FXでショートから取引するには?エントリーのタイミングをつかもう!
また、「ショートが苦手」「エントリータイミングがわからない」という人向けに、おすすめのチャートパターンも紹介しているので、ぜひトレードに活用してみてください。
今回のポイント
- FXのショートとは、通貨を売った、または売ること
- ショートから取引することで下落相場でも稼げる
- チャートパターンがわかれば、ショートエントリーのタイミングが見つかる
FXのショートとは?ショートとロングの意味
FXには専門用語がいろいろありますが、「ショート」「ロング」もその一つです。ここでは、用語の意味や、なぜそう呼ばれるのかなどを紹介します。
ショートは「売り」
FXで「ショート」と言うとき、通貨を売った、また売ることを意味します。「米ドル/円を100円でショートした」いうのは、「米ドル/円を100円で売った」という意味です。より詳しく言えば、「米ドルを1ドル100円で売って円を買った」ということです。FXでは通貨ペアで取引するので、このような関係が成り立ちます。
売ることをショートと呼ぶようになったのは、株の信用取引が由来と言われています。株は基本的に買って価値が上がるのを待つ投資です。急に企業価値が上がることは滅多にないので、長期間保有することも多いでしょう。
一方、プロが信用売りを行う場合、リスクヘッジや他のポジションとの兼ね合いで一時的に活用するのが一般的です。返済期日もあるので、ルール上長期間保有できない事情もあります。そのため、「売りポジションは期間が短い=ショート」という意味になったといわれています。
ロングは「買い」
ロングはショートの逆で、「買い」のポジションを持つことを言います。ロングも株取引で使われていた言葉で、買った株を長期間保有することで利益を狙うことから「買いポジションは期間が長い=ロング」と呼ばれるようになりました。
ロングは価格が上がりそうなときに買い、高くなったときに売ることで利益を得られるため、現物株取引などをしていた人でも理解しやすいのではないでしょうか。
FXではショートから取引を始められることがメリット
FXはショートから取引を始める(新規でショートポジションを取る)ことで、下落相場のときでも利益を得られる可能性があります。仮に1ドル110円のときに売って、1ドル100円で買い戻せば10円の利益が出せるのです。
一方、外貨預金の場合、基本的に外国の通貨を買うことで利益を狙うため、相場が下落しているときは価値が下がってしまいます。外貨建て債券や外貨MMFなども、すべて外貨を買う(ロング)ことから取引がスタートするので、円安・外貨高にならないと利益は出せません。
こまめに利益確定することでロングでも稼げますがが、やはり取引しにくいといえるでしょう。
FXでショートから取引を始めるデメリットとは?
FXでショートから取引を始めるにはデメリットもあります。ここでは、心理面やエントリータイミングのデメリットを紹介します。
ショートから取引する感覚がつかみづらい
「価値が下がってほしいと思うことに抵抗がある」という人がいます。確かに、企業や日本経済を応援する気持ちを持ちやすい現物株のロングと違う面はあるでしょう。しかし、例えばドルを売ることが円を買うことだと考えれば、あまり抵抗もなくなるのではないでしょうか。FXで稼ぐにはロングだけでなくショートもしたほうが有利です。
「スワップポイントの支払いが発生するからリスクが高い」と考える人もいます。円は世界最低水準の金利なので、米ドル/円やユーロ/円など、ほとんどの外貨をショートから取引するとマイナスのスワップポイントが発生します。そのため、実質的にコストが発生するのも確かです。
しかし、ショートする場合、スワップポイントの支払いは必要経費と考えましょう。金利差が大きな通貨ペアを選ばなければ、為替差益に比べると、支払うスワップポイントは高額ではありません。利益確定と損切りの計画を立ててポジションの保有期間を決めておけば、大きな負担になることはないでしょう。
エントリーのタイミングが難しい
「売りは早かれ 買いは遅かれ」という相場格言があります。「相場では、上昇よりも下落のほうが急な値動きになりやすく、ショートできる期間は短い」という意味です。
実際、エントリーのタイミングがつかみづらいと感じる人も多くいます。ショートでエントリーする際は、相場の急激な変動に備えて、利益確定や損切りのタイミングを決めておくことが大切です。
下落は災害や要人の発言などがもとになることも多く、将来への期待でジリジリと上昇するのと違い、一気に売りが殺到する場合もあります。「ナイアガラのように下がる可能性はいつでもある」くらいの気持ちで、損切注文は常に入れておきましょう。
ショートからエントリーして利益を出す仕組み
FX取引は、外貨預金のように実際に通貨を交換するようなことはありません。イメージしていただくとすれば、単なる差金決済を考えてください。
差額が収益か損失となりますから、最初のエントリーは買いでも売りでもどちらもよく、後者のことを、ポジションをショートにすると呼んでいます。ここからドルの価値が下がると思って1ドル110円の時にショートにして、100円に下がった時点で決済(買い戻す)すると、差額の10円分が収益となります。
ショートから取引を始めるときのポイント
これから上昇しそうな通貨を買うのと同じく、ここから下落すると考えればその通貨ショートにしていきます。特に難しいことはなく、相場は上か下しかありませんから、扱いは同じです。ショートを作る場合は、以下に点に注意して進めていきます。
価格が下がりそうな通貨を選ぶ
ショートから取引する場合は、ここから価格が下落しそうな通貨を売ることになります。単純に買われ過ぎからの反落や、投資家の人気や不人気からも、通貨は下落をみせることがあります。
通常、高金利の通貨が買われる一方で、金利の低い通貨は敬遠され、下落歩調をたどることがあります。さらに、経常赤字国通貨は、黙っていてもその国からお金が流失するだけなので、長期でみた場合、通貨安になりやすいといえます。通貨安になる理由は1つではありませんから、取引前に広く情報収集することが必須になります。
ショートからの取引に有利なFX会社を選ぶ
ポジションを建てる場合、まず重要になるのは、取引通貨のスプレッドで、これが小さい方が余計なコストを払わずに済みます。時として、ショートにすることで、スワップ金利を支払うことになります。FX会社によって、提示するスワップ金利は異なりますので、事前に調べておくこと必要になります。
初心者の間は、ショートにするという感覚に不慣れなため、どうしても練習が必要になります。こうした時に、練習の土台となるのが、多くのFX会社が提供しているデモ口座です。こうしたデモトレードを広く活用することで、実際に資金を投じることなく、本番さながらの取引体験を積むことができます。取引のアプリやチャートシステムも同時に学ぶことができて、一石二鳥です。
ショートでエントリーするタイミングを見極めるには?
ここでは、ショートのタイミングを見極めるための基本的な考え方を紹介します。ただし、これだけ知っておけばFXで稼げるようになるわけではありません。複数の要素から判断することが重要です。
価格がサポートラインを下に抜けたとき
上昇トレンドでは、上向きのトレンドラインがサポートラインとなって下値を支える状態になっています。為替レートがサポートラインを割り込み下落したときが、下落トレンドへの転換のサインです。もし、重要な抵抗帯にはね返されてサポートラインを割ったなら、この時点で強気でショートするのも一案です。
エントリー後、思惑どおり下落トレンドに入ると、価格が上値を切り下げながら下落し、下向きのトレンドラインがレジスタンスラインとなって頭を押さえる形で下落していきます。もし、このレジスタンスラインを突破してきたら、利益確定または損切りのタイミングです。場合によっては、ロングの新規エントリーも検討しましょう。
ただし、いつもサポートライン抜けでエントリーしていては、お金がいくらあっても足りません。トレンドラインを少し下抜けてから再上昇するのは、よくあることだからです。上昇トレンドが終了するのは直近安値を割ったときであり、トレンドラインを明確に割ったとしても、再上昇する確率はかなりあります。そのため、以下のようなエントリーポイントを選ぶのもよい方法です。
1.高値を切り下げてサポートラインを割った、またはサポートラインを割って高値を切り下げたタイミングでショート。
まだ、上昇トレンドは継続中ですが、高値を切り下げているぶん、下落トレンド転換の確率は高いといえます。
2.サポートラインを割って直近安値を割ったタイミングでショート
下落トレンド転換確定でエントリーする方法です。ただし「最高値を更新した起点となった安値(ラスト押し、などと呼ばれます)を割ったところが下落トレンド転換確定である」とする考え方もあります。
3.サポートラインを割って直近安値を割った後の戻し(一時的な上昇、プルバック)からのショート
タイミングとしては遅くなりますが、下への流れが出た後なので勝率は高くなります。
デッドクロスが出現したとき
FX投資初心者のうちは「トレンドラインが引けない」「高値・安値(ジグザグ)がわからない」ということも多いでしょう。そのような人は「デットクロス」のタイミングでエントリーしてはどうでしょうか。
デッドクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を下に抜けることをいいます(※上に抜けるのはゴールデンクロス)。上昇トレンドから下落トレンドへ転換するサインとしてショートのタイミングを計るときに使えます。
下の図では黄色丸あたりがエントリーポイントです。厳密にルールを作るなら、デットクロス確定後の次のローソク足などと決めておきましょう。
移動平均線の組み合わせは、25本と75本や20本と100本のように差を大きくする人もいますし、20本と25本のように差を小さくする人もいます。どの本数・組み合わせがいいということはないので、使いやすいものを選びましょう。
ただし、どれを使ってもデットクロス後がだましのシグナルになってしまうことはあります。損切りラインを決めておくことが重要です。
ヘッドアンドショルダーズが現れたとき
ヘッドアンドショルダーとは、上昇を続けた相場が高値で3つの山をつけて下落に転じることです。3つの山と2つの谷を持つチャート形状から、日本の相場用語では「三尊」や「三尊天井」と呼びます。ちなみに、ヘッドアンドショルダーを上下逆にしたのが、ヘッドアンドショルダーズボトムです。
売りのタイミングは、2つの谷を結んでできるネックラインを割れたタイミングです。わかりやすいエントリーポイントは2つ目の谷の安値割れです。このポイントは、トレンドラインを使ったエントリーポイントのところで下落トレンド転換確定のポイントとも一致します。つまり、3回も上を試して(トリプルトップで)失敗し、高値を切り下げて下落転換したのが、ヘッドアンドショルダーズです。
三角保ち合いがブレークしたとき
三角保ち合いとは、高値と安値を結んだトレンドラインが三角型に収束していくことをいいます。基本的には上に抜ければロング、下に抜ければショートのエントリータイミングです。
三角持ち合いには、形状の違いによってシンメトリカル(対象)トライアングル(ペナント)、アセンディング(上昇)トライアングル、ディセンディング(下降)トライアングルの3種類があります。
このうち、下降トレンドの継続の可能性が高いのは、ディセンディング(下降)トライアングルです。なぜなら、下への勢いが強く高値を切り下げ安値に張り付いている状況になっていることを示しているからです。エントリーポイントは、安値を結んだサポートラインを割ったときになります。
下降トレンドで一時的に相場が上昇したとき
ショートエントリーの基本中の基本といえるのが「戻り売り」です。戻りとは下落トレンドが続いているなかで、一時的に相場が上昇したときのことで、ここが絶好のショートのタイミングです。
2本の移動平均線を使った、投資初心者でもわかりやすい戻り売りのエントリーポイントを紹介します。まず、短期移動平均線と長期移動平均線の2本チャートに表示します。一般的には25本と75本、または20本と100本のように、短期に対して長期を3~5倍にするのがおすすめです。
ショートをする場合、先に説明したデットクロスを待ちます。次に下落に対して短期移動平均線付近まで戻りが発生するのを待ってショートしましょう。
ただし、タッチしただけでショートするのはリスクが高すぎます。実際のチャートを見れば分かるように、突き抜けてしまうことはよくあるからです。そのため、何らかのトリガーを待ち、再下落を開始したと考えられるタイミングでエントリーしましょう。
例えば、短期移動平均線付近までレートが上昇したら短いチャートに切り替えて、トレンドライン割れやデットクロス、ヘッドアンドショルダーなどでエントリータイミングを計る方法があります。
この戦略の優位点は、長期トレンド方向に沿っていて、なおかつトレンドが加速するときにエントリーポイントが出現しやすいことです。
FXでショートからエントリーする場合の注意点
ショートからエントリーする場合には、ロングとは異なり、少し注意する点があります。以下に盲点となりやすそうな項目を複数取り上げますので、しっかり確認しておきましょう。
スワップポイントに注意する
新興国通貨を筆頭とする比較的金利の高い通貨群をショートにすることで、マイナスのスワップ金利の支払いが生じる場合があります。特に高金利通貨を売って、それよりも低い金利の通貨を買う場合は、確実にマイナスのスワップ金利を支払います。
日本円は、金利水準自体が低いため、ドル円やクロス円をショートにした場合、ほぼマイナスのスワップ金利が発生します。デイトレなどの短期決戦なら問題ありませんが、数日から数週間などポジションを持つ場合は、注意が必要となります。
為替の値動きに注意する
通貨により、独特な値動きの特徴があり、事前にデモ口座などでその特徴を把握しておく必要があります。ドル円、ユーロドルなどは、市場参加者も多く、市場の流動性も潤沢なため、取引しやすいという側面があります。
一方で、主要通貨のなかでも英ポンド、NZドルなどは、流動性がやや落ちることで、値動きが大きくなる特徴があります。さらに、南アランド、トルコリラなどの新興国通貨は市場参加者も少なく、特にアジア時間などはスプレッドも拡大します。予期せぬ相場の急変などから、損失が急拡大しないように、普段から逆指値の注文などを出しておくことが重要になります。
FXではショートとロング、どっちが有利?
株式市場、為替市場などの金融市場では、相場の変動は、通常は上昇はゆっくり、下落は速いといった特徴があります。ロングでエントリーした場合は、相場の上昇に時間がかかり、いらいらすることもあります。つまり、利益の確定までにかなりの時間を要する場合がほとんどです。
一方で、ショートでエントリーした場合は、あっという間に下げが加速して、利益が乗るといった場面に遭遇することがあります。ただ、利益確定の判断を瞬時に下す必要もあり、中上級者向けの戦略といえるかもしれません。
自分の経験や、相場観を反映することで柔軟に対処すればよいですが、慣れてきたら、相場の急変時にはショートポジションを堂々と張る位の大胆さも必要になってきます。
FXではショートから取引を始めても利益を狙える!
FXではショートから取引を始めることで、相場が下落傾向のときでも利益を狙えます。ショートエントリーのメリットやデメリットを知ったうえで、エントリータイミングを見つけられるようになりましょう。
トレンドラインや移動平均線、チャートパターンなど相場の仕組みを基本から学び、必要に応じて好みのテクニカル指標を加えることで、ロングでもショートでも収益率が向上するはずです。