実は身近な地面師事件 海外居住者からの購入に注意
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Netflixの配信ドラマ「地面師たち」
ぶっちぎりの第一位であるNetflixの配信ドラマ「地面師たち」について次の記事の続きなので、合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/2632/
このドラマでは10億円とか100億円という大きな金額の話なので、自分たちには関係ないと思いがちですが、そうではありません。
今、外国に住んでいる人たち・日本非居住者が日本の住宅、マンションなども大量に購入しています。
地面師詐欺を避けるために、一番大事なことは売主の本人確認なのですが、非居住者が不動産の所有者の場合、本人確認がかなり難しくなります。
本人確認が難しいのは次のようなケースがあるからです。
・戸籍がない・海外では戸籍の仕組みがない
・住民票がない
・印鑑、印鑑証明がない
・複数のパスポートを持つ
・姓名が英文名と中国名など複数ある
・パスポートごとに名前が異なる
・登記している名前と異なる
・日本と国交のない国(台湾・中華民国など)に居住
これらが組み合わさることも多いので結構大変です。
日本の不動産の登記所は日本に住んでいる者だと厳格に書類を整えることが要求されます。
しかし、非居住者だと書類が揃わないことが多いので、甘い部分ができます。
従って、売主が非居住者の場合には、本人確認が難しくなります。
この場合、一般の地面師詐欺と異なることは移転登記ができてしまうので、騙されたことに気付くのが遅れるということです。
詳細な手口は書きませんが、非居住者が売主の物件の購入には注意が必要です。
今後出てくる可能性がある新しい地面師事件です。
すでに同様の事件は発生しているかもしれません。
売買代金を全額払ってはいけない
詐欺ではなくても、多くのプロたちが知らない大事なことがあります。
日本の不動産を「非居住者」や「外国法人」から購入したときは、買主が手付金や決済代金支払い時に源泉徴収納税するのが原則だということです。
税率は10.21%です。
但し、例外として、個人が 「自己または親族の居住の用に供するために」購入し、かつ、 購入代金が1億円以下の場合には、源泉徴収をする必要はありません。
例外に該当しない限り、手付金を支払った時、決済代金を支払った時に全額を売主に渡してはいけません。
東京都心部では1億円を超える物件は多くなっています。
投資用の2000万円のワンルームマンションでも買主が源泉徴収する必要があるということです。
買主が10.21%を引いて売主に支払い、源泉領収をしないといけないのです。
税務署が売主から譲渡税を徴収できないことを回避するために買主から徴収することにしたのです。
プロが知らない不動産取引
非居住者の不動産を購入する時の書類、手続き、源泉徴収などについては、まだ事例が少ないので不動産売買仲介会社、司法書士、税理士、銀行なども知らないことが多いです。
不動産取引の場合、複数のプロの専門分野にまたがるので、見落としが発生する可能性が高まります。
賃貸でも、本来の不動産所有者ではない者がなりすましで貸すケースもあります。
対策
基本的には不動産売買には不動産売買仲介会社が入ることになると思いますが、大手の不動産会社でも普段扱っていないケースだと極端に知識不足のため、見落としの可能性があります。
取引の際には、この記事を見てもらってください。
売主の本人確認は書類だけではなく、売主の前の所有者から状況等を聞いたりしてもらうのも良いでしょう。
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