。
・自分の頭がどこに向かっているか?
・トレードをするのはなんの目的で行っているか?
・そもそも自分の目標はどこにあるのか?
ということについて、あらかじめ自分の中にセットアップをしていくことによってモチベーションを高めていく必要があります。
具体的には、1日の最大損失は資金の1%くらいが目安だと思いますが、これはその人次第です。自分のメンタルのダメージを受けないのであれば、2%でも3%でも良いかと思います。
もう一つ言えることは、レバレッジは私の考えでは口座の資金にかけるものではありません。実現益あるいは評価益に対してレバレッジをかけるため、自分が儲かっている時や、自分の口座が良い方向にいっている時にはレバレッジを上げてもかまわないと思います。
3.一定の時間内で結果を出す
一定の時間内で結果を出すということも大切です。ディーリンググルームにいるとだいたい朝の7時頃に行ってニューヨークからオーダーをもらいます。
そして夕方ロンドンが開くとロンドンにオーダーをパスします。つまりその間、東京支店で世界中のお客さんのオーダーを見ているわけですが、7時に行って夕方帰るのが5時~7時ということで1日10時間~11時間の中での結果を求められます。
そもそもディーリングルームというのが存在するのは、そこから収益が期待できるという理由からだけであって、そこに期待収益がないと金融機関はディーリングルームを設置しません
よって、そこには必ず儲けなければいけないということがあるわけです。結果的に時間は有限であり、その限られた時間の中で結果を出していくしかないのです。
そして、これは自分の経験値ですが、デイトレが重要な理由は一定の時間内の結果だからということになります。
普通、営利企業であれば月間の収益目標というのがあります。これが3つ重なることによって四半期収益、2つ重なることによって半期収益、さらに倍になって年間収益となります。
1ヶ月の収益というのは、非常に重要になっています。1ヶ月の収益をなすのは1週間の収益であり、1週間の収益をなすのは1日の収益になります。
このように考えると、短時間当たりの収益というのは非常に重要になります。もし自分がPCの前でトレードするのであれば、ある一定の時間内で結果を出していくということが非常に求められてくるのです。
デイトレが重要な理由は、目標があるから今日のトレードがあるということをこれまで解説してきました。
1カ月の目標があるから1週間の目標がある、1週間の目標があるから1日の目標があるというように、目標に向かった収益性が求められるということになりますので、決済に時間をかけないことも必要です。
1990年代にロンドンに何ヶ月もいました。その時に、ディーラーの脇に座って見ていると、彼らは市場に立つポジションの動向に非常にセンシティブでした。ロングになっているかショートになっているかという事に対して、自分のポジションをうまく転がしていって、最終的に30分以内に常に自分のポジションを決済していました。一定の時間内での結果が求められるということになります。
4.複数通貨の保有をしない
複数の通貨を保有するのは、あまりお勧めしません。理由としては、決済に時間のかかる恐れがあるからです。
例えば2つの通貨を持つと、どうしても利が乗ったものを先に決済してしまい、評価損のあるものを持ちこしてしまいます。評価損を持ったものが、長時間オプションを保有することによって抜け出せなくなってしまうのです。これを、ドツボにはまると言いますが、プロでもやってしまいます。
よく周りのトレーダーで、日中に評価損を抱えてしまったポジションをロンドン時間までずっと持っていて、深夜まで格闘している人間を何人も見たことがあります。概してこういう人たちは、結果が出ないようです。
その理由としては、時間内に決済していない・短期勝負を望んでいないということになります。人のメンタリティーが結果を左右しているといっても過言ではありません。
複数の通貨をする持つことによって、実際に二重リスクを取っている可能性もあります。例えば、ユーロドルとユーロ円を持つことによって、ダブルでユーロのリスクをとっているのです。
もし複数の通貨をトレードするのであれば、リスク量を半分にするぐらい裁量というのは必要かと思います。こうした管理は、結局は自己管理の上に成り立っているということになります。
これはよく言えることですが、自分のディーリングデスクの上が散らかっている人は、少し厳しい言い方ですが自己管理ができていません。
一方で、女性で非常にセンシティブな方がいます。きちんと経済の状況を調べて、ノートに書いて、そして厳格にストップロスを送る。まさにミセスワタナベの典型的な形ですが、こういった方はやはり成功をしています。
私も、いつも自分のアプローチ(見方)というのを時々振り返り、本当に正しいやり方をしているのだろうか?ということについて厳格に管理をしています。そうすると、おそらく結果というのは自然についてくるはずです。
本日のまとめ
本日のまとめをしていきましょう。
手法については関係ない
手法は何でも良いということです。成功体験を大切にすることを重要視しましょう。
動く時間を選択する
本日の例ではロンドンニューヨークの重なっている4~5時間ということになります。これは効率化を求めるということで、余計なことをしないということです。
ドローダウンを出さない
ドローダウンを出すことによって、どうしてもメンタルにダメージを受けてしまいます。
時間をかけない
一つの例として、30分以内に決済する話をしました。
複数の通貨を持つとリスクが大きくなる
ドツボにはまらないように注意をしていただきたいと思います。
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