中長期相場はチャンネルTR1-TR2の中で下降トレンドを継続
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Ⅰ.早読み先週のドル円相場(寄り付きは東京午前9時の気配値、NY終値は現地午後5時の気配値)
週初14日:寄り付き106.15。
東京:仲値に向けて堅調に推移するも、106.17止まり。
菅官房長官が自民新総裁となるも、事前の予測通りで材料視されなかった。
NY:追加の景気対策が合意に至らない中、米金利が低下する動きとなり、105.55まで下落。NY終値105.74。
15日:寄り付き105.73。
東京:翌日のFOMCを控えて様子見となり、概ね105.60~70近辺での小幅レンジの動き。
NY:ドルの軟調地合いが継続する中、8月鉱工業生産指数が予想を下回ったことを受けて、105.30まで下落するも、米実需筋のドル買いが入り105円半ばへと反発。
NY終値105.45。
16日:寄り付き105.40。
東京:前日の流れを引き継ぐ形でドル売りが先行し、105.25まで下落するも、同水準近辺では値頃感からの買いで小戻し。
NY:FOMCでは2023年までは利上げなしとの見通しが明らかになる中、ドル売りが加速し、104.80まで下落。
ただ、その後はインフレ見通しが上方修正されたことを受けて105.14まで反発。
NY終値104.96。
17日:寄り付き105.04。
東京:FOMCで経済見通しが引き上げられたことを好感してのドル買いで105.18まで上昇するも、日経平均の下落や米金利の低下で104.90前後まで下落。
NY:新規失業保険申請件数が予想を上回ったことや8月住宅着工が予想を下回ったことから、104.53まで下落。
しかし、同水準近辺では値頃感からの買いが入る中、クロス円の上昇に連れてドル円は104.84まで反発。
NY終値104.73。
18日:寄り付き104.72。
東京:ショートカバーを中心に104.86を付けるも、FRBによるゼロ金利政策が長期化を
するとの見方から上値の重たい展開となり、104円半ばまで反落。
NY:米追加経済対策を巡る不透明感が続く中、下振れ懸念が強く、米株軟調・ドル軟調。NY終値104.56。
Ⅱ.長期相場分析(週足チャートをご参照下さい)
2017年のドル最高値は114.73(11月6日)、そして2018年の同最高値も114.55(10月4日)に止まり、115円が超長期のドルの抵抗水準になっている。
2月17日週にトランプラリーの最高値118.66(2016年12月)近辺を起点とする抵抗線を抜き、
昨年の最高値112.40に迫ったが、高値は112.23に止まった。
ここ数年の高値圏である114円台では上値が重たいという値覚えがあるため、
112円台を超えての積極的なドル買いは見られず、
長期的に112円台前半が強い抵抗水準との認識が生まれた。
3月下旬に年初来高値112.23(2月20日)を試したが、結果は111.71(3月24日高値)止まりと、
111円台後半でもドルの上値の重さが確認されている。
111.71を付けて以降、下降チャンネルの中で推移しており、ドルの軟調地合いが継続している。
足下では7月下旬以来の安値水準となる104円台前半まで下落しており、
年末に向けては大きな節目の100円を目指す展開もあり得るか。
**中期予測レンジ:101.00~111.00
**上値メド水準
110.00(サイコロジカル)
112.23(年初来高値)~112.40(2019年最高値)
114.55(2018年10月4日高値)
114.73(201711月6日高値)
115.00(2017年11月以降の展開で意識された強い心理的水準)
**下値メド水準
104.20(7月31日安値)
101.18(3月9日安値)
100.00(サイコロジカル)
99.00(2016年安値)
Ⅲ.今週のドル円相場テクニカル分析
前回予測のポイント
- 下降チャンネルTR1-TR2の中で相場は推移しているが、8月下旬以降ではセンターラインCL(前週末105.15近辺)の上で推移していることを考慮すると、105円台前半では有象無象のドル買いが入りやすい。
- 肝水準の105円を割り込むとすれば、105円台でのロングが投げさせられる展開になった場合と考えられる。
- 上値の肝である107円前後をブレイクするとすれば、106円台半ばからのショートが踏まれる展開となった場合であろう。
- 105円半ば~106円半ばを中心とした保ち合いが続くと見るが、冒頭の下降チャンネルTR1-TR2が機能しているため、
中期的にドルの下落リスクが強い状況が続いている。
予測レンジ:104.85~107.45
前週の印象
前週の週前半では105円台でドルが底堅さを見せたが、週半ばには105円を割り込んだ。
前週のまとめで指摘した様に、105円台でのロングの投げがこうした状況を生み出したと見られる。
週後半には一時、105円台に戻す局面も見られたが、逃げ遅れたロングのやれやれ売りなどの売りが上値を抑え込み、週末には104.26まで下落した。
その後は、チャートポイントの104.20(7月31日)を控えてのポジション調整のドル買いで104円台後半まで反発しているが、上値の重たいまま週末を迎えた。
今年はフラッシュクラッシュ時(3月9日)に付けた101.18を除けば、104円台まで下落したのは7月に次いで現局面は2回目となるが、104円を割り込む可能性が高まっている。
2018年以降では、104円台を割り込んでいないため、今週の展開は年末相場を見通す上でも重要である。
筆者が中長期の予測の軸に据えてきたTR1-TR2(日足チャート参照)の下降チャンネルが機能し続けているだけに、一段安の可能性が出てきた感がある。
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以下ではドルの強弱要因を指摘した上で、上で述べた点を軸に今週の予測をまとめた。
ドルの弱気要因
- 111.71(3月24日高値)と109.85(6月5日高値)とを結んで引ける抵抗線TR1(日足チャート)が
前週末に107円台30前後へと下降してきたため、一段とドルへのプレッシャーが強まりつつある。 - (1)との関連で抵抗線TR1と下方に平行に引くことのできるTR2とで下降チャンネルTR1-TR2が形成されている。
上値メドであるTR1を上抜くまで、トレンドは下向き。 - 25日MA(前週末105.85)・100日MA(同106.75)・200日MA(同107.75)の関係において、
順番に期間の短い線が長い線とデッドクロスしている。
・・・25日MAと100日MAとのデッドクロスの関係が根強く続いている。 - 4月以降(除く6月初旬の約1週間)では完全に100日MAが抵抗線として機能している。
- 200日MA(前週末107.75)がTR1(前週末107.30前後)の上にあるため、107円台半ばが強いドルの抵抗水準となっている。
- チャートポイント(107.01~05)と100日MA(前週末106.84)とがほぼ重なっている。
107.05を付けて以降の最高値は106.94(8月24日)ということを考慮すると、106円台後半ではドルの上値は重苦しい。 - 転換線(前週末105.32)<基準線(同105.65)・終値<雲の下限(同106.01)・遅行線<26日前の実勢相場となり、三役逆転に突入している。
ドルの強気要因
- 9月18日安値は104.26だが、下値が104.20(7月31日の安値)と2019年1月の安値104.10によって支持された格好。
・・・(3月のフラッシュクラッシュ相場は考慮していない) - (1)との関連では、2018年以降のドル下落局面(4回)での最安値はいずれも104円台止まりである。
・・・(3月のフラッシュクラッシュ相場は考慮していない)
この点、104円台で売っても、ショートが機能していないため、テクニカル・ポイントである
105.00直前で買戻しが入りやすいことを示している。 - 前週末の9日間RSIは25.20と、ドル売りが先行した場合はドル売り過熱感出るため、調整の反発が生じやすい。
- (3)との関連で、104円を割り込むと、25日MAとの乖離率が2%超となり、
ドル売りに過熱感が生じるため、調整から反発しやすくなる。
以上の強弱要因に照らして、以下の様に今週の予測をまとめた。
*******今週のまとめ*******
中長期相場はチャンネルTR1-TR2の中で、下降トレンドを継続している。
こうした中、前週の安値は104.26と7月31日に付けた104.20の直前で止まった。
もっとも、そこからの戻り高値は104.63と、依然として反発力に欠ける。
既に相場はTR1-TR2のセンターラインCL(前週末105円前後)を下回っているため、目先は上値の重たい展開が続こう。
一目関連では既に三役逆転が出現しているこもとあり、ドルの地合いは相当に悪化しつつある。
ただし、上のドルの強気材料でも述べた様に、ドル売り先行となった場合は過熱感が生じるため、このまま値幅・時間調整を経ないで104円を試す様であれば、105円台へと反発する可能性が高い。
もっとも、ドル下落は相場が若いこともあり、105円台に戻す以前に104.20~104.00を試す可能性もある。
テクニカルポイントとして、101.18(3月9日)→111.71(3月24日)の76.4%戻しに当たる103.67が存在するが、
それ程強いサポートではないため、地滑り的に102円台半ばまでの下落もありえるか。
予測レンジ:102.50~106.00
Ⅳ.チャートポイント
**レジスタンス
105.00前後?(TR1-TR2のセンターラインCL)
105.85(前週末25日MA)
106.00前後(今週中の一目の雲の上限)
106.17(9月14日高値)
*106.75(前週末100日MA)
106.94(8月28日の高値)
**107.00(前週末のトレンド線TR1)
*107.02~107.05[(50%戻し、109.85→104.20)~(8月13日の高値)]
107.69(61.8%戻し、109.85→104.20)
107.75(前週末200日MA)
*108.16(7月1日高値)
109.85(6月5日高値)
110.00(心理的節目)
**サポート
104.26(9月18日安値)
*104.10~104.20(2019年1月安値、7月31日安値)
103.67[76.4%戻し、101.18(3月9日)→111.71(3月24日)]
102.65前後~102.40前後(今週中のTR2)
**101.18(フラッシュクラッシュ時3月9日の安値)
Ⅴ.今週のポイントとストラテジー・アイディア
今週の注目材料
*米国
・FRB要人講演
24日:ローゼングレン・ボストン連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁
デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
・米経済統計等
21日:シカゴ連銀全米活動指数
22日:8月中古住宅販売件数
23日:9月製造業・サービス業PMI
24日:8月新築住宅販売件数
25日:8月耐久財受注
8月製造業受注
・他
過去最悪となる米財政赤字と米国債格下げ懸念(ドル売り)
ナスダックが本格的調整に入る様であれば、米株全体も揺れる。(ドル安)
*日本
財務省・政府要人からのドル安・円高牽制(瞬間的なドル高)
*ユーロ圏
ラガルドECB総裁は「ユーロ高に過剰に反応する必要はない」としているが、
ユーロ高は外需頼みの主軸国ドイツなどにとっては好ましくないのは事実。
一部ECB高官は「ユーロ高=物価押し下げ」を懸念している点も見逃せない。
今週のストラテジー
ストラテジー
*基本ストラテジー:下降トレンドが継続しているため、依然として基本ストラテジーはドルの戻り売りに置くが、
ドルの戻りが弱くなり始めているため、やや売り水準を切り下げる必要があるか。・・・参考図
- 105円前後からの売り上がり(短期日計り戦略だが、奏功する様であれば、
ある程度長目のポジションとしてキープ。浅目のストップ要)。 - やや長めのポジションとして106円近辺からのショート。
- 長目のポジションとして107円近辺からのショート(但し、107.30がブレイクされた場合はポジションを整理し、様子見へ)
・理由
- (1)106.93(3月31日)・105.99(5月6日)・104.20(7月31日)は下降チャンネルTR1-TR2のTR2水準である。
104.20を付けて以降、相場はTR1方向に向かい出したが、その局面の高値は107.05(8月13日)止まりと、TR1にはほど遠い水準だった。
その後の相場は105.00~107.00の保ち合いに移行したが、結局は前週に105円を割り込み、下方リスクを強めている。
つまり、相場は長期下降チャンネルTR1-TR2の中で推移していたが、上値メド線TR1に届く以前に、失速した感がある。
・・・参考図 - こうした中、8月24日の高値106.94を付けて以降では顕著に上値が切り下がっている点が気懸りである。
・・・参考図
上値の重たい展開が続いているため、徐々に実需の売り水準が切り下がる可能性がある。 - 移動平均線では25日MA(前週末105.85)・100日MA(同106.75)・200日(同107.75)の関係で、
デッドクロスしている状況が続き、4月以降では終値(除く6月上旬の一時期)が100日MAを上回っていない。 - こうした状況下、前週には一目で三役逆転が生じているため、ドルの地合いが一段と悪化する可能性が高い。
注)利食い・損切りは個人のトレーディング・スタイルやトレーディング・スパンが異なるため、特に推奨水準はありません。
コメントや推奨水準は単なる筆者の分析結果であり、その水準での取引を勧めるものではありません。
投資の最終判断は自己責任で行ってください。
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