トルコリラは絶対買ってはいけない その1
トルコリラ/円の下落が加速しています。
チャートの左下 トルコリラ/円 日足ボリンジャーバンド
静止チャート
https://www.tradingview.com/x/nSNHauAG/
トルコリラ・アルゼンチンペソ・南アフリカランドなどの新興国通貨の下落は、金融信用収縮の兆候の可能性もあるので、今後の動きに注目です。世界全体が良い時は新興国への投資はメリットがありますが、世界全体が悪い時は新興国への投資はしないことが鉄則です。先進国以上に景気が悪化するからです。
日本ではトルコリラ・トリコリラ建債券が人気で買う人が多いのですが、イーグルフライでは、これら新興国通貨は10年以上前からずっと投資不適格なので買ってはいけない通貨としてきました。
新興国の高金利通貨が日本で人気の理由は、日本では超低金利の期間が長く、高金利が魅力的に見えるからです。高金利だということはインフレ国だということなので通貨価値は下落していることを知る必要があります。
トルコリラは2007年11月の約100円から2020年11月には約12円に下落し続けていますし、今も下落継続中です。13年間で1/10近くまで下落したのです。いくら金利が高くても、長期下落相場であれば、投資対象にはなりません。
FXの場合、レバレッジを3倍にすると金利も3倍になるので、金利狙いでレバレッジをかけて長期保有する人も多いです。しかし、レバレッジを3倍にすると下落の幅も3倍になるので、レバレッジ3倍だと破綻します。レバレッジ2倍でも危険です。
また、新興国通貨は流動性が低いので突然の急落もあります。土曜日の朝、場が終わる前に大きく急落していたということもありました。日本人はトルコリラをFX等で長期保有している人が圧倒的に多く、最終的に資金を失う人が多いのです。
ここで興味深いことがあります。トルコリラは危険だと聞いていても、確信を持って危険ではないと判断し買う人がいるのです。一般には、金融リテラシーが低く、自分の頭で考えず、勧められたり、金利が良いという理由だけで危険な投資商品を買ってしまいます。
そのような人がいる一方で、「自分は投資リテラシーが高いと思っていて、他の高金利通貨に飛びつく一般投資家とは違う」という自信過剰な人が買っているケースがあります。
その国を調査し、投資に適するかをしっかり分析した上で、高値から大きく下落したので絶好の買い場だと確信を持って間違えて買い判断をした人たちです。
彼らの思考パターンは次のような2つの自信過剰が問題となり、やはり資金を失います。
- 自分の予想の正確性に対して自信過剰
- 自分で相場を(無意識で)コントロールしているという自信過剰
知識を過信する
自信過剰の原因の1つ目は自分の「知識を過信する」ことです。自分の知識が増えると自分の予測の精度が高まると信じる傾向があります。
例えばトルコについて、ニュースや銀行や証券会社の発行する経済レポート等、教科書的知識をしっかり得て次のように将来性が高い国と把握します。
- 若年層が多い(若年層が多い国は活性化している)
- 人気が高い観光資源がある
- 輸出が好調
将来性が高いと判断したうえで、さらに、実際に現地に視察旅行に行ってみたら、イスタンブールなど魅力的なので、この国は夢があり、株や通貨は上昇すると確信します。学び、現地を視察してきたことから、知識を得て自分はリテラシーが高いと思い、一般投資家のような間違いはしないという自信過剰に陥ります。
自分は今までも正しい投資判断ができたので、今回も正しいはず、つまり、自分が良いと思ったものは良いものと確信していきます。他人から、その通貨は危険と言われてもスルーします。そもそも自信過剰の人の周りにはYESマンしかいなくなるので、誰も危険と言ってくれないということもあります。
いずれにせよ危険なものを良いものと確信を持って間違えるのです。このような自信過剰な人は特に勤勉で、勉強熱心な投資家に多い傾向があります。投資をするには金融リテラシーが大切ですが、その前に正しいマインドセットが大切であることが分かります。
トルコリラは絶対買ってはいけない その2 に続きます。
https://real-int.jp/articles/384/