国際法を無視したアメリカと追い詰められる欧州

年明け早々、アメリカがベネズエラ・カラカスを空爆。マドゥロ大統領を拘束しアメリカに連行し、アメリカの裁判所で裁判を行うことに決定しました。
あまりにも常識の枠から外れた動きが続き世界中が驚きを隠せませんが、トランプ大統領はさらに『グリーンランドの併合(Annexation)』についても発言しました。
この併合提案は、トランプ政権1期目から続いている持続的な関心事ではありますが、ベネズエラの翌日での発言であっただけに、一気に緊張感が高まりました。
アメリカの野望と国際法
結論から申し上げますと、現在の国際法において、相手国の合意なしに一方的に併合することは極めて困難かつ現実的ではありません。
しかし、同じく国際法ではあり得ないことがベネズエラで起きたので、デンマークをはじめとするヨーロッパ各国は対応に必死です。
グリーンランドの立場
グリーンランドはデンマーク王国の自治領です。
デンマーク政府およびグリーンランド自治政府は、過去にこの提案が出た際、「グリーンランドは売り物ではない」とはっきり拒絶しており、今回も何度も繰り返しデンマークのフレデリクセン首相が「アメリカにはデンマーク王国の領土を併合する権利はない。」と強く拒否しています。
手続き上のハードル
もしグリーンランド併合を実現させるのであれば、以下のプロセスが必要になります
デンマークが領土を手放すことに同意し、売却条約を結ぶ
↓
現代の国際社会では住民自決の原則が重視されるため、グリーンランド住民の住民投票などで賛成を得る必要がある(現時点では、国民の6%が併合に賛成)
トランプ大統領のこだわりの理由
グリーンランド併合はトランプ大統領の単なる思いつきではなく、数多くの戦略的メリットがあるためだと言われています。
具体的には、
・軍事的価値
北極圏の監視に不可欠な「チューレ空軍基地(現ピトゥフィク宇宙軍基地)」が存在する点
・資源
希少金属(レアアース)や石油・ガス資源が豊富に眠っている。
・対中・対露牽制
北極海航路の重要性が増す中、中国やロシアの進出を阻止する狙いがある。
過去の例
アメリカが他国から領土を買収した前例は、あります。
1867年に、ロシアからアラスカを買収。
1917年に、デンマークからバージン諸島を買収。
ただし、これらの買収は「国家間の合意」に基づいたものであり、今回のように民主主義国家の領土をその意思に反して併合する事は、国際的な反発が避けられない極めて異例な事態となります。
なぜ今回は事態が深刻化しているのか
今回のトランプ大統領の発言が、1期目の時より深刻に受け止められているのは、いくつかの理由がありそうです。
・「ベネズエラ方式」への恐怖
アメリカ軍がマドゥロ大統領を拘束し、ベネズエラを実質的に管理下に置いた直後であるため、「次は力づくでグリーンランドか?」という疑念が国際社会に広がっています。
・「SOON(まもなく)」という投稿
トランプ大統領補佐官の妻であるケイティ・ミラー氏が、グリーンランドを星条旗で覆った画像に「SOON」と添えて投稿したことが、デンマーク側を激怒させました。
彼女のTweet(Xでの投稿)は、以下の通りです。

出典:トランプ大統領補佐官の妻ケイティ・ミラー氏の公式アカウント
https://x.com/KatieMiller/status/2007541679293944266
・NATO加盟国への脅威
デンマークはNATOの創設メンバーです。もしアメリカが力ずくで軍事的な圧力をかければ、「NATO加盟国が別の加盟国から攻撃を受ける」という、同盟の根幹を揺るがす異常事態になります。
・集団防衛の矛盾
上の続きですが、「NATO第5条(加盟国への攻撃は全加盟国への攻撃とみなす)」がアメリカ自身に対して発動されるという矛盾が生じかねません。
・アメリカのEUとの決裂
デンマークを支持するEU諸国とアメリカとの間で、経済・軍事の両面で深刻な亀裂が生じ、最悪の場合は戦争や、NATOの崩壊につながるリスクを孕んでいます。
ドイツとフランスは「主権の不可侵性」を盾に真っ向から反対しており、ショルツ独首相は「国境は力で動かせるものではない」と演説し、仏外相も「EUの国境への攻撃は許さない」と連帯を強調しました。
他の欧州各国も、これを「法の支配の終焉」と見て極めて強い警戒感を示しています。
アメリカ国民の反応
今回のグリーンランド併合計画に対し、アメリカでは特に米軍によるベネズエラ介入が「前例」として意識されており、さまざまな反応が出ています。
MAGA層(支持派)にとっては、「次はグリーンランドだ!」と支持者たちが熱狂している様子でした。「ベネズエラを数日で制圧できたのだから、グリーンランドも可能だ」という強気な声が目立ちます。
そして、・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2026/1/6の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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