FXで失敗するパターンとは?大きな損失を回避するための方法も解説!
今回は、FXで失敗する典型的なパターンを紹介し、それらを回避するための方法も解説します。大きな損失を未然に防ぐためにも、ぜひ読んでおいてください。
今回のポイント
- FX初心者に多い失敗の原因は基礎知識の不足
- FXに慣れた人を失敗させる原因の多くは自分の心の中にある
- FXで失敗しないために必要なことは知識の習得と実践
FX初心者は要注意!はじめてのFXで失敗するパターン
口座開設からトレード開始までオンラインで簡単にできるようになったことから、FXを気軽に始める人は増えています。しかし、投資としてのハードルが下がった分、準備不足から大きな失敗をしてしまうFX初心者が多いことに注意が必要です。ここでは、その典型的なパターンを解説します。
FXの勉強をせずにトレードを始める
FXの勉強をほとんどしていない初心者のなかには「所詮、レートは上がるか下がるかしかない」などと丁半ばくちのように考える人もいます。しかし、FXはギャンブルではなく、れっきとした投資です。FXは勉強せずに継続的に勝ち続けられるほど簡単ではなく、たとえビギナーズラックで利益が出ても、非常に高い確率で中・長期的には損失が出ます。
FXの価格変動はギャンブルのようにランダムに発生しているのではなく、世界経済の状況やトレーダー達の心理状況を反映して動いています。そのため、「多くの人が現在のレートを高いと考えるか、安いと考えるか」ということを分析・推測することが重要です。相場の常識をしっかり学んでいないために、赤信号で堂々と道路を横断してしまうような行動を取ってしまうFX初心者が少なくありません。
大きな利益を狙ってレバレッジをかけすぎる
FXではレバレッジをかけることで、少ない資金でも大きな利益を狙えます。例えば、米ドル/円においては、レバレッジ25倍の場合4~5万円程度で 1万ドル(約100万円) の取引をすることができ 、予想した方向に1円動けば1万円の利益になります。
FXにおいてもリスクとリターンが比例関係にあるのは、他の投資全般と同じです。高レバレッジで期待できる利益が大きいと、損失も大きくなる可能性があります。FX初心者は大きな利益を得ることだけ考えて、損失を小さく抑えることを忘れてしまいがちです。高レバレッジなトレードで損失を出せば、あっという間に資金がなくなってしまうので注意しましょう。
強制ロスカットで資金を失う
強制ロスカットとは、証拠金維持率がFX会社の定めている基準を下回った際に、投資家の意思に関係なくFX会社によって強制的にポジションが決済されるシステムです。証拠金維持率は必要証拠金に対する純資産額の割合のことで、以下のように計算できます。
証拠金維持率=(純資産額-注文証拠金)÷ポジション必要証拠金×100
レバレッジ25倍のFX会社の場合、1ドル100円のときに1万通貨保有・注文するのに必要な証拠金は4万円(=100円×1万通貨×4%)です。現在、口座資金が100万円で10万通貨のポジションを持ち、さらに1万通貨を注文していると、
証拠金維持率=(100万円-4万円)÷40万円×100=240%
となります。
証拠金維持率の基準はFX会社や加入しているプランによって異なり、100%、50%、20%などの設定があります。
FX初心者によくある失敗パターンは、先に紹介したようにレバレッジをかけすぎて、わずかな価格変動で強制ロスカットが発動して損失が確定してしまうことです。また、含み損が出ているのに損切りできずにポジションを保有し続け、最終的に強制ロスカットされてしまう人もいます。
スワップポイントで稼ごうとする
スワップポイントとは、2つの通貨の金利差によって得られる利益です。計算式は以下のとおりです。
スワップポイント=買った通貨の金利-売った通貨の金利
例えば、米ドル/円の通貨ペアにおいて、米ドルを買う(=円を売る)と、スワップポイント=米ドルの金利-日本円の金利
となります。
2020年12月時点で米ドルの政策金利は0.25%、日本円はマイナス0.10%なので、スワップポイントは0.35%です。ただし、これは理論値であり、各FX会社の取り分が差し引かれます。
逆に米ドルを売ったような場合は、スワップポイントを支払わなければなりません。これをマイナススワップと呼びます。保有期間が短い場合には大きな影響はありませんが、長期保有する場合は、積もり積もって大きな損失となってしまいます。
また、はじめはスワップポイントを受け取れていたものの、途中でマイナススワップに転じるリスクもあるので注意しましょう。為替差損とマイナススワップのダブルパンチによって、口座資金が大きく減ることもあります。
スワップポイント狙いの投資では、金利が高い通貨(南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソなど)と金利の安い日本円のペアを選ぶのが一般的です。しかし、高金利の通貨は価格変動が激しい傾向があります。スワップポイントを得られると考えて安易にポジションを取ると、大きな為替差損が発生して利益が出ないこともあるので注意しましょう。
FXに慣れた人でも大きな失敗をしてしまうパターン
継続的に利益を上げているFXトレーダーでも、ささいなことから自分のトレードスタイルを崩してしまい、大きな損失を出すことがあります。ここでは、FXに慣れた人でも気を付けておきたい失敗パターンについて解説します。
生活費を使ってしまう
トレードにはある種の魔力のようなものがあり、FXにのめり込んでしまう人はたくさんいます。このような状態になると、余裕資金だけで投資するのではなく、生活費の多くをつぎ込んで投資を行うことになりかねません。
心理的に大きなプレッシャーがかかるポジション量を持つと、冷静さを失ってしまいます。負け続けているトレーダーであれば、ますます感情的な売買が増え、含み益が出てもすぐに利益確定してしまうような状態になってしまうでしょう。
継続的に利益を上げてきたトレーダーでも兼業から専業になった際に、自分のトレードスタイルを崩してしまう人は少なくありません。「絶対に負けられない」という思いから、強制ロスカットを避けるために入金を繰り返してしまう人もいます。
相場の急変に対応できない
FXでは強制ロスカットのシステムがあるため、口座残高がマイナスになってしまう可能性はまずありません。強制ロスカットは想定以上の大きな損失が出ないようにトレーダーを守ってくれる役割を果たしています。
しかし、経済指標の発表や要人発言などマーケットに大きな影響のある出来事が起こると、相場が急変し、まれに強制ロスカットが間に合わないケースもあります。近年では2014年の「スイスショック」が代表的な事例です。スイス国立銀行の無制限介入(ユーロ買い、スイスフランの売り)により1.20スイスフランが非常に強固なラインになっていましたが、この介入の廃止が突然発表されたため、数十分で2,000pips以上も上昇しました。そのため、一部のトレーダーの注文は約定せず、損切りポイントから1,000pips以上離れた決済などとなり、口座残高がマイナスになる投資家が続出したのです。
このようなケースはまれですが、アメリカの雇用統計発表時など価格変動が激しくなった際にも、FXに慣れているトレーダーでさえ冷静な判断ができなくなることはよくあることです。また、損切りの逆指値注文を入れていなかったことで、大きな損失を出してしまう場合もあります。
損切りが続いてトレードが怖くなる
FXのトレードに慣れてきた人でも連敗が続くとエントリーすることが怖くなります。勝率50%の場合はルール上正しいトレードをしたとしても、5連敗するようなことが、まれに起こるでしょう。このようなときに、自分の手法が間違っているのではないかと自信を失ってしまいます。
そうすると、せっかく勝ち組トレーダーへの道を歩み始めているのに、トレードに対する恐怖心からFXをやめてしまう人がいます。また、負けたくないばかりに様々な要因を確認しすぎるようになってエントリーが遅れ、従来持っていた優位性を失ってしまい、負けトレーダーに戻ってしまう人も少なくありません。他のテクニカル指標を使い始めたり指標のパラーメータ設定をいじくったりして、スランプに陥ってしまうのもよくある失敗例です。
大きな賭けに出て失敗する
自分のトレードに自信が出てくると、ポジションを大きく取ってしまいやすくなります。特に得意なチャートパターンが出た際などでは、高レバレッジで大きな賭けに出てしまい失敗してしまうのもよくあるパターンです。あるいは、エントリー後に価格が逆行したことからナンピン買い(追加買いをして平均購入単価を下げること)を繰り返し、結果としてリスクが高いポジション量になってしまうこともあります。
どちらの場合も1回の勝ち負けにこだわることで、トレードに熱くなってしまうことで引き起こされる失敗です。トータルで勝つという考え方がないと過剰なリスクを取ってしまい、コツコツと積み重ねてきた利益を一度に失ってしまいます。
確定申告をしていない
FXで利益が出た場合は原則として確定申告が必要です。ただし、年末調整によって所得が確定した給与所得者で年間利益が20万円以下の場合は申告が不要です。
確定申告をしない、または虚偽の内容を申告した場合には、本来納めるべき税金の他に、以下の税金を支払わなければなりません。
- 無申告加算税
期限内に申告をしなかったことで発生する。納税額が50万円以下の場合は15%、50万円以上の場合は20% - 過少申告加算税
税務署の確認後に修正申告をするか、税務署から修正申告を要請された場合に発生する。税率は新たに発生する税金の10%相当。ただし、金額や申告内容によって0~15%の間で変動する - 重加算税
悪質な改ざんや隠ぺいがあった場合は重加算税が課せられる。確定申告をしていた場合は35%、期限後に申告した場合は40%
なお、過去の状況によっては、さらに税率が上がる場合もあります。
不正をしても税務署にはバレないと考える人もいますが、FX会社の口座情報はマイナンバーによって税務署のシステムに紐づけられています。追徴課税されないように、必ず正しい内容で確定申告を行いましょう。
海外のFX会社でトレードをして失敗する
日本国内のFX会社は法律上、最大25倍のレバレッジしかかけられません。一方、海外では規制が異なるため、数百~数千倍ものレバレッジをかけることが可能です。追証分が発生しない(口座がマイナスにならない)ゼロカットシステムを採用している会社も多いため、投資資金を失う覚悟で高レバレッジのトレードを実行する人も少なくありません。
しかし、海外FX会社では出金停止や取引停止のトラブルも多く、被害にあってしまう人もいます。本当に信頼できる会社なのか、しっかりチェックしておきましょう。少なくとも営業拠点の国の金融機関から承認を受けているFX会社かどうか確認することが必要です。
また、海外FX会社の場合、信託保全制度が適応されない会社も多いため、FX会社が倒産すると、資金が返ってこないケースもあります。
FXトレードで失敗を回避するには?
ここまでFX初心者にありがちな失敗、そしてFXに慣れた人でもしてしまう失敗のパターンを見てきました。ここからは、失敗を回避するための方法を解説します。
FXの勉強を続ける
当たり前のことですが、FXで実際にトレードする前にはFXの基礎をしっかり学んでおくことが大切です。特にリスク管理に関する内容は重要なので、先述した強制ロスカットのルールやレバレッジ、信託保全制度、ゼロカットシステムなどは知っておきましょう。また、相場が急変した過去の事例も知っておき、最悪の事態を想定した資金管理方法を検討することも重要です。
トレードに慣れてきた人も勝ち続けるためには勉強し続ける必要があります。心理面でブレが生じてスランプに陥ったり、慢心して過剰なリスクを取ったりすることがないように、自分なりのトレードルールを固めスキルを磨いていきましょう。
損失が大きくなる前に損切りする
損切りの徹底は大きな損失を出さないために不可欠です。小さな損失を受け入れて利益を伸ばす「損小利大」のトレードスタイルを確立することが、トータルで勝つために非常に大切です。
FX初心者のうちは確実に損切りをするために、逆指値注文(ストップ注文)を入れる習慣をつけましょう。数秒で終了するようなスキャルピングを除き、ポジションを持ったと同時に損切りの逆指値注文を入れておくのが基本です。そして、一度設定したら、損切りポイントを損切り幅が大きくなる方向へ動かさないようにしましょう。
自動的に執行される注文を常に入れておくことは、相場が急変したときの対策にもなります。スイスショックのような例外的なケースを除き、損切りを入れておけば今後のトレードに大きな影響が出るような損失はほぼ避けられます。
流動性があり安定した通貨ペアを選ぶ
流動性とは市場での取引量のことです。米ドルやユーロ、円などは流動性が高いメジャー通貨の代表です。一方、トルコリラやメキシコペソ、香港ドルなどは流動性が低いためマイナー通貨と呼ばれています。
特にFX初心者のうちは、どのようなトレードスタイルであっても、流動性があって価格が比較的安定しているメジャー通貨同士のペアを選んだほうが安全です。例えば、米ドル/円やユーロ/米ドルなどです。これらはスプレッドやスリッページが狭いため、トレードにかかるコストも安く抑えられます。また、情報を入手しやすいことから、未然にリスクを回避しやすい点もメリットです。
一方、トルコリラ/円やメキシコペソ/円などの通貨ペアは、高金利のスワップポイントが得られるため人気の通貨です。しかし、マイナーな通貨は一般的に値動きが不安定でリスクが高いことに注意しておきましょう。
少額取引で経験を積む
FXについて一通り勉強したら、まずは少額資金でトレード経験を積むことがおすすめです。余裕資金があるなら、レバレッジをかけて大きな利益を目指すこともできます。ただ、この段階では投資のスキルを身に付けることが重要なので、一般的には5~10連敗しても、トレードを継続できるポジション量にしたほうがよいでしょう。このほうが安全であり、心理的なプレッシャーから引き起こされる失敗も防ぎやすくなります。
トレードにおいては実戦でしか学べないことも多くあるため、利益確定や損切りのタイミングやメンタル管理の方法を学ぶためにも、少額取引で経験を積むことは効果的です。資産の推移やトレードスキルの成長などを分析しながら、徐々にポジション量を増やしていきましょう。
利益が出たら確定申告をする
FXの利益に対しては約20%の税金がかかります。ただし、FXを学ぶための書籍代やセミナー受講料、通信費などは経費として計上でき、所得から差し引くことが可能です。通信費や新聞購読代などはFX以外の目的を兼ねていることが多いでしょうが、これらの費用も「家事按分」制度によって何割かを経費として認められることがあります。
また、損失が出た場合でも、「繰越控除」という制度があり、翌年以降の3年間は利益と相殺できます。損失が出て確定申告が必要ない年も忘れずに申告しておきましょう。
FXで勝てるようになるには?
FXで失敗を回避し勝てるようになるには、やはり地道な努力が欠かせません。ここでは、個人トレーダーが押さえておきたいチャート分析と情報収集のポイントを解説します。
自分に合ったトレード手法を見つける
自分にあったトレード手法をみつけるには、スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、長期トレードなどのトレードスタイルを検討してみることが重要です。どうすれば資金を増やせるかということばかりではなく、取引できる時間帯や余裕資金、自分の性格などを含めて総合的に検討しましょう。
個人投資家の多くは、テクニカル分析と呼ばれるチャート分析を中心にしてトレードを行います。トレード手法を構築する際は基本的な知識から試し、チャート分析の技術を身に付けていくのが失敗の少ないやり方です。具体的にはダウ理論や支持帯・抵抗帯、トレンドライン、チャートパターン、移動平均線などを中心にスキルを身に付けていきます。
基礎がしっかりしていれば、トレードの経験を積みながら自分なりのトレード手法を確立していけるでしょう。ただし、理論は理解できても実際にどう使えばよいのかわかるまでに時間を要するため、実践的な方法をレクチャーしてもらえるオンラインスクールなどを利用することも効果的です。
為替相場に影響する情報を集める
FXで勝てるようになるには、損小利大が実現しやすい相場環境にある通貨ペアを選ぶことが重要です。そのためには戦争やテロ、金融政策の転換などリスクの高い相場を避けることが大前提です。ニュースや新聞などを通じて普段から情報収集を行い、必要に応じて専門家のレポートやメールマガジンなども購読していきましょう。
経済状況や国際情勢などがわかりファンダメンタルズ分析ができるようになると、それらが為替相場にどのように影響するのか、自分なりに予測できるようになります。大きな流れがつかめると、勝てる確率が高い方向や場面を選びやすくなります。特にスイングトレードや長期トレードにおいては、ファンダメンタルズ分析が重要です。
FXで失敗を回避するには勉強と経験が必要!
「備えあれば憂いなし」といいますが、FXで失敗を回避するための備えとは、さまざまな勉強をしておくことです。まずはレバレッジや強制ロスカット、流動性リスク、海外と国内のFX会社の違いなど基本的なリスクについて知っておきましょう。
また、少額資金でトレードを経験しながらチャート分析や情報収集のスキルを身に付けることも重要です。慣れからくる失敗にも気を付けつつ、自分のトレードスタイルを確立し継続的な勝ち組トレーダーに成長していきましょう。