FX取引とは?
簡単?怖い?FX取引を正しく理解するための4つの特徴を解説
株式投資、投資信託、不動産投資など世の中には投資の種類が数多くある。投資の中でもFX取引は「手軽に利益が得られる」「リスクが高い」「なんとなくあやしい」などと、とりわけイメージが先行しがちな投資ではないだろうか。
このようなイメージのせいで、人によっては必要以上に怖がってFX取引を敬遠したり、逆に無知のままFX市場に飛び込んだりしがちだ。だからこそ、今回はFX取引について正しい知識を得てもらえるよう、FX取引とは何なのかについて、概要はもちろんメリット・デメリットについても紹介していきたい。
FX取引とは?外貨両替・外貨預金との違いは?
まず基本的な部分をおさらいしておこう。FX取引とは国の通貨と通貨を取引する投資だ。一般的に国の通貨と通貨をやり取りするレートは毎日上がったり、下がったりする。FX取引ではこの変動を通じて売買差益を得ていく。つまり、通貨を安い値段で買い、高くなったところで売ったり、高い値段であらかじめ売っておいて、安い値段で買い戻したりして利益を出すのだ。
ここまではなんとなく一般的な概念として理解している人も多いだろう。実際に海外旅行に行くときに日本円を外貨に両替して、これに似た取引を経験している人も多い。
しかし、FX取引には通常の外貨両替や外貨預金とは大きく異なる点がある。それが「証拠金制度」だ。通常の外貨両替の場合は、10万円の日本円では10万円分の外貨しか両替できない。
しかし、FX取引は証拠金といわれる預け金を元手に、証拠金の何倍もの額の通貨を買ったり、売ったりできるのである。現在、日本国内では個人口座の場合、証拠金の最大25倍までの取引が可能だ。
通貨のレートはいくら変動しているからといって、動く幅は限られている。例えば、ドル/円の通貨ペアの場合、変動幅がたった数十銭という日も珍しくない。その中で差益を得るには、実際にどういうイメージになるのか見てみよう。
たとえば、1ドル100円で買って100円10銭で売ったケースを想定してみよう。外貨両替の場合であれば、10万円分の外貨両替をしても利益は100円しかない(手数料を考慮しない場合)。
では、同じ取引をFX取引で行った場合はどうなるだろうか。FXの証拠金制度を使えば、同じ10万円を元手にして、最大25倍の通貨を取引できる。つまり10万円で250万円分の通貨を取引できるのである。
FX取引の場合、全く同じ元手、取引内容でも利益は2500円となる計算だ。この「証拠金制度」こそが外貨両替や外貨預金と大きく異なる点であり、FX取引の最大の特徴だ。
では、この基本を踏まえつつ、次は他の投資と比較しながらFX取引ならではの特徴やメリット・デメリットを細かく見ていこう。
FX取引の特徴1:少額の資金で大きな金額を取引できる
前述のとおり、FX取引において最大の特徴は「証拠金制度」だ。この制度があるおかげで、手持ちの資金があまりなくても、何倍もの金額の通貨を取引できる。このように小さな資金でより大きな金額を取引することを「レバレッジ」という。
現在の日本のFX業者では、個人口座の場合、最大25倍のレバレッジまでが認められている。比較対象として株式投資のレバレッジを見てみると、現物取引の場合は1倍、信用取引で3倍となっている。
レバレッジをかけられるメリットは少額の資金でも大きな利益が狙える点だが、これは同時にデメリットにもなりうる。資金に対して利益が積みあがるスピードは早いが、損失を出した場合は資金が減るスピードも速い。
レバレッジをかけすぎると、あっという間に資金を全部失ってしまう可能性もある。この特徴が「FXはギャンブルだ!」「FXは怖い」のようなイメージにつながりがちな部分である。
しかし、レバレッジのかけすぎも、恐れすぎもレバレッジに対する正しい知識を身につけていないから起こってしまうと言える。資金管理の上、適切なレバレッジをコントロールするための正しい知識とスキルを身につければ、リスクを抑えながら他の投資よりも資金効率のよい投資が十分可能だ。
FX取引の特徴2:24時間好きなタイミングで取引できる
FX取引の舞台となる為替市場は平日であれば世界中で24時間取引されている。一方、株式投資であれば取引時間は平日9時~11時半、12時半~15時と1日たったの5時間しかない。
時間帯もかなり制限されているために、ライフスタイルによっては取引できない人も多いだろう。その点、FX取引は自分の好きな時に取引できるのがメリットと言えるだろう。
また、通貨は世界中で取引されているので、ほとんどの通貨は、特に母国の市場で流動性が高い。これはつまり、自分が取引したいときに取引がほぼ成立することを意味する。
投資が初めての人は「そんなのは当たり前なのでは?」と思うかもしれない。しかし、株式投資では取引量が少ないために、自分が買いたいときに買えない、売りたいときに売れない、といった事態は頻繁に発生する。
為替市場は個人でFX取引をする人だけでなく、金融機関や貿易のための為替取引、場合によっては国の介入など世界規模での取引高があるので、買い手や売り手がいなくて困る場面はあまりない。
このようにFX取引ではいつでも自分の好きなタイミングで取引が可能ではあるが、それゆえにデメリットともなりうるケースもある。
例えば、世界で何か起こったときに瞬時にレートが急激に変わる場合もある。そのため、対応が間に合わず、大きな損失を出してしまうこともある。
また、24時間いつでも相場が開いているので中には気分が休まらないと感じる人もいるだろう。寝ている間も値動きが気になったり、いつチャンスがくるかわからない、とチャートから離れられなくなったりする人も珍しくない。
いつでも取引できるからこそ、相場との付き合い方や距離感をしっかりと持つ必要も出てくるだろう。
FX取引の特徴3:売り・買いどちらからでも取引できる
FX取引では現物の通貨を取引するわけではないので、持っていない通貨をいきなり売る取引も可能だ。
外貨両替でも一般的に取引される現物の株式取引でも、通常は買いからしか取引できない。価格が既に高い水準になってしまっている場合は、時間をかけて値段が下がってくるまで指をくわえてただひたすら見ている必要がある。
一方、FX取引であれば価格が行き過ぎた調整局面の下落そのものもチャンスとして取引できる。相場が上昇基調であっても、下落基調であってもFX取引であれば全てチャンスとなるのだ。
株式でも信用取引を使えば売りからの注文も可能であるが、口座を別に作ったり余剰資金の審査があったりと、ハードルはやや高めだ。
FX取引では売りも買いも全く同等の取引として扱われるので、口座を開けばすぐに売りも、買いも注文ができる。売り買い両面で資金を回せるので、資金効率が良いともいえるだろう。
FX取引の特徴4:スワップポイントがある
FX取引では売買差益から利益を得るのが一般的だが、実は他にも利益を得る方法がある。それがスワップポイントだ。スワップポイントとは通貨間の金利差を意味する。金利の高い通貨側を買って保有している間は、毎日利子のようなものがもらえるのだ。
スワップポイントで利益を得る考え方はいたってシンプルだ。高金利通貨を買って、低金利通貨を売る建玉(ポジション)を保有しておくだけである。
例えば、低金利通貨の日本円と高金利通貨で有名なトルコリラの組み合わせを考えてみよう。この通貨ペアの場合、トルコリラ/円の買いポジションを持っている限り毎日スワップポイントがつく。
ある程度長期で保有し続ければ、放置しているだけでも利益がどんどんと積みあがっていくという寸法だ。
これだけを見れば良いことだらけのように思えるが、もちろん注意したいデメリットもある。それは、長期保有している間にも通貨のレートは変動する点だ。売買差益による含み損が出れば、スワップポイントによってコツコツと積み上げた利益を一瞬で食い尽くすことも十分考えられる。
また、スワップポイント自体も毎日変動するので、最初に想定していた利益が続くとも限らない。このような点から、いくらスワップポイント狙いの運用だとしても、完全に放置しておくわけにもいかないと肝に銘じておこう。
また、スワップポイントはプラスだけでなく、逆にマイナスになるケースもある。それは、前の例とは逆の「低金利通貨を買い、高金利通貨を売る」場合だ。スワップポイントがマイナスであればもちろん毎日損失が加算されていく。
デイトレードであればそれほど気にする必要はないが、なんらかの理由で長期保有する場合は注意しておく必要があるだろう。
投資はまず正しい知識をもつことから始めよう
今回は、FX取引について基本的な概念から特徴までを取り上げた。FX取引に対して人々がもつイメージは実に様々なものがある。しかし、大切なのはイメージではなく、まずはどんな特徴があり、どんなメリット・デメリットがあるかの両面を客観的な事実として知る事だ。正しく中立的な知識をもてば、おのずと投資に対する自分の考え方やスタンスを明確にできるのではないだろうか。