米政府閉鎖の可能性と市場への影響

過去のデータによれば、閉鎖発表直後に市場の変動性(ボラティリティ)が高まる傾向があり、とりわけ株式市場の一部のセクターが売り圧力の影響を強く受けます。ただし全体的な影響は、閉鎖の予想期間や当時の経済環境に大きく左右されます。
米政府閉鎖とは?
社会保障、メディケア、安全保障関連への支出など「義務的」支出は年次の歳出プロセスに含まれないため、通常は滞りなく継続されますが、連邦支出の約26%にあたる「裁量的」支出が影響を受けます。このような資金が確保されていない連邦機関は、非必須機能を停止しなければならず、「非必須」の職員は一時解雇され、閉鎖終了後に未払い分の給与を受け取ります。
FX市場への影響
2つのリスクが考えられるでしょう。
経済指標の発表が遅れるリスク
2013年の16日間にわたる政府機関閉鎖の後、雇用統計や消費者物価指数(CPI)などのデータ公表が約2週間遅れました。データの収集、処理、公表の遅れは、翌月まで及んでいます。
今回の場合、10月3日に9月雇用統計、10月15日に9月CPIレポートが発表される予定です。それらが影響を受けるかもしれません。
ドル売りのリスク
閉鎖発表直後には政治的不確実性と米国政府への信認が揺らぎ、ドルが弱含む傾向があります。外国為替市場では、海外投資家がドル資産のエクスポージャーを見直し、通貨リスクをヘッジする動きが活発化することも見られるでしょう。
しかし、ドルの基軸通貨としての地位や米国経済の基礎的な強さにより、下落が長期化することは少ないのが一般的であり、むしろ世界経済に不透明感が高まる局面では、国内の政治混乱があっても、安全資産として逆にドルが買われることもありました。
政府閉鎖中の市場の歴史的パフォーマンス
1976年以来、米国ではさまざまな長さの政府閉鎖が22回発生しました。代表的株価指数であるS&P500の動きは一貫していないものの、多くの場合、閉鎖そのものよりも基調となる経済状況に左右されます。
1週間未満の短期閉鎖は、持続的な市場への影響はごくわずかです。例えば1995〜96年の閉鎖(それぞれ5日間と21日間)は当初こそ売りを誘いましたが、政治的合意が成立すると市場は速やかに回復しました。
歴史上最長となったのは2018年12月~2019年1月にかけて35日間続いた閉鎖です。このときS&P500は一時下落したものの、最終的には期間全体でプラスのリターンを記録。つまり市場は一時的な政治的混乱を超えて、最終的には経済の基礎的要因に注目する傾向があることを示していると言えるでしょう。
また、変動性は通常、閉鎖初期の数日間にピークを迎える傾向もあります。これは、アルゴリズム取引やモメンタムに基づく戦略が初動を増幅させるためでしょう。経験豊富なトレーダーは、この局面を長期的リスクというより戦術的なチャンスと捉えることが多いことも特徴的と言えます。
債務上限問題と同時進行ではない点
今回の政府機関閉鎖問題は債務上限とは無関係であることに、注意が必要です。
債務限度は、7月に共和党が可決した「One Big Beautiful Bill」により5兆ドル引き上げられたので、閉鎖しても政府が借入能力を使い果たすことはなく、財務省証券の発行にも影響はありません。そういう背景があるので、今回はマーケットの反応も比較的落ち着いたものになる可能性が高いでしょう。
つまり・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2025/9/30の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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