危機を利益にするジョージ・ソロスの投資手法とは
ジョージ・ソロスとは
ジョージ・ソロス George Soros、93歳。
ソロスもバフェットも同じ1930年8月生です。
天才投資家として知られ「イングランド銀行を潰した男」The Man Who Broke the Bank of Englandとも呼ばれています。
ハンガリーのブダペスト生まれのハンガリー系ユダヤ人の投資家です。
ソロスは投資家であると同時に哲学者であり、思想家、さらに政治活動家、そして政治経済に関する評論家としても活動し自分のことを「国境なき政治家」と表現しています。
「国境なき政治家」は危険な印象です。
最近、レイ・ダリオやウォーレン・バフェットについて皆が認識していない大事な点を記事にしましたが、ジョージ・ソロスについても皆が気づいていない大事で実践的なことを解説します。
ソロスは3つの要素を持つ
ソロスは投資家というだけではなく、哲学者であり活動家なので彼の行動や考え方を理解するには3つの視点が必要です。
① 投資家としてのソロス
② 哲学者・思想家としてのソロス
③ 活動家・政治家としてのソロス
単純にソロスの投資方法を真似ようと思っても思考の根底にある
哲学の理解
原体験
を知らないと真似ることはできません。
ジョージ・ソロスは哲学者になりたかった
ジョージ・ソロスは天才投資家というだけでなくは哲学に強い関心を抱き続けてきました。
若い時は哲学者を目指し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で哲学的導師として哲学者のカール・ポパー氏につき、修士を取得。
哲学者カール・ポパーの思想に広範な影響を受けています。
ソロスの原体験で得た一番大事なことは「危機を利益にする」です。
ソロスが哲学的思考で得た一番有名な相場の本質は「相場は常に間違っている」です。
ジョージ・ソロスから学ぶこと
投資の天才、ジョージ・ソロスから次のようなことを学ぶことは大事だと思います。
イングランド銀行を潰すことができた未来を見通す先見性
投資で利益を上げるため本質を見抜く力
危機を利益にする実践力
投資哲学・相場は常に間違っている
ソロスのいい所取りをすると良いと思います。
今回、ソロスの投資で一番特徴的で重要な2つのことを前半、後半に2つの記事に分けました。
① 危機を利益にする実践力
② 投資哲学 相場は常に間違っている
危機を利益にする実践力
危機を利益にする視点はソロスの原体験からきたものだと思います。
ジョージ・ソロスはユダヤ人で子供の時にナチスに連行されそうになりました。
しかし、父親が偽の身分証明書を作ってくれたことから難を逃れました。
ナチスから強制連行の通知がきて、ソロスが、強制連行されると大変なことになると皆に伝えても
「ナチスがそういうならそれがルールだ」
といって命令に従おうとする人が多かったのです。
周りの人たちの多くは眠れる羊のメンタリティだったことで、多くの知人たちを失うことになりました。日本の現状と似ています。
平時ではルールを守ることが身を守りますが戦争時、異常事態、緊急時はルールを守ることが身を亡ぼすことにもなります。
偽の身分証を作ることは犯罪行為ですが、作っていなければ生き残れませんでした。
違法行為をして危機を利益にしようというのではありません。
全力で危機を乗り越えることが大事だということです。
危機に対処することは、危機を利益にすることにもつながります。
ソロスの利益の出し方にはいくつかありますが、危機を利益にする感覚がかなり強いと思います。
イングランド銀行と戦って莫大な利益を得た時は、ソロスが通貨危機を作って利益にしたほどです。
ジョージ・ソロスの投資スタイルの「危機を利益にする」は実は、今の激動の時代に一番大事な概念だと判断しています。
ほとんど全ての投資家が持ってない視点が「危機を利益にする」視点です。
第3の投資法・危機を利益にする
危機を利益にするという視点を持つのはソロスくらいしか思いつきません。
一般にお金の運用には投機か投資という2つの視点でしか認識されていませんが、実はもう一つの視点があり、それこそが「危機を利益にする」という概念です。
投機ではなく
投資でもなく
危機を利益にするという概念は保険の概念にも近いです。
危機を利益にするプロセスや視点
ソロスの危機を利益にするプロセスや視点は次のようなものです。
現状分析
未来を見通す
身を守る。資産防衛
チャンスを最大限に活かす
緊急時に身を守るために危険を冒すことを躊躇しない
利益を得るにはリスクを取る
リスクをコントロールする(ストップロスを入れる)
分散投資
暴落を利益にする
未来を見通す
まず、危機を利益にするためには未来を見通すことが必要です。
多くの人は、これから大きな危機が来る可能性が高いことさえ気づいていません。
ずっと警告をしてきましたが、
皆が危機が来ることに気付いていないから危機を利益にできるともいえます。
未来を見通すには世界最大のヘッジファンド創設者レイ・ダリオの予測が役立ちます。
レイ・ダリオの予測では、今後米国では次のようなことが起こるとしており、実際に現実化しつつあります。
戦争
内紛・内戦
中央銀行が破綻するほどの巨大な金融危機
米国の覇権が終わる
https://real-int.jp/articles/2359/
過去の延長線上に未来がない、激動の時代に対処するには
危機を利益にするという視点、
全力で危機を乗り越えることが
不可欠だということは明白です。
危機を利益にする具体的な戦略
現在、ソロスは引退し、どのようなポジションを取ろうとしていたかは分かりませんが、具体的には次のようなポジションが考えられます。
①ゴールド買い
基軸通貨争い、覇権争い
世界の中央銀行によるゴールド争奪戦が始まりつつある
②原油の買い
戦争で原油は上昇
特に中東戦争で原油は上昇しやすい
③株の売りポジションを持つ
株はタンタンと上昇し、最後に暴落
15年の上昇分は1~2年で暴落、元水準に戻る
④日経225プットオプションの買い
暴落直前で買うと爆発的利益になるポジション
⑤ドル売り
現在、ドル金利が高く、ドルは高金利通貨
金融危機が来るとドルは利下げし暴落
教科書的な古い知識だけで投資をすると、今の時代は大きな損失になる可能性が高いです。
過去の危機を利益にしてきた例
「危機を利益にする」概念は極めて大事な一方で、
一般には極めて希薄なので、イメージできない人も多いと思います。
危機を利益にしてきた具体例を次の記事に書きましたので、是非、お読みください。
危機を利益にする秘訣も分かります。
https://real-int.jp/articles/2316/
ソロス続きの記事
https://real-int.jp/articles/2391/
写真はtelegraph.co.ukより