日本人が知らないバグダディ系ユダヤとは
バグダディ系ユダヤとは
ユダヤ人論では、東ヨーロッパ系のアシュケナージと、スペイン・北アフリカ系のスファラディムは日本でもよく知られていると思います。
しかし実は、東アジアにおいて、より日本とも関係性のあるユダヤ人グループが存在します。それがバクダディ系ユダヤ人です。
バグダディ系(Baghdadi)ユダヤ人に関してはムガル帝国に起源を遡ります。
https://en.wikipedia.org/wiki/Baghdadi_Jews
インドとバグダッドを中心に、イギリス東インド会社と組んで東南アジアに拠点を設け、幅広く貿易を行っていたユダヤ人グループです。
中でも最も有名なのはアヘン貿易を取り仕切っていたサスーン家です。
日本でもビダル・サスーンと言えば誰もが知っているヘアケアブランドですが、彼もサスーン家に縁のある人物です。
アジアにおけるアヘン貿易からサスーン家を追い出したのが、旧日本帝国軍なので、サスーン家に関しては、知っている方も多いでしょうが、彼らがバグダディ系ユダヤであることを知っている人は少ないのではないでしょうか。
他にもシンガポールの初代首相デイビッド・マーシャルもバグダディ系ユダヤであり、上海、香港、シンガポールと東南アジアにまでかなり彼らの勢力があったことが窺えます。
現代におけるバグダディユダヤ
サスーン家がアヘン貿易を取り仕切っていた頃から、既に100年近く経過していますが、いまだにバグダディ系ユダヤは経済的にも政治的にも一定の影響力を持っています。
まず、東インド会社の時代より、伝統的にバグダディ系ユダヤはイギリスとの結びつきが強いです。
現代でも、例えば政界ではキャメロン政権時代(2010年-2016年)の商務長官を務めたのはジェームズ・サスーン(バロン・サスーン)と呼ばれるサスーン家の人間です。
https://en.wikipedia.org/wiki/James_Sassoon,_Baron_Sassoon
他にも、経済では2020年のイギリスの長者番付で第2位のルーベン家はバグダディ系ユダヤの一族になります。
https://en.wikipedia.org/wiki/David_and_Simon_Reuben
イギリスのユダヤ人と言えば、最も有名なのはネイサン・ロスチャイルド、そして首相にまでなったベンジャミン・ディズレーリなどが有名ですが、彼らだけではない、バグダディ系ユダヤとイギリスの関係性を垣間見ることができます。
日本との関係
日本と最も関係が深いのは、一つはアヘン貿易を巡っての戦争ですが、他にもサスーン家も加わっていたジャーディーン・マセソン商会との関係があります。
https://en.wikipedia.org/wiki/Jardine_Matheson
ジャーディーン・マセソン商会は日本でも有名なマンダリングループの親会社でもあり、150年も続く老舗の商会です。
ジャーディーン・マセソン商会はサスーン家と同じく、アヘン貿易に大きく関わっていた商会であり、そして後のグラバー商会として日本の三菱弥太郎に武器を売っていたトーマス・グラバーは実はジャーディン・マセソン商会に所属していました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Blake_Glover
よく三菱家とロスチャイルド家の関係の話が出ますが、おそらくより正確な史実としては、ロスチャイルドに代表されるイギリスユダヤ、バグダディ系ユダヤ、グラバー商会という流れで日本の三菱家と関係ができたということではないでしょうか。