FXのトレンドラインで相場を見極める!見方・引き方・使い方などを解説
今回は、トレンドラインの見方や引き方、実際のトレードでの使い方などを解説していきます。
今回のポイント!
・トレンドラインで相場の動きがわかる!トレンドラインの読み解き方とは?
・なぜトレードに有効なのか?トレンドラインを使うメリットと注意点
・実際に引いてみよう!トレンドラインの引き方とコツ
・トレードで実践できる!トレンドラインを使ったトレード手法の紹介
FXで相場の動きがわかるトレンドラインとは?
相場には特定の動きがあり、大きく「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ相場」の3つの状態に分けられます。FXトレードでは、この相場状態を見極めることが非常に重要です。なぜならこれらが把握できないと、売りや買いの方向も決められませんし、適切なトレード手法も選べないからです。
このトレンドを把握するのに便利なのがトレンドラインです。高値も安値も切り上げているような上昇トレンドでは、最初の安値から次の安値を結んだ線がトレンドラインになります。逆に、下降トレンドでは高値も安値も切り下げているので、最初の高値から次の高値を結んだ線がトレンドラインになります。
価格はトレンドラインを突き抜けにくく、ライン付近で反転する傾向があります。このことから、上昇トレンドラインは下値抵抗線(サポートライン)、下降トレンドラインは上値抵抗線(レジスタンスライン)として機能します。
トレンドラインで相場を判断する際の見方
トレンドラインの基本概念について簡単に説明しましたが、ここからはトレンドラインの詳しい見方やそこから読み解ける相場の情報について解説していきます。
トレンドラインの方向
まずはトレンドラインの方向に注目してみましょう。安値同士を結んだ線が上向きになっている場合は上昇トレンドです。この場合は、チャートをパッと見てもなんとなく相場全体が上昇局面にあるのがわかります。上昇トレンドの場合は、買い方向でトレードすれば利益があげやすくなります。
高値同士を結んだ線が下向きになっている場合は下降トレンドと判断できます。下降トレンドの場合は、売り方向でトレードすれば利益が出やすくなります。
安値や高値を結んだ線が水平近くになる場合は、トレンドは発生していない状態と判断できます。このような相場状況はレンジ相場と呼ばれますが、この場合は売り買いの方向性の判断が難しい状態と言えます。
トレンドラインの傾き
トレンドラインの方向が確認できたら、次は傾きに注目してみましょう。実際にトレンドラインを色々引いてみると、それぞれ傾きが違うのがわかるでしょう。この傾きの違いからトレンドの強弱が読み取れます。
強いトレンドが発生しているときは、トレンドラインの角度も急になります。価格が動いているスピードも非常に早く、勢いがある状態です。あまりに角度が急なトレンドラインの場合は、その状態がずっと続くことはあまりありませんが、強い方向感であることは読み取れます。
トレンドラインの傾きが緩やかな場合は、トレンドが弱いと判断できます。トレンドの勢いもなく、トレンドラインが抵抗線としても機能しにくくなります。その後、トレンドが終了したり、レンジ相場に移行したりする場合も多くあります。
反転の回数
基本的にトレンドラインは2つの安値か2つの高値があると、線を引くことができます。しかし、2つの点だけを結んだ線にはまだそれほど信頼性があるとは言えません。しかし、3点目に同じライン上で反転すれば、多くの相場参加者が信頼しはじめます。
つまり、トレンドライン上で何回反転しているかは、そのトレンドラインがどれくらい信頼できるかのバロメーターなるのです。おおよそ3点目くらいの反転からトレンドラインの有効性が共通認識として持たれはじめるので、この反転タイミングを見計らってエントリーするトレード手法もあります。
5回以上反転しているとトレンドは持続しやすいとも言われますが、トレンドは永遠に続くわけではありません。トレンドの終焉時期では高値つかみ、安値つかみともなりますので、注意が必要です。
ブレイク
前述した通り、トレンドラインは抵抗線としても機能する特徴があります。例えば、上昇トレンドの場合は下値抵抗線となり、トレンドが続いている間はなかなかそのラインを価格が割ることはありません。下降トレンドの場合もトレンドラインが上値抵抗線となるため、そのラインより価格が上に行きにくくなります。
このような特徴があるからこそ、逆にトレンドラインを価格が抜けてしまった場合は、逆向きの強いサインとして使われます。このような特徴から上昇トレンドの下値抵抗線を下抜けてしまった場合は、短期的に売りサインとして使われることもあるのです。同じように下降トレンドの上値抵抗線を上抜けた時は、短期的に買いサインとなります。
もちろん、すぐに上昇トレンドが下降トレンドに変わったり、下降トレンドが上昇トレンドに反転したりはしません。あくまでも短期的な売買の方向性として参考になると考えるようにしましょう。
FXでトレンドラインを活用するメリット
実際にトレードにトレンドラインを利用すれば、どのようなメリットがあるのでしょうか。メリットを把握しておけば実際のトレードでも意識しやすくなりますので、ぜひ参考にしてください。
トレンドフォローしやすい
トレードの王道はトレンドフォローと呼ばれる、トレンドに追従してトレードするスタイルです。別の言葉では「順張り」とも呼ばれます。
トレンドフォローがなぜ王道なのかというと、トレンドが発生していてその方向に乗っかっていれば、上下動があっても利益を上げやすいからです。エントリータイミングが多少悪くても、方向性が間違っていなければいずれちゃんとプラスになるので、初心者でもトレードしやすいスタイルと言われています。
トレンドラインのメリットはこのトレンドフォローがやりやすくなる点です。トレンドラインを引いておけば、一目でトレンドの方向や勢い、反転ポイントまでがわかります。非常にシンプルな手法ですが、トレンドラインを使うだけでも優位性のあるトレンドフォローのトレードが可能になります。
チャートパターンを捉えやすい
トレンドラインを使いこなせるようになると、その中でも同じような形状がよく出てくることに気づくかもしれません。このように、よく見られるチャートの形状はチャートパターンと呼ばれます。チャートパターンが形成されるのにはきちんと理由があります。チャートパターンの形状とパターンが形成される意味を知っておけば、この先のトレンドの継続や転換を前もって読み取れるようになります。ここからは主なチャートパターンについて解説していきます。
ペナント
ペナントは上値と安値がどんどん収束していくチャートパターンです。売りの勢力も買いの勢力も一旦収まって、相場が調整局面に入る時によく現れます。ペナントはトレンド継続の有名なパターンです。一時的に相場は一服していますが、のちにもとのトレンドに戻っていきやすいのが特徴です。
上昇トレンド中に現れた時は上に抜けたタイミングで買い、下降トレンド中に現れた場合は下に抜けたタイミングで売りのサインとして利用されます。
フラッグ
フラッグはペナントと同じようにトレンドの調整局面で出現しますが、ペナントとは違い一定の幅を保ちながら価格が上下します。さらに、部分的にズームアップすると元のトレンドとは逆方向のゆるやかなトレンドが発生しているように見えるのが特徴です。
フラッグはペナントと同じく、トレンド継続を表すチャートパターンです。上昇トレンド中に発生する形状を「上昇フラッグ」と呼び、上抜けた時に強い買いサインになります。下降トレンド中に発生する形状を「下降フラッグ」と呼び、下抜けたら強い売りサインです。
三角保ち合い
三角保ち合いはペナントと似ていますが、上値や下値のラインが水平線であることが特徴であるのと、ペナントよりも大きな形状になるのが違いです。
上昇トレンドの場合は、上昇トレンドラインと高値を結んだ水平線で三角形が形成されます。このパターンが形成される背景には、高値は更新できないものの安値では積極的に買いが入るので、価格は上抜けやすくなります。上に抜けたタイミングが買いサインです。
下降トレンドの場合は、下降トレンドラインと安値を結んだ水平線で形成され、下抜けた際が売りサインとなります。
トレンドラインを活用する際の注意点
相場環境を認識したり、エントリータイミングを計ったりするのに便利なトレンドラインですが、もちろん万能ではありません。トレンドラインに関する注意点を以下に紹介していきます。
だましが発生することがある
前述した通り、トレンドラインは抵抗線としての働きもあるので、トレンドラインが破られたときは基本的に逆方向へのトレードサインとなります。この動きはブレイクと呼ばれますが、ブレイクが起こってもすぐに元の値動きに戻ってくることがあります。これが「だまし」といわれる現象です。
だましは珍しい現象ではなく、小さなだましは頻繁に起こります。従って、ブレイクを確認してすぐにエントリーしていては、損失続きになってしまいます。ブレイクを確認したら、少し様子を見てから、だましかそうでないかを落ち着いて見極める必要があります。また、だましを想定して損切り注文を入れておくのも、大切な資産を守るために重要なポイントです。
相場の状況に合わせて引き直す
トレンドラインの傾きはトレンドの勢いを表すことは前にも述べましたが、トレンドの勢いはその都度変わっています。トレンドの初動では勢いがあったものの、徐々に衰えていく場合もありますし、逆にファンダメンタルズの要因で急激に勢いを増す場合もあります。
そんな時は最初に引いたトレンドラインが機能しなくなりますので、常に見直しながらトレンドラインを引き直しましょう。相場は刻一刻と変化しており、その変化に臨機応変に対応する力も必要です。
ラインを引きなおすことで「トレンドにかげりが見え始めたぞ」「転換しそうだ」のような兆候も読み取れるようになり、トレードにも有効なヒントが得られます。
複数のラインを使って相場を判断する
トレンドラインの引き直しと同様に、一本だけのトレンドラインに頼るのではなく複数のトレンドラインを引いてみるのも相場状況の判断には必要です。例えば、トレンドが始まった起点から最初に意識されていたトレンドライン、その後に意識されたトレンドラインの両方を引けば、角度の違いを利用して相場の勢いが判断できます。
トレンドラインとは別に水平線も併用すれば、さらに優位性のあるトレードが可能です。例えば、過去に何度も意識されている価格に水平線を引いておき、トレンドラインも引きます。過去に何度も意識された価格で引いた水平線はトレンド中でも意識されるので、トレンドラインがその水平線を超えるかを見て、トレンドの継続や反転を確認できます。
このようにトレンドライン一本に頼るのではなく、複数のラインを引いたり、水平線を併用したりすることで、よりトレードの優位性が高まるでしょう。
トレンドラインの引き方をマスターしよう!
「トレンドラインの有効性がわかったけど、実際の引き方がわからない!」という方のためにトレンドラインの引き方のコツと引き方を紹介していきます。
トレンドラインを引くときのコツ
トレンドラインを引くときのポイントは、チャートで重要な高値同士、安値同士にタッチするように線を引くことです。たまに線に収まらないようなローソク足が出てくるかもしれませんが、もしその動きが一瞬だけのものであれば無視しても問題ないでしょう。このようなローソク足は指標発表などで一瞬だけ急激に価格が動いて、また元に戻ってきたような場合によく見られます。
トレンドラインにローソク足のヒゲを含めるかどうか、という点を気にする人もいるかもしれません。トレンドラインは一番機能しているラインを探し出すのがコツです。「ヒゲを含めたほうが機能しているようであればヒゲを含める」「実体がより意識されていると思えば実体で引く」のように使い分けるのもいいでしょう。
トレンドラインの引き方
トレンドラインの引き方ですが、チャートをパッと見て全体が右肩上がりに上昇している場合は、ポイントとなる安値同士を結びます。チャートが右肩下がりに下降している場合は、高値同士を結びましょう。さらに水平線も加えておけば、より相場認識がしやすくなります。
ローソク足のヒゲや実体を含めるかは前述した通り場合によりますが、慣れるまではどちらかの方法に固定してもいいでしょう。
トレンドラインを迷いなく引くには、とにかく沢山経験することです。過去チャートなどを使えば、トレンドラインを引く練習ができますので、ぜひいろいろと線を引いてみてください。
トレンドラインを使ったトレード手法
それでは最後に、トレンドラインを使って実際にトレードする手法について代表的なものをご紹介していきます。
上昇トレンドの押し目で買う
トレンドラインでトレンドが把握できたら、おのずとトレードの方向性は明確になります。例えば、上昇トレンドであれば買いの方向でトレードすればいいとわかります。
しかし、上昇トレンドの中でも常に相場は上下に波打ちながら推移していきますので、タイミングによっては価格が下がっている時もあります。上昇トレンドでは価格が一旦反落する場面を「押し目」と呼びます。
上昇トレンドではこの押し目からの反発を狙ってエントリーすると利益を上げやすくなります。押し目からの反発でエントリーすれば、うまくいけばあまり含み損を抱えずに利益を上げられるのがメリットです。
押し目はトレンドライン付近で反転する傾向にあります。押し目を形成しはじめたら、価格の動きに注目しておき、トレンドラインでの反転を確認して買いでエントリーしましょう。
トレンドスタイルにもよりますが、押し目で新規にエントリーするやり方の他に、ポジションを買い増していく方法もあります。
下降トレンドの戻り目で売る
上昇トレンドでは押し目を使ったエントリーをしますが、下降トレンドでは同じように戻り目からの反落で売りエントリーをしかけます。
上昇トレンドと同じように、下降トレンドでも常に価格が下げっぱなしというわけではありません。調整として短期的な上昇をする場合があり、その状態を戻り目と呼びます。
エントリー方法は押し目買いと同じく、トレンドライン付近で戻り目から反落するタイミングを狙って売ります。
押し目も戻り目もトレンドライン付近で反発、反落する傾向はありますが、トレンドラインぴったりの場所で反発・反落するわけではありません。また、トレンドラインをブレイクする場合もあります。ライン付近での反転を確認してからエントリーするようにすれば、より優位性の高いトレードができるでしょう。
レンジ相場で売買する
トレンドラインを使ったトレードは、基本的に押し目買いと戻り売りの二つになりますが、水平線を使ったトレード方法もご紹介しておきます。
トレンドが発生していない場合で水平線がきれいに引けて、明らかにレンジ相場になっている場合は、主に二つのトレード手法が使えます。
まずは、レンジ内から価格が出ないことを想定して、レンジの上限の抵抗線付近で売ったり、下限の抵抗線付近で買ったりする方法です。
もう一つはレンジから価格が抜けた時を狙ってトレードする方法です。ブレイクアウトと呼ばれる手法ですが、抜けた方向にトレンドが発生しやすい傾向がありますので、うまくいけば大きな利益をあげられるのが特徴です。
いずれにしても、トレンドラインと同様に水平線でもその付近での価格の反転やブレイクをしっかりと見極めてトレードするようにしましょう。
トレンドラインを使ってFXトレードに活用しよう!
トレンドラインは多くの人が利用する非常にメジャーな相場分析ツールです。考え方はシンプルですが、相場の状況を読み解く上で、沢山のヒントが得られる非常に便利な存在です。
最初はトレンドラインを引くのが難しいと感じることもあるかもしれませんが、経験を積めば難しく感じることもなくなります。優位性のあるトレードの為にもぜひマスターしてみてください。