【20】FXでは中長期では米ドル安だが短期では金利が重要
世界の金融情勢に関する予言が当たり注目を集めているゾルタン・ポズサー氏。
金利差の比較によるFX変動予想を「ゾルタンポズサー3」の記事で行いました。結果はどうだったでしょうか?
https://real-int.jp/articles/1934/
2022年末時点での政策金利
米国: 4.375%(4.25〜4.5%)
ニュージーランド:4.25%
カナダ:4.25%
英国: 3.5%
豪州:3.1%
欧州:2.5%
2023年6月半ばの政策金利と利上げ率
ニュージーランド:政策金利5.5%、利上げ率1.25%
英国:政策金利4.5%、利上げ率1%
欧州:政策金利3.5%、利上げ率1%
豪州:政策金利4.1%、利上げ率1%
米国:政策金利5.125%(5%〜5.25%)、利上げ率0.75%
カナダ:政策金利4.75%、利上げ率0.5%
2022年末〜2023年6月半ばまでの円に対する上昇幅
英ポンド:157円―>178円:21円、+13%
ユーロ:139円―>153円: 14円、+10%
カナダドル:96円―>106円:10円、+10%
豪ドル:88円―>96円:8円、+9%
米ドル:131円―>140円:9円、+7%
ニュージーランドドル:83円―>87円:4円、+5%
利上げ率に比例して、英ポンド、ユーロ、豪ドル、米ドルの順で大きく上昇しています。
例外は利上げ率が最も大きかったニュージーランドドルの上昇率が最下位となり、利上げ率が最も小さかったカナダドルが2位となったことです。
3月にはポズサー氏も言及していましたが、金利と上昇率はおおむね連動していたと言えるでしょう。リセッション状態ににあった欧州が大きく上昇していることから、ポズサー氏が主張する粘着性のある高インフレが続く新時代においては、GDP=景気はFXとは連動していないということになります。
結果論ですが、2023年前半のFXトレードでは、日銀ショックで下落もありうる日銀会合の際にはノーポジにしながら円を主要通貨に対してショートしていれば、大きく利益を上げられたということです。
2023年末の政策金利予想と6月半ばからの利上げ率
英国:政策金利5.4%、利上げ率0.9%
米国:政策金利5.6%(FED中央値、5.1%から引き上げ)、利上げ率0.5%
欧州:政策金利3.75%〜4%、利上げ率0.25%~0.5%
豪州:政策金利4.35~4.6(NAB)%、利上げ率0.25%~0.5%
カナダ:政策金利4.75%~5%、利上げ率0%~0.25%
ニュージーランド:政策金利5.5%、利上げ率0%
と予想されています。
英国は6月の指標でも労働市場がタイトで賃金も上昇しているので、インフレと利上げが続きポンドは今後も強そうです。豪州も5月に休止した利上げを再開、まだ1回または2回の利上げが予想されたので、豪ドルは勢いを取り戻しそうです。西原宏一さんの予測どおりになってきています。ユーロと米ドルもまだ落ちないということでしょうか?
日銀は16日、政策金利を-0.1%と現状を維持しました。日本と円はどうなってしまうのでしょう?日銀発表前に既にユーロ円は2008年9月以来、ポンド円はブレグジット以来の高値をつけたようです。
この6年で人手不足の観光関連価格が3倍となっている欧米に対しては、安すぎる日本へのインバウンドは増える一方、アウトバウンドは富裕層だけのものとなりそうです。日本が安すぎるのは円安が原因と日本のマスコミでは報道されていますが、2017年6月のユーロ円は130円であり、欧米との価格差の主要因は日本のデフレです。しかし、さらなる円安は状況を悪化させます。
7月末の札幌のホテル価格がインバウンドにより急騰し、ビジネスホテルでも2万円近くと昨年比倍以上になっているという記事を見ました。インバウンドにより特に高級ホテルやレストランの価格が上昇していくでしょう。給与が上がらないと日本人比率はどんどん下がっていき、バンコクのオリエンタルホテルなどのように、顧客は殆どが外国人になってしまうのではないでしょうか?
次回は、ポズサー氏の予言でまだ当たっていない、I字型の急激な暴落とその後に続く_字型のスタグフレーションについて検証していきます。