AI・機械学習でマインドセットがわかる

AIからマインドセットがわかる
元々、AIは人間の脳をベースに再現するように作られています。
従って、逆の発想でAI、機械学習の考え方を人間に当てはめると様々なことがわかります。
多くの分野でマインドセットが大事、と言われていますがマインドセットとは何か、というテーマは実に曖昧なものでした。
それは、人の精神や思考に関するものでしたが、機械学習というフィルターを通すことで、マインドセットに関することも、より一層言語化できることがわかりました。
ここで記したことは、ほとんどのAIの書籍やWEBに載っている機械学習の基本ばかりです。
ただし、人間に当てはめて考えてみる、という発想があまりこれまでは無かったようですが、今後大きなトレンドの一つになると思っています。
基本の学習3種類
まず、AI、つまり機械学習とは何かを簡単に説明したいと思います。
機械学習には3種類あります。
①教師あり学習
②教師なし学習
③強化学習
どのAIも基本的にはこの三つの学習の組み合わせからなっています。
それぞれの特徴と人間に当てはめた場合をそれぞれ紹介していきます。
①教師あり学習「模倣」
人間でいう模倣に近い学習、教師や教科書から学ぶ・教わるという学習方法
上手いやり方や、成功事例を学ぶ、正しい事例を参照する
AIが最も得意とする学習
画像認識などによく使われる
学習の中で最もコスパが良い
人間に当てはめると
受験勉強の世界観
暗記、受験勉強で参考書を読む、優秀な人のノートをもらう、合格者のやり方を真似るなど受験勉強や資格取得勉強は典型的な「教師あり学習」になります。
学歴主義や専門家の世界観
教師が間違えると大変なことになるため、相手先が信用できるのかが重要になります。
学歴が高い、専門家の言うことが正しい、という世界観は教師あり学習の世界観です。
また、同じようにマスコミや政府といった、より信頼度が高いようなものを無条件に信頼することもこれに当てはまります。
前例主義の世界観
基本的に模倣なので、模倣するものがない、つまり前例のないものに対して弱いのが教師あり学習の特徴です。
前例があるものには強いが、前例がないと動けないような思考は教師あり学習的な世界観です。
②教師なし学習「感覚」
人間でいう概念や感覚的な理解に近い。
反射的な色や形の判断
最も基礎的な単語や雑多な情報取得
パターン認識によく使われる
人間がまだAIよりも優れている学習
人間に当てはめると
日常的な使用
例えば、我々が普段目の前を車が通ったり、自転車が通ったりしますが、一つ一つこれは車だ、自転車だ、などと考えて判断せず、感覚的に理解判別していると思います。
教師なし学習はそうした感覚的な判別をしています。
感覚的な世界観
概念的で、感覚的なものなので、言語化能力がないと他人に伝えにくいです。
例えば、プロ野球選手の長嶋茂雄氏が会得したホームランの打ち方を次のように伝えていたのは教師なし学習の特徴といえます。
『球がスッと来たらグゥーッと構え、腰をガッとする。あとはバァッといってガーンと打つ』
③強化学習「思考」
人間でいう思考に最も近い
目的を定め最適解を探索行動、目標に向かって試行錯誤する
個別性が高いものに合っている
アテンションという関心・興味・注意的なものが必要
最近AIが優秀になってきた理由の一つ
人間に当てはめると
投資や起業の世界観
基本的に自分にしかできないこと、他とは違うことをするのに向いているので、時に起業家は強化学習的な思考をするはずです。
他にも結婚やアーティスト、プロスポーツなども強化学習と合っています。
自己認識の世界観
探索をするためには、スタートの情報が必要です。
これは人間に置き換えると、自分の強み弱み、好みや才能といったものにあたるので、自己分析や自己認識は強化学習的です。
基本的に三つの学習に優劣はなく、優秀なAIは満遍なくできることになります。
つまり、人間も三つの学習が満遍なくできることが望ましいですが、
日本の社会や教育は「教師あり学習」にかなり片寄っています。
三つの学習を比較する
更に学習の違いの特徴を理解しやすくするために、料理を作るときを一つの例に挙げたいと思います。
教師あり学習
「レシピを読んでその通りに作る料理」
⇒理屈理論はわからないけど、素人でもプロ並みの味になる
教師なし学習
「フィーリングで作る料理」
⇒美味しくなるかは才能次第
強化学習
「試行錯誤の料理」
⇒理解は進むが、時間も手間もかかる。また、理解が合っているかもわからない
如何に教師あり学習が便利でコストパフォーマンスが良いかわかります。
教師あり学習はこのように非常に便利であるため、世の中の多くの物事が教師あり学習が中心の世界観になっています。
機械学習からわかるマインドセット
マインドセットの特徴のいくつかを機械学習を用いて説明したいと思います。
否定が多い
教師あり学習が強い場合、前例がないもの、自分の信用信頼と違う情報が来ると反射的に否定したくなるはずです。
対照的に強化学習の思考であれば、「やってみないとわからない」という反応になるはずです。
思考停止
そもそも思考とは何かがこれまでは曖昧でした。
思考とは強化学習のことを指す場合、多くの日本人のこれまでの慣行、つまり受験勉強や、企業や組織に入って言われたことだけをやっている状態では、全く強化学習を経験できていない、つまり思考経験が弱いことになります。
前提の問題
ロボット三原則同様、人間も何かを判断する時に前提を持っていると思います。
例えば、人は生来善である、という性善説と反対の性悪説では、出力される結果が異なるはずです。ここは学習というより、初期設定、初期プログラム的なところですが、ここに間違ったマインドセットの本質があると思います。
AIから人間を知る
世の中の多くの問題の本質は、人間が未知であることにあります。
人間を元にして作られたAIを知ることで、逆に人間を知ることに繋がります。
人間をより深く知ることが、多くの問題を本質的に解決するブレイクスルーとなるでしょう。
まとめ
機械学習から学ぶことは実に多いことがお分かりになったと思います。
今回は基本部分だけまとめましたが、次の3つの学習がピンと来なかったら読み返してください。
①教師あり学習
②教師なし学習
③強化学習
投資やビジネス分野でもここから学ぶことが多いので、今後の記事もご期待ください。
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