下降トレンドが継続している中、上値が重たい展開が続くか
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Ⅰ.早読み先週のドル円相場(寄り付きは東京午前9時の気配値、NY終値は現地午後5時の気配値)
週初5日:寄り付き105.54。
東京:寄り付き直後に前の週の弱地合いを受け継ぐ形で105.35まで下落するも、その後は米コロナ対策経済政策への期待感もあり、105円台後半へと反発。
NY:トランプ大統領の症状について楽観的な見方が強まり、リスク選好ムードが高まる中、米株高・ドル高の展開。9月ISM非製造業景況指数が予想を上回ったこともあり、105.79まで上昇。
NY終値105.74。
6日:寄り付き105.71。
東京:朝方にトランプ大統領の退院報道があったものの、為替市場への影響は限定的だった。その後は日経平均株価が堅調となる中、105.60台で堅調裏に推移。
NY:FRBパウエル議長の講演があったも、為替市場への影響はなし。その後、「トランプ大統領が景気対策交渉の停止を発表」との報が嫌気され、105円半ばまで小反落したが、同水準では底堅く、小反発。
NY終値105.68。
7日:寄り付き105.64。
東京:材料難の中、105.60近辺で堅調に推移。
NY:トランプ大統領による「個人に1200ドル配布法案SNS」が前日の「景気対策交渉の停止を発表」を打ち消す形でリスクオフのムードが後退する中、ドル円はじり高となり106.11まで上昇。
FOMC(9月分)議事要旨の影響は限定的。
NY終値105.98。
8日:寄り付き105.98。
東京:米追加経済対策案策定への期待感が高まる中、106.11まで上昇。しかしながら、ドル買いにフォロースルーは見られず、小反落。
NY:材料難の中、106円近辺で模様眺めに終始。
NY終値106.03。
9日:106.01
東京:米追加経済対策の行方を見極めたいとの見方から低リスクの円買いが優勢となる中、105.81まで下落。
NY:共和党上院トップのマコネル院内総務が「大統領選前に追加経済対策の合意はできないだろう」
との認識を示したことで、低リスクの円買いが進み105.59まで下落。
NY終値105.61。一部の新興国や資源国通貨に対してドルが売られたことも、ドル円下落の要因。
NY終値105.61。
Ⅱ.長期相場分析(週足チャートをご参照下さい)
2017年のドル最高値は114.73(11月6日)、そして2018年の同最高値も114.55(10月4日)に止まり、115円が超長期のドルの抵抗水準になっている。2月17日週にトランプラリーの最高値118.66(2016年12月)近辺を起点とする抵抗線を抜き、昨年の最高値112.40に迫ったが、高値は112.23に止まった。
ここ数年の高値圏である114円台では上値が重たいという値覚えがあるため、112円台を超えての積極的なドル買いは見られず、長期的に112円台前半が強い抵抗水準との認識が生まれた。
3月下旬に年初来高値112.23(2月20日)を試したが、結果は111.71(3月24日高値)止まりと、
111円台後半でもドルの上値の重さが確認されている。111.71を付けて以降、下降チャンネルの中で推移しており、ドルの軟調地合いが継続している。
ドルの上値が切り下がる展開が続く中、9月には7月の安値104.20を下回る104円丁度まで下落しているため、年末に向けては大きな節目の100円を目指す可能性もあるか。
**中期予測レンジ:101.00~111.00
**上値メド水準
110.00(サイコロジカル)
112.23(年初来高値)~112.40(2019年最高値)
114.55(2018年10月4日高値)
114.73(201711月6日高値)
115.00(2017年11月以降の展開で意識された強い心理的水準)
**下値メド水準
104.00(9月21日安値)
101.18(3月9日安値)
100.00(サイコロジカル)
99.00(2016年安値)
Ⅲ.今週のドル円相場テクニカル分析
○前回予測のポイント
- 複数のドルの弱気要因が106円台後半に集中している。
- 106円台前半には一目の雲の上限(今週中は106.17)の存在もあるため、相場が上に放れる可能性は相当に小さい。
- 前の週の高値は105.80と雲の下限(前週末105.82)に上値を完璧に抑えられた一方で、
25日MAも抵抗線化しつつあるため、ドルに対するセンチメントが弱気に傾いている。 - チャートポイントの104.90を割り込む様であれば、104円台前半、さらには103円台後半もありえる。
- 104.85~90を攻め切れない場合は、ショートカットから反発する可能性も。
予測レンジ:103.70~106.20
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○前週の相場に思う
結局は、どちらサイドにも大きく振れる展開とはならず。週半ばには前週の高値105.80を上抜いて106.11まで上昇したが、一目の雲の上限(前週を通して106.17)に抑え込まれた形で伸び切れず、週末には105.58まで反落した。結局は行って来いの相場で、一週間を終えた。
今週のための大きな手掛かりは得られなかったが、やはりドルの上値が重たいことが改めて確認できた点が収穫と言えば収穫か。前週指摘した様に、106円台後半には長期抵抗線TR1や100日MAなど複数のドルの上値を抑える要因があるため、106円台前半から有象無象の売りが出やすい様だ。言い換えれば、106円台でドルを買っても旨味がないということだ。
他方、ドルにもやや明るい材料があるのも見逃せない。一時的だったもののスポット終値が一目の雲の中に入り込み、転換線が基準線を上に抜いたため、三役逆転が解消されている。
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以下ではドルの強弱要因を指摘した上で、上で述べた点を軸に今週の予測をまとめた。
ドルの弱気要因
- 111.71(3月24日高値)と109.85(6月5日高値)とを結んで引ける抵抗線TR1(日足チャート)が前週末に106.70前後へと下降してきた。
- (1)との関連で抵抗線TR1と下方に平行に引くことのできるTR2とで下降チャンネルTR1-TR2が形成されている。
上値メドであるTR1を上抜くまで、トレンドは下向き。 - 25日MA(前週末105.55)・100日MA(同106.51)・200日MA(同107.47)の関係において、順番に期間の短い線が長い線とデッドクロスしている。
・・・25日MAと100日MAとのデッドクロスの関係が根強く続いている。 - 4月以降(除く6月初旬の約1週間)では完全に100日MAが抵抗線として機能している。
- 106円台後半に複数のテクニカル・ポイントが集中。
チャートポイントの106.94(8月28)と同水準が「111.71→104.00」の38.2%戻しに当たる。
前述TR1が106.70前後にあり、そして100日MA(前週末106.51)がその直下に位置する。 - 前週の高値は106.11だが、雲の上限(前週末106.17)によって抑え込まれた形となった。
- 前週の週ローソク足は上髭の長いコマ線となった。
ドルの強気要因
- 9月21日に104.00を付けたものの、104円を割り込んでいないため、改めて104円台ではドルが底堅を示した格好となっている。
・・・2018年以降では、104円を割り込んでいない(3月のフラッシュクラッシュ相場は考慮していない)。 - 三役逆転が解消された。
- (2)との関連で、上昇しながら転換線(前週末105.52)が基準線(同105.25)の上に出た。
- スポットが25日MA(前週末105.55)とゴールデンクロスしている。
以上の強弱要因に照らして、以下の様に今週の予測をまとめた。
今週のまとめ
ドルの弱気要因(5)で述べた様に、複数のテクニカル・ポイントが106円台後半に集中している。
前週の高値は106.11と、上値が一目の雲の上限(今週中は106.17)によって抑え込まれた格好となった。長期抵抗線TR1(前週末106.70前後)によって作られている下降トレンドが継続している中、今週も106円台前半で上値が重たい展開が続くとみる。
転換線が基準線を上抜いていることやスポットが25日MAを上抜いているため、短期的には強そうに見えるが、106円台前半で上値は限定されよう。一目の雲が週の半ばに106円前後で捻じれ、薄くなる点には注意が必要だ。ドルが上昇するとすれば、この局面と見る。
直近最安値104.00を起点とする暫定支持線TSを引くことも可能だが、これが機能する様であれば、雲の上に出る可能性もあり得るか。逆にTSが下抜ける様であれば、105円割れもあり得よう。
予測レンジ:104.00~106.50
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Ⅳ.チャートポイント
**レジスタンス
106円前後(今週半ば以降の雲)
106.11~106.17(10月7・8日の高値、前週末雲の上限)
*106.51(前週末100日MA)
**106.70前後(前週末のトレンド線TR1)
106.94[8月28日の高値、(38.2%戻し、111.71→104.00)]
*107.05(8月13日の高値)
107.54(前週末200日MA)
107.85(50%戻し、111.71→104.00)
*108.16(7月1日高値)
108.76(61.8%戻し、111.71→104.00)
109.85(6月5日高値)
110.00(心理的節目)
**サポート
105.35(10月5日安値)
104.90~94(9月23日安値、10月2日安値)
104.00(9月21日安値)
103.67[76.4%戻し、101.18(3月9日)→111.71(3月24日)]
102.65前後~102.40前後(今週中のTR2)
**101.18(フラッシュクラッシュ時3月9日の安値)
Ⅴ.今週のポイントとストラテジー・アイディア
●今週の注目材料
*米国
・FRB関連
14日:クラリダFRB副議長講演予定(?)
・経済統計
13日:9月CPI
14日:9月PPI
15日:10月ニューヨーク連銀製造業景況指数
10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
16日:9月鉱工業生産
9月設備稼働率
9月小売売上高
10月ミシガン大学消費者態度指数
・他
過去最悪となる米財政赤字と米国債格下げ懸念(ドル売り)。
*日本
・学術会議関連の紛糾
*ユーロ圏
13日:10月ZEW景況指数
14日:ラガルドECB総裁発言
15日:EU首脳会談(~16日) ブレグジット関連
16日:9月ユーロ圏HICP
*G20財務相・中央銀行総裁会議
●今週のストラテジー
*基本ストラテジー:下降トレンドが継続しているため、依然として基本ストラテジーはドルの戻り売りに置く。
推奨水準:106円前後~106円半ばでの戻り売り
・理由
- 106円台後半に複数のテクニカル・ポイントが集中。
111.71(3月24日高値)を起点とする抵抗線TR1が106.70前後まで降りてきた一方で、
強い抵抗線の100日MAが前週末に106円半ばまで降下してきた。
その上には、重要なチャートポイントである106.94(8月24日高値)とフィボナッチ水準の
[8月28日の高値、(38.2%戻し、111.71→104.00)]の存在がある。
これらの存在を考慮すると、その手前の「106円台前半」は売りが集中しやすい。 - 直近最安値104.00からの暫定支持線TS(日足チャート)が機能する中、転換線が基準線を上回っている。
また106円前後で雲に捻じれが生じ薄くなるため、再び106円台に乗る可能性がある。しかしながら、上値は106円半ばで限定されると見られ、その局面が売り場になるか。
もっとも、前週に106.11で2回上値を止められているため、106円台に乗れない可能性がある。従って、短めにSLを入れながら打診的に日計りディールとして105.80前後からの売りも一手か。
注)利食い・損切りは個人のトレーディング・スタイルやトレーディング・スパンが異なるため、特に推奨水準はありません。
コメントや推奨水準は単なる筆者の分析結果であり、その水準での取引を勧めるものではありません。
投資の最終判断は自己責任で行ってください。
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